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最期の奇術師  作者: 山本正純
後編
21/27

21

 北条からの報告の後、月影管理官が捜査一課三係を訪れる。

「監禁場所特定に繋がる面白いことが分かりました。新宿ホワイトキングシティホテルの近くで自動車が盗難される事件が発生していたことが分かりました。事件が発生したのは、午後十二時三十分頃。犯人が逃走に使用した可能性があります」

 北条は月影からの報告に食いつく。

「それは面白い。遺体が乗せられた車内には殺害の痕跡が残っていませんでした。犯人は正午頃別の場所で霜中凛を殺害。遺体を新宿

ホワイトキングシティホテルに遺棄しました。その殺害場所と監禁場所が同一なら、遺体発見現場から半径三十キロメートル圏内に監禁場所があると言えます。自動車を使い時速六十キロで走った場合の話ですが」


「違う」

 合田は北条の意見を否定して、言葉を続ける。

「時速六十キロという前提は間違っている。犯人は防犯カメラやNシステムに感知されないルートで移動している。そうなれば狭い道や回り道を通るだろう。その道を通れば必ず本来の三十キロ圏内のエリアにズレが生じる。

だから半径三十キロ圏内ではなく、半径二十キロ圏内で腐葉土を製造する研究所や農場があるのかを調べてもいいかもしれない」

 

 合田の助言を受け、北条はパソコンに東京都の地図を表示させる。

「霜中凛の遺体が発見されたのは新宿区。そこから二十キロ圏内にあるのは」

 北条がクリックすると、遺体発見現場を中心にした半径二十キロメートルの円が表示された。

「次は容疑者のいる場所。江戸川区。葛飾区。武蔵野市。この三か所が円の中に入るのかを調べてください」


 北条は月影の指示を受け容疑者たちがいる場所を打ち込む。だがその場所は全て円から離れている。

 その結果を見て大野が呟く。

「つまり桂右伺郎、朝風前進、縦林智晶の三人の鉄壁のアリバイは証明されたということですね」

 その大野の言葉に続くように沖矢が推理を口にする。

「ということは霜中凛を殺したのは、瀬川左雪、横溝香澄、縦林千春の三人の誰かである可能性が出てきたということだよ。もしくは捜査線上に浮かんでいない第三者が霜中凛を殺したのか」

 合田は沖矢の推理を聞きながら北条に次の指示を与える。

「新宿区から半径二十キロ圏内にあって腐葉土を作っている場所は」

「調べています」


 北条は東京都内にある腐葉土を製造している場所を検索する。その結果は百か所以上。新宿区から半径二十キロ圏内にあるのは二十五か所。

 その結果を知り月影は北条に新たな指示を与える。

「このマップを捜査員全員に送信してください。この二十五か所を人海戦術で捜索します」

 それから月影管理官は集団誘拐事件の捜査本部に行き、捜査員たちに無線で指示を与える。

「現在送ったメールには、マップデータが添付してあります。そこに記された二十五か所の周辺を捜索してください。そこに監禁場所があるはずです」

 刑事たちは地図上に記された二十五か所周辺の捜索を続ける。だが監禁場所は見つからないまま、時間だけが過ぎていく。


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