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 翌日の夕方の六時頃。

 佳乃は浴衣を着て、公民館へと向かった。

 公民館が近づいてくると、盆踊りの音楽が聞こえてくる。

 公民館の前では、智春と晃と栄治と里香が待っていた。

 佳乃を見つけた里香が駆け寄ってきた。


「佳乃ちゃん、浴衣、大人っぽくて可愛い」

「ありがとう。里香ちゃんも水色の浴衣、似合っている」


 五人は揃ってお祭り会場へと向かった。

 お祭り会場は、公民館の駐車場で、中央に小さめの櫓が置かれ、それを囲むように露店があった。

 やきそば、じゃがバター、焼き鳥、かき氷、飲み物を売っている。

 大きな祭りではなかったが、村民たちが集まり、賑わいを見せていた。

 里香が佳乃の腕を取り、言う。


「わたしと佳乃ちゃんで飲み物を買ってくるね」


 五人は分担して露店で食べ物や飲み物を購入した。

 しばらくお祭りの雰囲気を楽しんだあと、それぞれ好きな味のかき氷を買って、公民館を出た。

 智春が佳乃に言う。


「これから川に向かうんだ」


 かき氷を食べながら、しばらく歩くと、河原に着いた。

 栄治が持ってきた大きいレジャーシートを広げて、買ってきたものを並べた。

 他にも家族連れなどがちらほらと見受けられた。

 川のせせらぎを聞きながら、五人は買ってきた焼きそばなどを突っつきはじめる。

 里香が尋ねる。


「佳乃ちゃんは、いつまで深江にいるの?」

「それが、昨日、お母さんから連絡があって、八月三日に迎えに来るって……」


 里香が笑顔で言う。


「じゃあ、それまでいっぱい遊ぼう」


 智春が顔の前で手を振りながら言う。


「俺とこじかは自由研究と受験勉強で忙しいんだよ。こじかが帰るまでに終わらせないと。

 ――こじか、明日の午前中、じいちゃん、時間取れるって」

「本当? 頼んでくれてありがとう」

「寺の場所は分かる? 十時頃に来て」


 佳乃は頷いた。

 そのあとも五人はわいわいと話し続け、晃が中学二年生で、栄治と里香は中学一年生だと知った。

 深江中学の生徒はこの四人だけだという。

 智春が腕時計を見ながら言う。


「そろそろはじまるかな」


 それが合図かのように、ぱぁんと弾けるような音がした。

 佳乃は夜空を見ながら言う。


「花火だ!」


 智春も花火を眺めながら言う。


「木で全部は見えないけど。沢田のお祭りの花火だよ」


 十五分ほど花火が上がって、それが終わると解散になった。

 佳乃は、四人とは方角が違うので、その場で別れを告げて、家に向かった。

 秀久が姿を現して言う。


「綺麗でしたなぁ。あれは花火というのですか」

「秀久さんは、はじめて見たの?」

「はい。夜の空にそれは、それは、よく映えておった。お祭りも昔とは違って……」


 秀久は楽しそうに話していた。

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