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4.伝え合うということ。








「日本語が上手くコメントできないアタシに、シロ様はどうしたと思います!? あちらも一生懸命に英語で色々教えてくださろうとしたんです!! ――『せっかくきてくれたんだから、思ってることは伝えあいたいよね』と仰って!!」

「な、なるほど……」



 ――さすがは狛犬さんの大ファン。

 思い出話であるにもかかわらず、その場面が目に浮かびそうなほどの熱量だった。いいや、ここまできたらファンを超えて信者ではないだろうか。そんなことを思いながら、俺はこう言った。



「それで、日本語ができるようになったんだ?」

「えぇ、その通りです!! 物凄く勉強して、一ヶ月でマスターしましたとも!!」

「……い、一ヶ月」



 日本語って世界的に見ても、かなり難易度の高い言語じゃなかったか。

 俺はこの来栖ミリカという少女の勢いに、苦笑するしかなかった。しかしいまの話は、狛犬シロという少女の人となりを知るには大きな情報だ。

 あとは、今日手に入れたこの雑誌になにか情報があると良いのだけど……。



「さてさて、ソースケくん! まだ時間はありますよね!?」

「え、あ……うん。まだ少しは話せるけど――」

「それでは、シロ様の素晴らしさについて語らいましょう!!」

「……おおう」



 俺は思わず、そんな声を漏らしてしまった。

 ありがたいのだけど、さすがに新参者の自分にとっては重荷な気がする。しかしこれも、恩人により良い歌詞を提供するために必要なこと。

 一つ気合いを入れ直して、俺はミリカに向き直るのだった。







『今日は楽しかったです! まさかアタシの話を最後まで、真剣に聞いてくださる新規様がおられるなんて!! 素直に感動しました!!』

『いやいや。今日は本当にありがとう、勉強になったよ』



 帰宅後、俺はミリカからのメッセージにそう返信する。

 結局のところあの後は、ミリカのマシンガントークに圧倒されているだけだったが。それでも狛犬シロという少女が、いかにファンから愛されているか、それが良く分かった。

 狛犬さんはファンを愛して、共に歩みたいと心の底から思っているのだろう。

 そう結論付けていると――。



『今度また、シロ様の素晴らしさをお話しますね!』

「……おおう」



 勢いで交換させられた連絡先。

 そこに届くメッセージに、俺はまた苦笑いしてしまった。



「でも、とりあえずファンからの視点は補強できたな。あとは――」



 返信もそこそこに、俺はミリカから預かった雑誌を取り出す。

 残るは狛犬さんがファンたちに、どのような想いを持っているのか。それを彼女の言葉の記録から、紐解くことができたらいいのだけど。

 俺は椅子に腰かけてから、雑誌を開いて該当のインタビューに目を通した。

 そして、見つけたのだ。




「あぁ、これだ。……やっぱり、そういうことだよな」




 デビュー間もない頃。

 飾り気のない、狛犬シロの等身大のコメント。

 そこには自分を愛してくれるファンへの想いが、強く語られていた。俺はそれをすべて読み終えてから、ふっと一息つく。

 そうすると、頭の中に自然と言葉が浮かんできた。

 言葉同士が引き合いあって、文章になり、そして歌詞になっていく。



「……よし。方向性は、これでいこう」





 そうして俺は、パソコンを起動して作業を開始したのだった。



 


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