「星降る夜に 4」
イベントボス『メテオイーター』との戦闘が始まってからどれくらい経ったのか、正直ワンミス=瀕死または即死に近いこいつの尻尾攻撃に集中しすぎてるせいか、時間の感覚がおかしくなっていた。だが確かなことは今この瞬間、この場にいる連中はこのイベントボスのドロップ報酬がどれほどのものかそのことしか考えていないのがほとんどだろう・・・・・・だってメテオイーターの目の前で挑発的に剣を振り回しながら血気盛んに吠えたて猛ダッシュで駆け出して剣を前面に突き出し突撃しているバカをみりゃそりゃだれだって思うことだろう。
「おらぁ! 早くやられてレアアイテムドロップしろおおおおお!!」
・・・・・・こんな事を叫びながら剣を顔面に突き刺してニタァと笑ってるのが女とか考えたくもないよ。
「おい、ユウコ! 少し冷静に戦えよ! 突っ込み過ぎじゃないのか!?」
流石に心配になり声をかえるが、全く聞く耳を持たない状態である。俺が直接駆け寄る事も出来なくはないけど、棘ミサイルを掻い潜っていくのがかなり厳しい・・・・・・。
「まぁなんとかなるような気がしてくるから怖いよあいつは」
俺はとりあえずユウコの事は頭から切り離して自分の攻撃と回避に専念することにした。
「しかしこいつ甲殻が硬くて中々ダメージが通らないから皮膚が見えてる所を狙うしかないのが辛いな。このまま持久戦になるのはマズイぞ」
メテオイーターのあまりの高威力ダメージに対してこちらの回復アイテムが間に合わなくなり始めているのだった。
「なんとかユウコみたいに柔らかい所に飛び込んで高威力のスキルを何人かでぶち込めれば・・・・・・」
棘ミサイルを避けながら考えているとユウコが剣を額から引き抜き背中の方へ駆けていくのが見えた。ユウコは棘ミサイルの出ている背中の辺りをじっと数秒見つめると何かを思いついたのか小さく頷くと俺たちのいる方へ飛び降りてきた。
「大至急、一旦退いて集合ののち話があるの! 大事なのは高火力のスキルを持ってる人とリリとコツさんみたいに打撃系の武器使ってる人かな」
「なんだよ急に、なんか思いついたのか?」
俺が問うと
「うん、だけど私だけじゃ無理だからみんなの協力が必要なの。だからお願い」
「わかった」
俺は短く答えるとユウコとは別方向へ向かい集まるようにいった。
数分後俺たちはメテオイーターをなんとか視認出来る距離まで退避してユウコの思いついた案を聞く事になった。
「さっき戦ってて奴の棘ミサイルの射出口になってる背中を見てきたんだどちょっとグロかったけど肉質的には柔らかそうだったの。あれならきっとみんなでスキルを叩き込めばかなりダメージ稼げると思うの」
ユウコの案は確かにみんなで出来るならそうなるだろうとは思う。だけど・・・・・・。
「おいおい、随分簡単に言ってくれるな。みんながアンタみたいにあんなぶっ飛んだ立ち回り出来ると思ってんのか?」
『円卓騎士団』のメンバーが早速みんなの疑問を口にしてユウコの案の問題点を指摘した。そう、確かにみんなで肉質の柔らかい射出口に高威力スキルを叩き込む事が出来たならこれ以上の持久戦にはならずかなり早期に決着が着くだろう。だが、誰もがユウコほどあのメテオイーターの攻撃をかいくぐり懐に入りなおかつ飛び乗るなんて芸当が出来るわけではない。
「うん、それは分かってる。そこで打撃武器スキルの出番なのよ」
その反論を予期していたかのようにユウコはすぐに発言した『円卓』のメンバーに笑顔で答えたあと視線を動かし『SOL』のリリとコツさんを見つめて口を開く。
「打撃武器スキルの下から上に打ち上げる『ライズ』ってあるわよね? 体育の時間にやったことある人が殆どいる前提で話しちゃうけど大縄跳びってあるわよね? あの中に入る要領で振り上げるタイミングに合わせて足を面のとこに乗せて人間大砲みたいにしたらどうかなって」
満面の笑みで語られたその発言に一同は爆笑する人と『危険だ何考えてんだ!!』と激怒する人、天を仰いで『こいつ、アホだ』とでも思ってそうな人と様々な反応が沸き起こった。
かなり遅れました、更新ペースこんなもんですいませんorz
意見感想待ってます。