擬音文
キンキンカン!ザシュッ!ザッ!
ドーーーン!
割合でみれば少数派ではあるが、その特異性から記憶に残りやすい、なろう系の特徴とされる文体の一つにこういった擬音の使い方がある。
一時期ネットでも大いに話題になったが、音や状況の説明としての修飾語ではなく単体の文として擬音を用いる技法である。
単語だけが先行し「擬音語」そのものが悪であると勘違いされることもあるが、あくまで擬音のみの文を描写とする用法が問題視されていることには注意したいところだ。
「ドンという音に振り向くと」
「ゴロゴロと雷が鳴る中」
このような使われ方はごくありふれた、一般的な記法であろう。
問題となっている用法の発祥は漫画での効果音文字に影響されたものだという説もあるが、私自身は使うことのない技法であるのでその背景や意図を推し量ることはなかなかに難しい。
どう描写するかという悩みは大変なことあるが、それこそ腕の見せ所といえる点でもあり苦労の末にこれはという表現ができた場合などは大変な達成感があるものである。
それを考えれば、面白みもなければ読み口をも損なうこの技法は単純に『害悪』であると断じてしまってもよいのではないかとすら思えてしまう。
しかし、人数的には少数派であろうと、それを多用する作者がいる以上は何かしらの理由があるはずだ。
そんなわけで素人の浅知恵を絞りに絞って、なんとか筋の通る仮説を立ててみた。
『ライトノベルの特色に挿絵の存在があるが、一般的に挿絵はイラストとして描かれるため効果音など文字は描かれない。そこに対して装飾として本文にて擬音を挿入することで、挿絵の魅力を高めると同時に本文と挿絵というともすれば独立したモノとなりがちな二者を融和させるという目的をもってつけられた文である』
どうであろうか。
もしこの仮説が正しいのであれば、なかなかに面白い発想だと思うし素晴らしい考え方だと思う。
だが、多くの「擬音文」を使うサイト上に公開された作品は挿絵もなしに使われているため、この仮説をもってしても結局は悪手であるという話になってしまうのは、「擬音文」を快く思っていないが故の悪意の発露かもしれない。
チャンチャン