第14話
FF7のメテオ、バハムート零式なら壊せたんじゃないの? と思ったのは作者だけではないはず。
『もう一度言おう。この世界は滅びる』
「……ナ、ナンダッテー?」
「プライドさま! 世界が滅びるとはいったいどういうことなのですか!?」
俺とルナミリアとのテンションの違いが著しいなぁ。イヤだってねえ。藪から棒にそんな突拍子もないこと言われても、リアクションに困るって言うかぁ~。むしろお悩み相談してくれる懺悔室の神父を紹介したいって言うかぁ~。
『数年前から、僕はキマイラ座の方角から惑星ガイアに接近してくる謎の物体を察知していたんだ。大きさは直径およそ50km。このままいくとこの物体は、数日後にはガイアに激突する』
……ぱーどぅん?
『最初は隕石の類かと思っていたんだ。けれどここ最近、その物体の速度が増していることが判明したんだ。そもそも最初に発見した段階での計算では、この物体はガイアの最接近時でも20万キロは離れていたんだ。特に何の影響もなく……ああ、肉眼で確認できるから人間どもが災厄の前触れとでも騒いだかもしれないがその程度だ。ガイア自体には何の影響もなく通り過ぎていくはずだったんだよ』
「けど、ガイアとニアピンして通過していくはずだった物体が、突然加速したからこのガイアにカマ掘るってか?」
「主さま。はしたないですよ」
『はは。まあ有り体に言えばそういうことだ。おまけにこの物体、徐々に軌道修正しているようでね』
「おいおい」
確実に隕石じゃねえだろそれ。うわー話聞いただけでもメンドくせー。そしてこのあとの展開も考えると、面倒臭さは倍ドンだわ~。
『さてここからが本題だ。怠惰のスロウス。君にこの物体を調査、場合によっては破壊してもらいたい』
ですよねぇ~。
「なあ。傲慢のプライド。1つ聞きたいんだけど」
『何かな?』
「なんで俺!? 他の連中じゃなくてよりにもよってなんで俺!? っていうかむしろ、第一発見者が解決すりゃいいじゃん!」
『七大神龍の中では、君が一番機動力に優れる。ことが成層圏の外だからね。適材適所だと思うが?』
確かに俺は3対6枚の翼で、神龍の中では一番機動力が高い。ちなみにプライドは宇宙まで含む広範囲の索敵能力と高い演算力だ。
「それにしたって、別に他の神龍が宇宙にいけないわけじゃねえだろ。むしろこの場合は攻撃力の方こそ重要なんじゃねえの? 強欲あたりにやらせろよ」
『ふむ。それでも構わないが、僕はむしろ君のためを思ってこの話をしているんだが?』
「どういうこっちゃねん」
『例の物体の軌道とガイアの軌道と自転を計算すると、物体の落下予想地点はここアスラッド大陸なんだよ』
「……はい?」
『それもゴズマン帝国首都のど真ん中だ』
おーい。ガイアって地球と同じくらいの大きさがあるんだぜ。それなのに何でよりにもよってそんなピンポイントで。一体どんな確率よ。吹かしてんじゃねえだろうな。
『君の管轄に激突するはずだった物体にほかの神龍が対応する。それはすなわち、君がその神龍に対して大きな借りをつくることを意味する。それこそ強欲のグリードにでも借りを作れば、どんな見返りを要求されるかな』
うげっ。確かにあの業突張りの要求なんて、この世界で一番高くつくわ。
プライドが意味ありげにチラリとルナミリアに視線を移す。
『ああ。そう言えば強欲のは常々、君の僕を欲しがっていたね』
「っ!」
ルナミリアが怯えるように、自分の体を抱く。ああ。そういやあの野郎。前に大精霊の僕が欲しいからルナミリアをよこせとかフザけたことほざいてたな。なんかコレクター魂が騒ぐとかなんとか。
あまりにも鬱陶しかったから、ゼロ距離でブレスをぶちかましてやったけどな。
俺はガクブル状態のルナミリアを翼でくるみ、プライドの視線から隠してやった。ルナミリアは俺の翼にすがりついてくる。よしよし。
「ったく、わかったよ。行くよ行きますわよ。その隕石だがなんだかをどうにかしてくればいいんだろ。うちの僕を無闇矢鱈にビビらせないでくんねぇか」
『快く引き受けてくれたようで嬉しいよ怠惰の。吉報を待っているよ』
キザったらしく踵を返し、傲慢のプライドの姿が掻き消えた。
けっ。二度と来んな。塩まいちゃる。
「……主さま」
ルナミリアが翼の影からひょっこりと顔を出した。何故か目に涙を浮かべて、申し訳なさそうな顔してるんだけど。
「どうしたい? プライドの野郎ならもう帰ったぞ。もうビビんなって」
「いえ主さま。私は自分が情けないのです。本来なら身を挺してでも、主さまをお守りしなければならないのに。逆に主さまに守られてしまい……」
んー。言っちゃなんだが、大精霊程度じゃ身を挺したところで神龍は守れないんだし、それはルナミリアも分かってるはずだ。そんな気にせんでもいいと思うけどなぁ。
「まー、なんだ。強欲の野郎にお前を取られちゃ落ち着いて昼寝もできなくなるし、色々と困るわけだ。だから気にすんなって」
「主さま……。ありがとうございます」
「おう。ほんじゃ面倒だけど、ちょいと世界を救ってくるわ」
最後にルナミリアをひと撫でして、俺は3対6枚の翼を羽ばたかせる。
「はい。主さま。ご武運を」
「あいよ」
ルナミリアに見送られ、秘密基地から発信する巨大ロボよろしく噴火口から飛び立つ。目指すは天空よりさらに先。ただ上へ上へと上昇し続ける。
雲海を突き抜け、成層圏を突破する。大気の影響によって青ずんでいた空はやがて漆黒へと移り変わっていく。七大神龍最速は伊達じゃない! なんつってな。
という訳で到着しました飛翔3分の宇宙です。生身の生物なら、呼吸不能と血液の沸騰と気圧の違いでひとたまりもない世界だ。まあ俺ら神龍は、マナさえあればどこでも生きていけるから関係ないけどな。むしろ大気なんて不純物がない分、宇宙の方がマナの純度が高く、こっちのほうが居心地いいくらいだ。
それにしても、無音の世界で文字通り無限のマナに身を委ねていると、睡魔がマッハで訪れるな。ウォーターベッドに横になっている気分だ。
「zzz……っは! 寝てませんよ!?」
やばい。じっとしてたらガチで寝ちゃいそうだ。頭をブンブンと振って、眠気を払い目を凝らす。俺はプライドみたいなフザけた索敵能力は持ってないが、さすがに宇宙まで飛び出したら視認くらいはできるだろう。
え~っと。プライドの奴は謎の物体はキマイラ座の方角から接近しているって言ってたな。
「キマイラ座キマイラ座っと。あっちか」
赤く輝く星群を視界に捉えると、端っこの方に影ができている。謎の物体ってアレかな?
結構な速度が出てるらしく、影はみるみる大きくなっている。全容もだんだんと鮮明になっていき……。
「って、なんだありゃあ」
謎の物体は球体だった。表面はつるりとなめらかで、歪な突起ひとつない綺麗な丸。材質はどう見ても天然の岩の類ではなく、人口の金属だ。全体は鈍い銀色で、表面には幾何学的なラインがいくつも走っている。
「デ○スター?」
謎の物体は、某宇宙戦争映画に出てくる最終兵器そっくりだった。
おいおい。この作品のジャンルいつからSFにシフトしたんだよ。いくらその場のノリと勢いで書いてるからって計画性なさすぎるだろ作者!
『前方ノ知的生命体ニ問ウ。何者カ』
混乱のあまりメタなこと考えていた俺に、某カロイドみたいな機械音声が聞こえてきた。
もしかしてあのデスス○ーか? 人に名乗らせる前に自分から名乗るのが礼儀だろうに。まあここは大人の寛容さってのを見せて、答えてやるか。
「我が名は怠惰のスロウス。惑星ガイアの守護者、七大神龍が一角なり。貴殿こそ何者か」
『我ラハ優良種。コノ宇宙ニオイテ最モ優レタ存在デアル』
おうふ。何ともアレな発言。傲慢のプライドだってもうちょっと謙虚だぜ。それにしても『我ら』か。あの球体は、宇宙船か何かってところか。
「ふむ。では優良種とやら、この星系にいかなる用向きでまいられた?」
まずは穏便に済ませられるよう、対話と行こうか。隕石とかなら後腐れなく消し飛ばしてそれでめでたしめでたしだったんだが、相手が巨大宇宙船じゃあねえ。さすがに問答無用で撃ち落とすわけにもいかん。いかにも面倒くさそうな相手だけど、さすがに問答無用で大量殺戮を行う気はないんだよ。
『質問ニ答エル。我ラハ、テイアラハス星系第3惑星、即チ知的生命体タイダノスロウスガ、ガイアト呼称スル惑星ヨリ物資ヲ補給スル』
ふ~ん。『補給』ねえ?
「ならば優良種よ。貴殿らが求める物資とは何か? またどの程度の量を求めるのか? 事と次第によっては我が一存では決め兼ねるかもしれぬのでな」
『質問ニ答エル。全テダ』
「……なに?」
『大気、鉱物、動植物、水、惑星ノ物資尽クヲ徴収スル』
おいおいなんて業突張り。強欲のグリード以上だよ。っていうか徴収とかほざきやがったな。何様だテメエ。
「……優良種よ。ガイア全ての資源は貴殿らの住居を維持するにはいささか過剰な量のように思える。何故全ての資源を求めるのか。貴殿らの母星はそこまで物資が枯渇しているのか」
俺はあくまで穏やかに対話を続ける。こういう時は、先にキレたら負けだかんな。まあ温厚な俺にも我慢の限界はあるが。まあまだ許容範囲内よ。
『愚問。1ツノ惑星ニ留マルノハ種ノ進歩ノ妨ゲニ他ナラナイ。惑星1ツヲ徹底的ニ利用、搾取シ次ナル惑星ヘト旅立ツ。我ラハ何世代ニモ渡ッテ旅ヲ続ケテキタ。ソレコソ我ラガ優良種タル所以。我ラコソ宇宙ノ頂点ニ立ツ、神トモ言ウベキ存在』
ふーん。なるほどねえ。要するにこいつら、資源の枯渇した自分の星を捨てて、よその星に避難だが占領だがしらんけど拠点を移したと。で、そこでも性懲りもなく資源の無駄遣いしまくって、また資源がなくなったから別の星に引越してそれを何世代にもわたって続けていると。なるほどなるほど。
「……っぷ! だはははははっ! ぎゃはははははっ!!」
やっべー。ウケる。腹いってえ! 抱腹絶倒ってこういうのを言うんだろうな。
『不快。何ヲ笑ウ』
「あひゃひゃひゃひゃ! これが笑わずにいられるかっての。要するにお前らあれだろ。イナゴの類ってことだろ。人様の住処に踏み込んで根こそぎ食い散らかす何の生産性もない害虫が、自分のことを優良種(笑)とか! 自信過剰乙だわ!」
1つの惑星に留まるのが進歩の妨げ? アホか。きちんと地べたに足ついてるやつの方が、エライに決まってんだろ。何世代にもわたって旅してきた? どんだけ世代重ねても有限な資源の有効活用を学べなかっただけだろ。大体なぁ。
「神とか言ったけどな、あいにく俺はお前らに転生させられた覚えはねえんだよ」
こちとら本物の神様に神龍なんて面倒な役割を押し付けられてるんだ。もし神様がいるんなら絶対に一言文句言ってやる。だが、こいつらじゃないのだけは確かだ。
さあ茶番はそろそろしまいだ。押し付けられたモノだが、それなりに愛着もある役割をこなすとしますか。
「優良種(笑)。コイツは最終警告だ。今すぐ回れ右して失せな。そしたら見逃してやらぁ。だが、それ以上近づくんだったら覚悟しな。面倒だが、この宇宙から細胞1つ残さず消し飛ばす」
『愚カ。彼我ノ戦力差ヲ把握出来ントハ。所詮、原始惑星ノ生命体。排除スル』
デス○ターの幾何学模様に青白い光が走った。突起1つなかった球体の表面が次々と隆起していく。あんまり見慣れない形状だが、まあ大砲の類だよなぁ。
続いて球体の色んなところから、俺よりも少し小さいくらいのサイズのフリスビーみたいな物体が無数に飛び出して来た。空飛ぶ円盤とか古典的。
「そいつは宣戦布告と判断していいんだな? なら当方に迎撃の用意ありだぜ」
ちょっと気取って、3対6枚の翼をバッと広げる。さあて。すっごく面倒だけど、久々に本気で行きますか!
ここまでお読みいただきありがとうございました。
といわけで次回最終決戦です。今までのストーリーとの乖離が著しいとは思いますが、主人公のイメージがバハ零で固まった瞬間からずっと書きたいと思っていた宇宙戦です。あと1話だけ、作者の自己満足にお付き合い頂ければ幸いです。
誤字脱字、設定の矛盾などありましたらご指摘いただければ幸いです。




