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最期の奇術師  作者: 山本正純
前編
4/27

 捜査会議が終わろうとする頃、北条がノートパソコンを持って捜査本部に顔を出す。

「千間刑事部長。消えた三人の人質とバスジャック犯の顔が分かりました。あのバスの出入り口には防犯カメラが設置されていて、乗客の顔が必ず映ります。その防犯カメラの映像と御宅山の山中から発見された二十人の人質の顔写真を照合した結果、ヒットしなかったのは四人」

 北条はノートパソコンに表示された画像をスクリーンに映し出す。

「この画像に写っている小学三年生くらいの少年が喜田参事官の孫。喜田祐樹君」

 北条はパソコンをクリックした次の画像を映す。

「次の画像はショートヘアの女性。人質たちの証言によれば彼女は自称弁護士を名乗っていたそうです」

 北条は再び画像をクリックして別の男の画像をスクリーンに映す。

「その次は帽子とサングラスで顔を隠した男。身長170センチ。人質たちの証言と防犯カメラの映像によると、彼がバスジャック犯であることが分かります」

 北条はバスジャック事件の様子が撮影された映像を刑事たちに見せる。そこには画像と同じ男が拳銃を持ち運転手を脅している様子が映し出されていた。

その後北条は最後に女の写真を映す。

「最後は長髪の女性。身元は不明です。以上がバスジャック事件後に消えた人質とバスジャック犯の画像です」

「北条。その映像からブルースカイバスが御宅山に到着した時間を特定できないか」

「午後九時三十分頃です。それとバスジャック犯は御宅山周辺の地理に詳しい人間でしょう。ブルースカイバスが御宅山に向かう様子はNシステムに感知されませんでした」

 北条の報告を受け千間は刑事たちに呼びかける。

「一班はバスジャック犯の足取り捜査。犯人がバスに乗るまでの足取りを捜査して、犯人の身元を特定しろ。二班はショートヘアの女性で弁護士と名乗るAと長髪の女Bの身元を特定しろ。三班は昨夜午後九時三十分以降に御宅山周辺を出発した不審車がなかったのかを調べろ。四班は青空運行会社や東京警察病院に搬送された人質たちから聞き込みを行え」

 捜査会議が終わり刑事たちはバスジャック事件の捜査を開始する。

 どこかの廃ビルで黒い影がタブレット端末のスイッチを入れる。タブレット端末は三脚に固定されている。

 そこに映し出されたのは、口をガムテープで塞がれ、手足を縄で縛られた状態で椅子に座らされた喜田祐樹を含む三人の消えた人質だった。

 タブレット端末の近くにある机の上にはノートパソコンが置かれ、タブレット端末に映し出された映像が記録されている。

 黒い影はノートパソコンを操作しながら、腕時計を見る。現在の時刻は午前九時三十分。

 バスが御宅山に到着してから十二時間が経過している。

「残り八時間」

 黒い影は呟きながら映像をマスコミ関係者のメールアドレスに送信する。その後黒い影はボイスチェンジャーのスイッチを入れる。

 パソコンの前には電話番号が書かれた紙が貼られている。その電話番号は喜田参事官の携帯の電話番号。

 黒い影は非通知設定にしたスマートフォンで喜田参事官に電話する。


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