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命を懸けて守るべきもの 前編

待っていた皆さん、お待たせしました! いよいよ、ユッキーこと雪風編です!!

作者的にもユッキーは書きやすくてカッコよくて、しいて言うなら彼推しですかね笑

読者の皆様は誰推しになるのでしょうか?

さんさんと照りつける太陽―みんみんと泣き続けるセミ。

「……暑い……」

あまりの暑さに、私は思わずつぶやいていた。

七月中旬。すっかり夏本番となった。

私は今、あっつい中でプールの中にいる。

今度晴れてプール開きをすることになった相座高校では、プール掃除を生徒会ですることになった。

そんなわけで、ここには他の生徒会のメンバーがいるので……

「あっづい!!! もう! なんでオレ達がプール掃除しなきゃなんないのぉぉぉぉぉぉぉ!」

「大声ださないでください! うるさいですよ!」

「あっついんだもん! オレらカルテットスターなのにこの扱いって何なの!?」

「何を言っているのですか! 先生からお願いされて引き受けたのはあなたでしょう!?」

「あんなに美人でかわいい北原先生からお願いされたら、断れないでしょ?」

と、言うような具合で現在に至っている。

剣城ちゃんははあっと大きくため息をつきながら、黙々と掃除を続けた。

プールの中のほうは私と剣城ちゃんと牙狼さんが、周りのほうは希君と雪風君と竜駕君が担当している。

「本格的に夏になって来たからね~……あとでアイス買っていこっか」

「はい。僕バニラがいいです、バニラ」

「ノンちゃんは本当にバニラが好きだね。うん、いいよ」

「ロン! オレ、ソフトクリームが食べたい!」

「子供ですか、あなた達は!」

剣城ちゃんの的確なつっこみに、私と竜駕君は苦笑いを浮かべる。

竜駕君のそばには、今までやった成果としてたくさんとった草が袋にいれてある。

「彩月ちゃん、大丈夫? かわろうか?」

「い、いえ! 大丈夫です!」

「そっか。暑いから熱中症にならないようにしてね。つらいときは遠慮しないでいっていいから」

相変わらず優しいな、竜駕君は。

彼の優しさには、今までも幾度となく助けられている。

私も少しは役に立たなきゃ!

「袋いっぱいになったし、持っていこっか」

「僕、持っていきます」

「希一人じゃ無理だろ。まだ草残ってるから、竜駕と一緒にとっとけ。俺が持っていく」

雪風君がそういって、草の入った袋を持って出ていく。

なんでかな、いつもの雪風君じゃないような……

「もう嫌! こうなったら! ロン! 水出して!」

「……え?」

「水だよ、水水。なんならノンちゃんでもいいよ?」

「……ルーちゃん? ここがどこだか、分かってる?」

「分かってるけどぉ、めんどくさいしぃ。さっさと終わらしてメイちゃんと……」

「wasser durchnasst warden」

牙狼さんが全部言い終わる前に、希君が英語か何かの言葉を発する。

するとモップに付けるために使っていたバケツから水が勝手に吹き出て、牙狼さんの顔に当たった。

「ぎゃふっ!!! 何すんの、ノンちゃん!」

「水がほしいと聞いたので」

「そういう意味じゃないんだけど!?」

「ノンちゃん! ここでそれ使っちゃダメ! 沖田さんが見てたらどうするの?」

はっとして、剣城ちゃんの方を見る。

運よく、彼女は気づいていないようにプールをせっせと掃除している。

三人から同時に、安どの息が漏れた。

「もう……ノンちゃんも牙狼も、場所には気を付けてよ?」

「すみません……水を出してあげようと思ったのですが……」

「つるちゃんがいなかったらオレ達の能力でちょちょいのちょなのになあ」

三人が人間じゃないことは、私以外誰も知らない。

それがカルテットスターの掟だったからだ。

とはいっても、秘密にしておくのもなんだか悪い気がして嫌だなぁ……

「竜駕、大変です。袋がありません」

「あれ? 本当だ、いつも間にか切れちゃってたね」

「あ、私持ってきます。雪風君のお手伝いもしに行こうと思ってたので」

「一人で大丈夫?」

「はい。すぐ戻ります」

そう言って私は行ってらっしゃいと見送る希君と竜駕君、大きく手を振る牙狼さんに浅く会釈しながらプールの外へ出たのだった。


(続く・・・)

ノンちゃんが使った、「wasser durchnasst warden」は、ドイツ語で水・濡れるを意味しています。


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