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9話 紛うことなきルールブック 其ノ壱



 "幻想郷に無理やり連れてこられて、何か生活で変わったことはないか"



 良く聞かれる話題という話題は基本的にはこれから始まる。外の世界から『幻想入り』という形で連れてこられた者は基本的には人里に定着するそうだし、なんなら俺もそうだからな



 つまりは誰で切れる"便利な会話カード"って事だ。



 ……その外来人が輪に入れるものとそうでないものがいるというのはあしからず。



 紫の気まぐれ、神隠し、忘れ去られ……各々の理由があってこっちにやってきたわけだから別に情は掛けてやらなくてもいいが


「でもこの質問ってさ、一択な気がするんだよな」


「変わった。が大半かしらねぇ」


 朝食をつつきながら、俺と紫、そして藍さんの3人でそのワードについて議論し合う。


「四はどこら辺が変わったの?」

「俺?こうして家に来る美女が増えたってことかな」

「恐縮です」「やだ〜♡も〜♡」


 ご機嫌取りに言い放ってやった訳だが。


 実際のところ、ここに来る訪問客は皆良い人だ。慧音さんも華扇さんも霊夢も魔理沙……は、日によるか。


 んでもって、そこでくねくねしている紫が"気にかけている"(気に入っている)という理由だけで下に出てくれている大妖怪の藍さんの存在は有難いものだ。何しろ料理上手な美人程嬉しい存在は無い…………かも


 はぁ、味噌汁が美味い。


「でも〜……残念なことに、この幻想郷内にはまだまだ四に会いたいっていう子が多いのよ〜」


 そいつはお前のせいじゃねぇのかい?

 んだよ『幻想郷の賢者のお気に入り』って肩書き付けやがって


「……へぇ、これがモテ期ってやつかい。そんで?どこが残念なんだよ。別に交友関係増やせたら、"得"じゃねぇか?」

「そのうち分かるわ。嫌という程ね〜」

「………なるほど。なんか分かった気がするわ」


「もしその事についてお気に召されるのでしたら、ぜひ宴会時の博麗神社に行ってみては?」



 藍さんが遠回しに説明してくる紫に代わって分かりやすく付け足してくれた。



 博麗神社か。確かに自分から行ったことはねぇ……宴会時?


「神社って宴会するとこだっけ?フツーは会館とかじゃねぇかな」

「幻想郷は全てを受け入れるのですわ」

「そーですかい」

「……改めて考えてみれば確かに」


 慣れというのは恐ろしいものだ。……まあ、神様が居ないのなら別に飲んで食って酔っても問題は無いのかもしれない


「宴会かぁ。俺はパスだな。酒飲めねぇし」


 かといって、今年で17にならんとする未成年が飲酒など、世界のルール的に御法度である。


「ダメ!貴方が来てくれないと意味ないわ」

「誠に勝手ながら、私も紫様と同意見です。賓客として迎えられたなら尚のこと…」


 揃って出場拒否の撤回を求めてくる。さて、どうしたものか


「いや俺未成年……」

「大丈夫!こっちじゃ15歳からでも飲んでるから!」

「果たしてソイツは大丈夫だと決めつけれていいものか(正論)」


 …………まぁここまで出て欲しいと言ってくれているし未成年飲酒が禁じられていないのなら、考えておいても良いだろう。


「考えとくぜ。まあでも、なるべく茶で済ますよ。………あ、藍さん醤油取って」

「ふふ、はい。どうぞ」

「私を差し置いて熟年夫婦みたいになってる……」



◆◆◆




「よーし、それじゃあ行きますかぁ」


 思い立ったが吉日。とりあえず自力で博麗神社に向かって見ることにしてみた。

 宴会じゃないのに行く理由?なんとなくだ。確か紫も華扇さんも、死ぬほど暇な時は博麗神社に行くっていってたし。何より頼りっぱなしは性にあわない。


 それに、なんとなくでも一応聞いておきたいこともあるしな


 さて場所の確認だが……人里からはそう遠くないが別に近くもなく、かなりの石段を登らなければならないのは把握しているが


 まあ運動のような感覚で行けばいい。最悪黙って能力使っちまえば無問題だ。多分。


 強めの妖避けはされてある。さて出発、と




「あれ、四君。お出かけかい?」

「ええ、博麗神社に」

「あー、それならそっちの方から行けばいい。遠回りになるけど、妖怪が出ないからね」

「お気遣いありがとうございます」



 向かう最中にも色々と妖怪の事についてチラホラ聞くようになった。……ふむ、最近はやけに妖怪の話題が耳に入るな



 里の近くに危ねぇ連中が巣食っていんのかね

 気にはなるけど、今は神社だ。教えてもらった道では無く近道を行く。



「いっけね。お土産忘れちまった……。霊夢って何が好きなんかな」


 甘味処にでもよって何か饅頭でも買っておけばよかったと今更後悔してしまった。近道なんて行くからだ。全く


 ……別にどうだっていい。能力で創り出せばそれで。


「………………」


 いつ買ったのかとうに忘れてしまった、チョコとミルクが中に入った饅頭の箱を創り出す。


 俺は、いつこんなの買ったんだろうな




 ────思い出せねぇや




 さて、問題のこの階段だが


「よっ。ほいっと。」


 体力が続く限り、この果てしない石段を2段飛ばしで進み続ける。身体は訛っちゃいないし、そもそも運動は結構得意な方だ。


 ……にしても長ぇな。疲れてきたよ。

 紫たちが飛んで登る訳だ。俺も早く飛べるようになりたいもんだな…


「はぁ、もうそろそろだな。……ったく。苦労させやがって」


 古びた大きめの鳥居を抜けて、やっとこさ社に着いた。帰りのことなんか考えたくない。

 さて、折角来たんだし霊夢に挨拶を………


「ん?」


 目が合った。霊夢ではない。あったことの無い少女と。その少女はカールがかった緑色の長髪をしている、霊夢や魔理沙よりも更に幼く見える出で立ちをしていた。

 そして、額よりの頭頂部には大きな一本角。耳の形も人間では無い……


「こんにちはっ!」


 元気な挨拶をしてきてくれた。良かった、敵生成物ではなかったようだ。


「こんにちは。君も博麗神社に用事かい?」


「今日は霊夢さんの代わりに、博麗神社を守っているのです!」


「神社を守る………あぁ、なるほど。君は狛犬か。(そうだとしたら、この見た目にも合点がいくな)」


 妖気は無い。狛犬の妖怪ではなく狛犬に人格と身体が宿ったものだろう。近い存在なら付喪神だろうか。


「ええっと、確か………あずまさんでしたね!」

「おや、聞かされていたのかな」

「えへへ、実は四さんが最初に博麗神社に立ち寄った時、私はここに居ましたから!」


 彼女が座っている所は、ちょうど狛犬の像が鎮座している所だ。……なるほど、像になってたって訳か。


「自己紹介が遅れましたっ、私は高麗野(こまの)あうんと申します!博麗神社の狛犬をやっています!」


「改めまして、(あずま)だ。漢字の四って書いて四って言うんだ。


 それで、霊夢の代わりにここを……ってことは、霊夢はお出かけしているのかい?」


 子供の接し方はよく分からないが、悪印象を与える訳には行かない。なるべく優しく話しかけてあげよう。

 ……しかし、主さんが留守か。参ったな、結構疲れたのに。骨折り損じゃねぇか


「霊夢さんなら、朝食を食べてから人里へ向かいましたよ。なんでも人里の流行病が酷いものだと…」

「ありゃ、じゃあすれ違っちまったのかな。俺も人里から来たんだよ」

「御足労掛けてしまいましたね……それじゃあ、私が代わりにお茶を出しますよ!」


 台座から飛び跳ねて、そのまま社殿へと案内してくれた。

 恐らく居間であろうスペースに座らせられ、慣れた手付きで湯呑に茶を淹れてくれる。結構なお手前で


「粗茶ですがどうぞ!」

「こいつはどうも。……いやー、何から何まですまねぇな」

「霊夢さんが、四さんはとっても良い人だって常日頃言っていましたから!」


 やっぱ、恩は売っておくべきだな。再認識できた。

 霊夢はいないが……まあ、神社に居るのならこの子にも食わせてやるつもりだったから別にいいか。俺はお土産にと創り出した饅頭を広げる。


「それじゃあお茶菓子にどうぞ。黒いのがチョコで、白いのがミルクだから」

「わぁ!美味しそうです!」

「霊夢には内緒で、先に食っちまおうな」

「罪悪感がしますぅ…!」


 根っからの良い子ちゃんなのは見て取れる。従順、とでも言うべきだろうか。ここの実質的な主である霊夢に従う狛犬らしい。


 ………そろそろ、か。


「内緒には出来なさそうだ。ほら食べな」

「はえ?」



「あうん〜、帰ったわよ〜。」


 霊夢、帰宅。彼女自身の大きすぎる霊力が目視で近付いて来たから直ぐに分かった。


「霊夢さん!」

「霊夢、邪魔してるぜ」



「あっ、あああ四さん!? いらっしゃい!……その、さっきまで人里に行ってて…」


「お疲れ様です、霊夢さん!今お茶を用意しますね!」

「お土産持ってきたよ。休憩しようぜ、霊夢」


「ありがとう……(余計な客は寄せるなって指示しといて良かった…四さんを通してくれて良かった…)」




 お疲れ(本人曰く別にそうではないらしいが)の霊夢に座布団を差し出し、あうんちゃんがお茶を淹れる。たったそれだけの事だが、彼女はその気遣いに沁みていた。

 なんでもそういう事をしてくれる友人があまり居ないそうで…いたたまれないというか何と言うか


「美味しい……外の世界のお菓子はこんなに美味しいのね…」

「気に入ってくれたなら何よりだ。(まぁ、元は違う人が作ったヤツを俺が不正に創り出したもんだけど)」


 さて、本題には入りたいもんだが疲れて帰ってきた霊夢に無理させる訳にはいかんな


「さて、それじゃあもう暫くしたらお暇しようかね。あんまり霊夢を無理させる訳にゃいかんからな」

「えっ、あぁいや私なら全然なんて事ないわよ。四さんが来るとは思ってなくて、つい身構えちゃって…」

「ああソイツはすまねぇな。アポ無しで来ちまった」

「あぽなし?」

「連絡入れたらって事だな。



 ……それじゃあ、ちょっとだけ俺の話を聞いちゃあくれねぇかい?」


 啜っていた、もう空になった湯呑を机に置いて、霊夢に本題を話す。






「ちょいと俺に、『弾幕ごっこ』とやらを教えてくれねぇか?」



諸事情によりしばし離れておりました

これからはぼちぼち投稿できたらと思います

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