「星降る夜に 2」
鍛冶屋のおっさんからイベントクエストに役立つ事間違い無しのアイテムを貸してもらい俺たちは早速ユウコとコウジさんたちにメールで伝えると、数分後には二つのギルドが目をギラギラさせて全力疾走してくるのが見えて正直恐怖を覚えた。ヘル・オンライン内でもかなり有名な二大ギルドがガッチリいつでもボス戦に行けるようにフル装備で自分に向かって突っ込んでくるなんて、ビビらない方がおかしくね?
「トモ! やったね! これでイベントボスを探す時間が短縮出来るね!」
「さすがトモ君だ! はっはっは! こいつぁ円卓の連中にも教えてやらないとあとで何言われるか分かったもんじゃないからな。手分けして円卓の連中を探してアイテムの話をしてやろうじゃないか」
コウジさんはそういうと露店でダンゴを二本買って両手にもったまま歩き出した。
「散歩のついでに円卓の連中を探すのか・・・・・・」
『円卓騎士団』だって立派な有力ギルドなのに・・・・・・散歩のついでというあの扱いをするコウジさんを凄いと言うべきか酷いと言うべきか悩みつつも俺たちもサオリたちと一緒に別方向へ歩き出した。
それからしばらく円卓の連中を探してみたものの、さっぱり見つからず再びユウコたちとコウジさんのギルドと合流することになり状況を報告し合った。
「あいつら何処行ったんだ? いくらなんでもこんだけ探して見つからないっておかしくねえか?」
「だよね、そんなに大きい街ってわけでもないのに全然見つけられないなんてさ」
コツさんとリリさんが愚痴る中、時間は過ぎこれ以上探していたらイベントボスを探す時間が無くなってしまうという結論に居たり俺たちは円卓の連中を探すのを打ち切り装備を整え街を出発、先頭をユウコとコウジさん、その後ろにサオリを配置しそして左右をリリとコツさんが守りその後ろに俺たち、レックスさんとマキシさんが並びその周囲をそれぞれのギルドメンバーが囲んでくれていた、これ以上無いほどの安心感に包まれながら俺たちはサオリが借り受けた石の反応を確かめながらゆっくりと砂漠地帯を南下し出した。
石の反応が徐々に強くなってきているとサオリが言うので少しずつ俺たちの中に張り詰めた空気が漂い始めた、日は少しずつ沈み始め辺りが暗くなり肌寒くなりだした。
「うー寒いよートモー」
視線は前を向きながらユウコが自身の腕を摩りながら俺に声をかけてくる。
「いや、俺に言われても困るって。なんか上着かなんか持ってきてねえのか?」
「マントとかはあるけど戦闘中に邪魔になるからそんな物今から戦うって時に装備するわけにも行かないじゃん」
恨めしい顔でこちらを睨んでくるユウコ、だからおめえのその目はおっかねえからあんまり睨まないでくださいお願いします。
そんな能天気なやり取りをしながら歩みを進めるとサオリが声を出した。
「凄い引っぱられてる! 皆さん周囲に注意!」
サオリの声にさっきまでの緩んだ空気は掻き消え寒がっていたはずのユウコはそんな素振りも見せず一気に戦闘態勢に入り無骨な剣を正眼に構える。それに続き周囲を囲むギルドメンバーたちも武器を構える・・・・・・と、そこで少し先に見える砂丘の向こう側から大きな衝撃音が響いてきた。
「なぁ、なんか小さいけどアーサーっぽい声聞こえないか?」
コウジさんが武器を構えながらゆっくりと音が聞こえてきた砂丘の向こう側へ歩き出した。
「ですね、なんか嫌な予感がしてきたんだけどワタシ・・・・・・」
ユウコも同意見のようで一旦剣を背中に戻して小走りに砂丘へと向かった。
短くして更新頻度を上げるとか言ってたけど忘れてください。
ノリと勢いの外伝。意見感想待ってます。