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最期の奇術師  作者: 山本正純
前編
3/27

 午前九時。警視庁に設置されたブルースカイバスジャック事件の捜査本部で捜査会議が始まる。

 机が大量に並べられた会議室に多くの刑事たちが集まる。

 その会議室の正面には千間刑事部長と月影管理官が座っている。

「それでは捜査会議を始めます」

 月影の号令を聞き刑事たちは立ち上がり頭を下げる。その後刑事たちが着席すると、月影管理官はバスジャック事件の概要を淡々と話す。

「ブルースカイバスジャック事件が発覚したのはブルースカイバスを運行する青空運行会社からの通報。通報者の桂右伺郎によると運行時間になってもブルースカイバスがバス停に来ないという苦情が殺到し、運転手からの連絡が途絶えていたため不審に思ったため通報したそうです。通報時間は昨夜午後九時三十五分頃。ブルースカイバスが東京駅を出発したのが午後九時。つまりバスジャック事件は午後九時から午後九時三十五分までの間に起きたものと思われます」


 月影が事件の概要を説明すると、合田が立ち上がる。

「そのバスは翌日の午前七時頃御宅山の中腹で発見された。バスジャック犯は御宅山にバスを放置して逃走中。それから発見されたバスの入り口はダンボールで塞がれていたことから逃走を手助けした共犯者がいると思われる。その根拠は保護された人質たちの証言だ。バスジャック犯は大量のダンボールなんて持っていなかったと証言した」

 その証言を聞き沖矢亨が挙手する。

「奇妙だよ。なぜバスジャック犯はダンボールでバスの出入り口を塞いだのか」

「その真意は分からないが、運転手の証言によれば、御宅山の山中にバスを止めるよう要求された。あの場所に到着したらバスジャック犯が催眠ガスを巻き、バスジャック犯は入り口のスイッチを押してから逃走したらしい。もちろんバスジャック犯はガスマスクを装着していた」

 合田の説明に続くように大野が報告を始める。

「ここからが重要です。催眠ガスによって眠らされた人質たちの内三名の乗客たちが消えました。あのバスに乗るためには、チケットのバーコードを読み込まなければなりません。そのデータをすぐにコンピュータに記録されます。青空運行会社はこのシステムによってブルースカイバスの乗客数を把握しています。昨日午後九時東京駅発のブルースカイバスに乗っていたのは二人の運転手を含み二十四人。その内の一人はバスジャック犯でした。そして御宅山の中腹に停車していたバスの車内からは二人の運転手を含んだ二十人の人質が発見されました。つまり三人の人質が消えたということです」

 その報告を受け千間刑事部長が促す。

「その消えた三人の人質の身元は分かるのか」

「千間刑事部長。消えた三人の人質の一人は喜田参事官の孫喜田祐樹君。残り二名の消えた人質をAとBとします。Aは名前が分かりませんが、人質たちの話を聞くと職業が弁護士の二十代後半くらいの女性のようです。Bは名前及び性別や職業も不明。今後は消えたAとBの身元を特定します」


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