表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドクトルテイマー 続き  作者: モフモフのモブ
9/96

エピソード9

修道院を出た後は市場で調味料とお米や小麦などを買い込みながら、孤児院に寄付するお肉をどうするかを決めるため、この世界のお肉事情を探るべく、串焼きの屋台や肉屋で市場調査を開始した。

といっても、普通に買い物するだけだけどね。

結果、串焼きで使っているのはほとんどが兎肉で、時々ボアという猪のお肉が使われていたりする。

精肉屋では、兎や猪に加えて、蛇とか蛙とかまで売っていた。

まんま豚肉じゃんというお肉があったので、何の肉か尋ねてみたところ、オークという名前だった。なんでも二足歩行で服も着ているし、武器も持っているという生き物らしい。なんで人間の女性を犯して繁殖の手段にするとか。いやな世界だ。

医者を生業とするからには、生き物をむやみに危めることはできないが、そうはいったところで人が生きていくためには、他の生き物の命を奪わなければいけない業ふぁってあるので、どこかで妥協点を見つけないといけない。

狩りをして人間の生活に必要な食料を確保するのも冒険者の仕事で、先ほどのオークなどは、どちらが捕食者か分からないほどの危険もあるということだから、命がけで食料を確保しようとする人間の立場を貶めるような生命重視の発言もできない。

あのおっきな猪は村をおそおうとしていたので、倒したギンとムートをほめることはあってもしかることはないけど、おもしろ半分に他の命を奪うことがないようにとの気持ちは持ち続けていたい。

結局食糧事情のための狩りはやむを得ないというのが落としどころかな。


そんなことを考えながら、今日も串焼きでお昼ご飯を済ませると、猪のお肉と残りを売却した代金を受け取りに冒険者ギルドに向かった。


ギルドの建物に入ると、カウンターに向かう前に受付嬢さんが走ってきて、僕の脇をかかえ、「ギルドマスターがお待ちです」とそのまま引きずられて2階の部屋に連れて行かれた。

事情が全く分からないので、言われるままに部屋に入ったところに、ギルドマスターが待ちかまえていた。

「おう、昨日ぶりだな。」ギルドマスターが声を掛けてくる。

「お肉と代金を受け取るだけだと思ってましたが、何かご用でしょうか。」

呼ばれた理由が分からないので、警戒しながら尋ねてみる。

「おう、昨日も言ったけどな、タイラントボアってのは3級の魔物だ。昨日登録したばかりの10級の冒険者にどうこうできるクラスの魔物じゃねえんだがな。おまえさんが連れている従魔はそれだけ桁違いの力があるってことだ。それでな、そんな従魔を連れているおまえさんを10級にしておく訳にはいかねえんだ。ギルドとしては、もっと上野ランクの依頼を受けてもらわにゃならねえんでな。」

一気にまくしたてられたが、そもそも冒険者のランクって何か意味あるのだろうか?

「えと、冒険者のランクって何ですか?」

「何?そこからなのか?おまえさん、冒険者のランクも知らずに冒険者になろうとしたのか?」

「ハンスさんに、冒険者登録しておくと、よその国や町に行くたびにお金を払わなくて済む、身分証明書代わりになるし、従魔のこともあるから、どうせ冒険者ギルドには登録しないといけないので、って言われました。」

「・・・お、おう。」

「話がいきなり終わりかけたが、無理矢理続けるぞ、それでギルドとしちゃあ、おまえさんの冒険者ランクを5級に引き上げようと思う。それでな、冒険者が5級に上がるためには文字の読み書きが出来ることというのと護衛任務を経験していることっていうのがあるんだ。おまえさんは文字の読み書きは出来るみたいだが、なんせ昨日登録したばかりだから、護衛任務を受けたことはない。それでギルドから護衛任務を氏名以来という形にして、その以来を遂行したら5級に昇格することにしようと考えているんだが、受けてくれるよな?」

「いくつか質問があります。まず、ランクが5級になることのメリットデメリットはありますか、あるならそれはどうういものですか?二つめ、護衛任務ってどういうことをするんですか?何故昇格の要件になっているんですか?最後に僕は人の怪我や病気を治すことを氏名としてここ(この世界)に呼ばれました。その役割は果たせるのですか?」

「何?!おまえさん治癒士か?」

「治癒士というのがなんなのかは知りませんが、病気や怪我の治療をしたいと思ってます。ただ、すでにこの世界のことはちょっと聞きましたが、魔法というよく分からない技術で人の病気や怪我を治すことは出来ません。ポーションという製法も理屈もよく分からない薬も使いません。むしろそれらがあるなら私のような人間は必要ないのかもしれませんが。」

倉庫の世界では、なぜか怪我をした人は「ヒール」というかけ声とともに発生する魔法と呼ばれる何か神秘な力で怪我が治るとされている。病気は「キュア」と言うかけ声で直るらしい。

また、その魔法が高レベルで使える人が何百年に一人くらいは生まれるらしく、その人にいたっては失った四肢も再生するらしい。

僕がもといた世界では、ようやく再生医療のとっかかりとなる未分裂前の原始細胞が発見されたか?という状態なのに、一件遅れているとしか思えないこの世界の医療は魔法というよく分からないファクターによって僕のいた世界の最先端医療よりも理不尽に進んでいる部分もあるように見受けられる。

そんな中で僕に出来ることは、従来の医療分野でこの世界の技術が落ち浮いていない知識と技術をもって救える命を救っていくことだろう。

そんなことを考えていたら、ギルドマスターが目の前で唸りながら完ふぁえこんでしまった。

「そ、そうか。だが、おまえさんの従魔は高ランクの魔中も倒せるんだ。その戦力をみすみす逃す手はないんだが。」

「うちのギンとムートに何をさせようと考えているのか知りませんが、危険なことをさせたいとは思いませんし、僕たちは筆王位名限りで必要なことしかしないし、出来ないです。」

僕はもう一度釘を刺した。

「ところで、なぜ、あなたは僕が5級になることを望むのですか?5級になると何があるんですか?」

「うっ、ま、まあ5級になると討伐の依頼をする魔物がそれだけ強くなるんだが、強い魔物っていうのは、美味しい肉が得られたり、威力の強い武器屋防具の素材になるということで高く売れるんだ。そういうものを手に入れることが出来る冒険者がいるとギルドに依頼が増えるし、何よりギルドはそういう素材の売り買いで得られる利益が大きいからな。おまえさんが持ち込んだタイラントボアの皮や牙、そして肉にも問い合わせが殺到しているんだ。ギルドとしては今後も定期的にそういう高ランクの魔物を持ち込んでもらいたいんだよ。あと、危険生ものが現れた時に、他界ランクの冒険者は国や領主の依頼によってその魔物を討伐する依頼に参加する義務を負うんだ。だから、そういうランクの冒険者を多く抱えるギルドっていうのは国や領主からの覚えもめでてえ。だからといって実力のないもののランクを引き上げたりしたら、すぐ死んでしまうことになり、ギルドの信用がかえって落ちることになる。おまえさんの実力、というかは従魔の実力だな、を見込んで是非頼みたいんだが、駄目か?」

「・・・ご遠慮させて下さい。危険なことに進んで首をつっこむ予定はありません。」

「そ、そうか・・・・無理強いはできねえ。それなら冒険者ランクは6級にとどめる。上げるのは避けられねえ。タイラントボアの討伐だけで本来なら4級までの実力の証明にはなてつぃまうんだ。5級にといったのは護衛任務で対人戦を経験しておくという条件が実力以外に要求されるからで、ギルドマスターの推薦があれば本来は三級まで昇格出来るんだが。」

「僕はそのランクとかにはこだわらないですが、生業との関係でむやみに生き物を殺すようなことはしませんので、むしろ薬草の採取とかを中信にお仕事します。」

「うっ、なんてもったいねえ。本当に気が変わったらいつでも言ってくれ。後はヨーゼフっていうんだ、冒険者ギルドシリウス支部のギルドマスターをしていることは承知していると思うが、気軽にヨーゼフと呼んでくれ。」

「分かりましたヨーゼフさん。この話はもうこれで終わりでいいですか?昨日買取をお願いした分の清算をお願いします。」

「それならもう用意してある。ルーナ、あとは頼むぞ。」

「分かりました。」僕を案内してくれた受付嬢が口を開く。

「このたびは、当ギルドに大物の買取を持ちかけて頂きありがとうございました。綿苦者当ギルドの従業員で受付を担当しているルーナと言います。ケント様にはこの先も是非当ギルドを拠点として活躍頂けると嬉しく思います。

早速ですが、タイラントボアの牙2本と毛皮で、金貨が30枚、肉は半分お売り頂けるということなので、金貨45枚合計75枚となります。ご了承頂きましたら、お金を確認し、受領のサインを下さい。」

そういって目の前にずっしりと中身がつまっている革袋をテーブルにおいた。

僕は袋の口を開いて中の金額を確認し、受領のサインをする。

「あの、もし可能であればタイラントボアの骨もお売り頂けますと」

ルーナ産がおそるおそるという感じでそう尋ねてくる。

「あ、骨は料理に使うのとギンが時々は骨をかじらないと牙が伸びっぱなしになるので。」

僕は申し訳なさそうに断り、解体場に回る。

そこで、売らずに持ち帰る猪の肉1500kgと首から下の骨を全部異次元ポケットに収納して、解体場の定理口からそのまま出た。

そのときは知らなかったのだが、僕たちがギルドの建物に入ったのを見届けていた人物の手引きを受けて、ギルドの入り口で待ち伏せしていた人たちがいたらしいのだが、すれ違いになったため、全く気付かなかった。


僕は雑貨屋によって一番大きな鉄鍋と、標準サイズの鍋を2つと底の丸い鍋を一つ、フライパンを3つ買った。


今晩からはギンも一緒に寝ることが出来るように、町の広場でテントを張ることにするため、冒険者用の野営セットとして売っていた、寝袋と地面に敷くものを購入し、さらにギンとムートの分は地面に敷く毛布を2組ずつ購入した。二重に引いてもいいし、一つは上から掛けてもいい。


僕たちは、そのままテント村のある広場に歩いていく。

すると突然後ろから僕たちを呼び止める声が掛けられてきた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ