『なぁ!』ってどうやって読むの?
多くの作者がそうであるように、私も文章を書いた後は何度か読み直しをして確認を行う。
残念ながら誤用・誤字脱字・文法の間違いなどをすべて見つけることはできないが、それなりに効果があるるように思う。
効果がいまいちな原因の一つに「読み口」に注意が向きすぎているというのはある。
私は黙読時も脳内で音読がなされるタイプなのだが、その際の発音の心地よさが気になるのである。
(余談ではあるが脳内音読に関しては、全員が全員そうではないらしい)
当然、ほかの方の文章を読んでいる時も脳内音読がされるわけだが、しっくりとこない表記が使われていることがままある。
その代表が驚きの表現に使われる「なぁ!」である。
意図としては絶句の表現ではあるので、発音上は「なっ」などの促音が正しいのではないかと思われる。
ただ、表記だけを見るなら母音を強調した「なー」の発音になるのではないだろうか。
これは「にゃっにゃっ」と「にゃぁにゃぁ」の表記で考えるとわかりやすいだろう。
脳内音読では表記のままに読み上げられるので、驚いているのに「な~」と長母音の発声になるのでなんとも間抜けなのだ。
「なぁ……!」などは尻すぼみの長母音に感嘆符ともう矛盾と場違い感がひどい。
どうしてこうなったのかを私なりに考えてみたが「くっ!」と「くぅ!」、「はっ!」と「はぁ!」などの比較的発音の近いものからの派生なのではないだろうか。
私であれば、ともに前者は短く音を断ち、後者は長母音よりは圧倒的に短いがそれなりに間をとって空気を抜くように発音する。
その延長線で考えると「なっ!」は息すら止まる絶句、「なぁ!」は続く言葉を失い開いた口がふさがらず空気だけが漏れてしまう様、と考えれば発音できなくはない。
もっともこんな使い分けをしているケースは見たことがないので、発音上の誤解をなくすなら「なっ」に統一したほうが健全であろう。
『ビールを飲んだ後の短い「くぅ!」の発音で「なぁ!」よろしくお願いします』
『こちらは呼びかけなので「にゃぁにゃぁ」の発音で「なぁ!」でよろしくお願いします』
そんな面倒な切り替えにリソースを割かずに作品を楽しみたいものである。