10.まるで整合性のない。
「はくちっ……ごほ、ごほ……! なんや、誰かウチの噂しとるな?」
とある公園のベンチに腰かけながら、十六夜コトカは思い切り溶けていた。
もうすっかり夏の日差しが鋭い季節になっている。そんな中で暇を持て余したコトカは気晴らしのためと思い、こうやって外に出たのだが――。
「あー……ぢぃ……完全に判断ミスったわ」
目に毒なほどの薄着をしてきたが、それでもまだ不十分だったらしい。
そのように愚痴りながらもやることのない彼女は、ボンヤリとスマホであることを調べ始めた。たしかそろそろ、あの『ガキ』が担当した曲の結果が出る頃。
そう思ってオリコンチャートを上からザっと見て、コトカは口角を吊り上げた。
「ほー? 初週23位、か。なかなかやるやん」
数字の上では、大成功と言って良い。
十六夜コトカはそう考え、スマホから目を切ろうとして――。
「……ん?」
その歌の作曲担当の名前に、目が留まった。
そう。そこにあったのは、ずいぶんと『懐かしい』名前だ。
「く、くくくく、くははははははは! なんやねん、それ! アホやん!!」
彼女は周囲の視線も気にせず、そこで声を上げて笑った。
作曲者の名前は『月見草太朗』と書かれている。それはコトカにとってみれば、作詞があのガキであることよりも、面白いことだった。
いいや、もっと正確に言えば痛快だったのだ。
「ホンマなんやねん、そこが組むんかい――」
その二人が力を合わせた。
それがとても『嬉しくて』仕方なかったのである。
「――なぁ、須藤?」
十六夜コトカは、とかく懐かしい名前を口にした。
そして、雲一つない夏空を見上げる。
降りしきる灼熱の世界に、調律の取れていない蝉の声が響いていた。
これにて第2章、完結です。
明日からはまたすぐに、第3章を開始したいと思います。
よろしくです。
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