風物詩
こんかいもまた短編書かせていただいております。
長編は気持ちが落ち着き次第書きます!
とりあえずよろしくお願いいたします!
夏の風物詩、それは海もそうだが。
それ以上に、これぞ夏というものを感じさせるものがある。
「花火かぁ……」
ちょうど今テレビで報道されている全国の花火中継。
8月の半ば、世間は色々と花火なとどやたらめったらに騒ぎ立てまくってやがる。
おかげさまでどのチャンネルを回しても花火一色の話題ばかりでつまらなさマックスだ。
「主?」
すると洗濯物を取り込んで一通りの家事を終えたレーヴェが俺の浮かない表情に気がついて心配した表情で見つめてきた。
ありがたい、けどお前にはどうしようもないお話しなんだ。やりはじめたらテレビ局からの苦情殺到で困りもんになっちまうからな。
「あぁ、気にしなくていいよ。俺の勝手な問題だから」
「で、でも――――」
どんだけ力になりたいんだよこいつは、俺泣いちゃうってば。
だけどこれ以上してもらうってなったら、俺どうしたらいいんだよ全く。
せめてこの辺で花火大会とかあればなぁ―――――
『明日は東京の○○区▽▽にて花火大会が行われます!まだ行かれていない方、ぜひぜひ行ってみるのもいいのではないでしょうか!』
……今何と―――?
「あぁ!ここってうちの地域のところじゃないですか!?ほら、これ近所の河川敷じゃないですか!というか家映ってますよ!すぐそこじゃないですか!!」
近く……か―――――
「レーヴェ」
「はい?」
「お前、今日この後暇か?」
「はい、私基本的に主にご予定がない限りはいますので」
それもそうだったな。逆に使い魔が留守の方がおおかったらそれが問題だ。
俺としては問題ないけど、レーヴェ的にも問題があるんだろうしな。
まぁこの場合、俺としては好都合極まりないわけで。
「今からちょっと、浴衣でも見に行かないか?」
_____________________________________
そして時は流れ、あっというまに花火大会当日の夜となっていた。
「わぁぁ!!」
カツッカツッ
「おい、あんまり離れるんじゃねぇぞ?地元だからってはしゃいでると、はぐれちまうからな」
カタッカタッ
「あっ、待ってくださいよ主―!」
俺たち二人の下駄が交差するように地面をする音が聞こえる。
無論、普通の人にはざわめきやらなにやらでかき消されているんだけど、俺たちにはなぜか鮮明に聞こえるのだ。
凄く変な感じ。でも、決して悪い気持ちはしない。
「あー、だから離れんなって。ほれ」
あんまりにもフラフラと危なっかしいレーヴェをグイッとよせて肩を無理やりにでも組ませることにした。
こうでもしないと、変な話あいつが離れてしまいそうで怖いからだ。
「えっ!?」
まぁ当然のごとく、レーヴェは困惑せざる得ない状況なわけで。
一応主だけど男である俺に肩を思いっきり引き寄せられてるんだから。
御世辞にもかっこいいと言えた顔じゃないけどな。
「あの…主――――」
「いいから、このまま行くぞ。野放しにしておくとお前一番危なっかしい」
女性に首輪をつけるようなそんな趣味はそうそう持ち合わせてないので肩を組んで逃がさないようにするのが精いっぱいというわけだ。
……でもやっぱり女の子、浴衣は似合うし匂いもいい匂いだ。
碧い浴衣にアジサイが彩られたそれは、レーヴェが珍しく駄々をこねてまで俺に勝手とせがんだだけあって、抜群に似合っていた。
正直な話し、隣が俺で釣り合っているのか不安になるほど。
「あ、ありがとうございます……」
こころなしかほんのり顔のあかいレーヴェは組んでいる俺の右腕にちょっとだけ力を入れて寄り添ってきた。
離れませんよ、絶対に。と言ったような感じが伝わってくる温度に、どうしても顔の赤みを抑えるのが難しい。
「主?」
その小さな異変にも気がつくレーヴェは本当にずるいやつだ。
お前が原因でこうも顔が赤くなっているっていうのによ。
「どうしたので―――――」
“ドーン”
レーヴェの言葉が言い終わる前に大きな花火が大きく舞い上がった。
その場にいた人全員が空を見上げる。
売店で買い物をしていた人も、売っている人も、通行人も、勧誘をしている人も、宴会をしている人も。
誰もかも、一点に集中した。
「これは――――」
「この辺で一番大きい花火、なんてテレビでいってたな」
でも正直、俺はあんまり花火とかに興味はなかったし、こうして人と花火を見に来る機会なんて訪れないと思っていたからな。
こんなに花火がきれいだなんて、思った日が来るとは思わなかった。
「凄い――――」
目を輝かせて空を見上げるレーヴェの横顔は、17歳と思えないほど子供っぽい顔をしていた。
普段が大人っぽいから、そのギャップが俺の心をさらにくすぐってくる。
「レーヴェ」
「はい―――!?」
“ドーン”
また一つ大きな花火が空を覆い尽くしたと同時に、俺はあいつの唇を一瞬だけ奪ってやった。
目に見えるほどに紅くするレーヴェに、笑いをこらえることに精いっぱいな俺。
「な、な、なにを……!」
「さぁな、お前の心にでも聞けばいいんじゃないか?」
「あ、主―!?」
さぁ、花火はまだまだこれからってことで。
あいつの手を離すことなく、もっと見える位置まで行こう?
俺も、心の底できっと、たのしんでいるにちがいないだろうからな。
何でって……
――――な奴と行くことが、楽しくないわけないだろう?
※おまけ
「おねーさまー!ふぶきがぁ!!」
「トイ?あんまり大声出したらばれるわよ?」
「というか何で俺たちはこうして二人のストーキングしてるんだ?」
「しらねーよ、というか何で俺はついてこさせられてるんだ」
「シャルーいた方が夜の眼聞きは利くだろう?だから呼んだんだよ」
「フラム……俺だって暇じゃ――――」
「シャルーさんいつも暇してるじゃないですか」
「……シャマは黙っててくれ。俺だって余暇くらい楽しみたいんだ。だからこうして――――」
「「あー!!ふぶきー!!」」
「な、なんだ!?」
「た、猛と……吹雪が―――」
「おねーさま!?お気を確かに!?」
「アンジャル様!?」
「大丈夫かよ!」
「……もう俺し―らね」
猛とレーヴェの背後から見守っている、いつものメンバーたちなのでした。
どうでしたか?
本編もこれを機に見ていただけたらと思います。
では、私は失礼いたします。