4.一方その頃、黒と白。
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『それでね、先生の昔の話を色々聞いたんだー!』
『へぇ、ソースケくんにそんな過去が!!』
――一方その頃。
ミリカはシロとアプリでやり取りしていた。
互いに配信休みで、休暇を楽しんでいる。そんな中で二人の共通の話題といえば、壮介ということになるわけだった。ミリカはベッドに寝そべって、アイスを食べながらスマホをいじる。
壮介の過去については、彼女も興味があった。
なにせ彼は自身のリスナーであって、尊敬する推し狛犬シロの推しなのだ。
『それで、その後はどんな感じだったんです?』
純粋な好奇心で少女は、そのようにメッセージを送る。
すると既読こそすぐにつくが、なかなか返信がない。いつもなら一分もかからないはずなのに、かれこれ数分は経過してしまっていた。
いったいどうしたのだろう。
事務所の人から、仕事の連絡でも入ったのか。
そんな感じに軽く考えていると、ようやく返信があった。
「あ、きたきた。えっと――『じつはね、その時に告白しちゃって』か。なるほ……ど?」
そして、それを読み上げて思考が停止する。
散々舞った挙句、今度はミリカが返信できない状況の完成であった。少女は色々と思考を巡らせるが、まるで呑み込めないでいる。
そのため一度、確認のメッセージだけを送ってみた。
『えっと、それは……ラブなやつ、です?』
正直なところタップする指先が震えるミリカだが、必死に呼吸を整える。
そして、また待つこと数分。
沈黙の中、返ってきたのは――。
『うん』
――そんな、二文字だけ。
ミリカはそれを見て、改めて眉をひそめた。
これはいったい、どんな状況なのか。自分のところのリスナーが推しの推し、というのは承知していた。しかしながら、あくまで彼は自分のリスナーであって、推しの推しが推しなのであるから、すなわちつまるところ、愛の告白ということは、狛犬シロは笹本壮介に告白をした、ということ。
そのように思考が駆け巡った後、いよいよ頭の中が真っ白になったミリカはこう送った。
『あ、うん。えっと、頑張ってください!』
なにを頑張ってなのか、というのが自分でも理解できないまま。
彼女はシロの『うん、頑張る!』というメッセージに既読だけをつけて、ひとまずベッドに大の字になって寝転がった。天井を見上げて、またしばらく思考の海へ。
かれこれ、どれだけの時が流れただろう。
「あー………………ん?」
少女が口を開いて、言葉にならない声を発した頃には夕方近くになっていた。
カップ型のアイスもすっかり溶けているので、冷蔵庫に仕舞い直しつつ、ミリカはひとまず飲み物を口にしながらスマホを手にし直す。
そして、ようやく一連のやり取りを読み直した。
その直後に――。
「ええええええええええええええええええええええええええええええ!?」
周囲の家にまで聞こえるような大声で、そう叫ぶのだった。
まぁ、そうなるわな。
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