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ドクトルテイマー 続き  作者: モフモフのモブ
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エピソード63

翌朝明け方のことだった。

一番最初に気付いたのは、やはりギンだった「ふむ」と一言発すると、「主殿、外に出るぞ」と僕を起こした。

まだ、外は紫色になりかけたばかりだった。もっともアンタレス野町より大分南にあることから、春先の肌寒さは大分緩んで、心地よい気温だった。昨晩は疲れ果てて、野営地を決めると、すぐにみんあ寝てしまい、夜中に起きることもなくぼろぞうきんのように寝たことで、まだ明るくもならないうちに起こされても目覚めはすっきりしていた。

僕は馬車の後ろの扉を開け、ギンとミニホが外に出られるようにした。ギンはすぐに外にでると、大きく伸びをした後、アンタレスに続く街道をじっと睨み付ける。

「来るぞ・・・ふむ、ここまでたどり着く前に追いつかれるか。主殿、ちょっと迎えに行ってくる。」

「え、何?」僕はまだ状況を理解出来ていなかったが、ギンはそのまま街道を走り出していた。姿が追えるので、全速力という訳ではないが、それでも目で追うのはようやっとだった。ギンの姿はすぐに見えなくなった。

僕は、残された従魔と、なんだったんだろうね?と顔を見合わせようとしたところで、ミニホとムートが、一緒に居た馬が追いついてきたんだよ、と教えてくれる。

起きたついでに、朝ご飯を食べようと、収納の中からいつでもできたてトマトベースのシチューっぽい何かを取り出し、ミニホには飼い葉を、蜘蛛コンビには、シチューの中から肉だけを取りだして、お皿に盛ってだした。

ギンもすぐに戻って来そうだったので、ギンの分も用意しておく。

盛りつけはしたものの、ギンを待たずに食べ始めるのもなんとなく憚られたので、少し待ってみようかと話し合って決める。

あまり時間がかかるようならそのとき考えてもいいし、シチューは収納してしまえば冷めない。

しかし、そんな心配も杞憂だった。

すぐに街道の地平線を横断する林の切れ目にある街道の上に黒い点が現れ、その点は少しずつ大きくなっていくと、天は一つだけでなく、いくつかあることも分かってきた。

その点の一つがギンだと分かる頃には、その後ろに居たのが、2頭の馬だということも分かるようになってきた。

馬たちはギンの後ろを付いてきていたが、僕の姿を見つけると、再び駆け出し、すぐに僕のところまで来ると、「ブルルッ」と鳴いて、頭をゆっくり下げた。

「おはよう。」馬に挨拶されたかなと思い、挨拶を返す。ギンとミニホに、違うぞと笑われるけど、まあいい。

ギンが戻って来たので、改めて朝ご飯にする。

約束どおり合流した馬も町の中に一緒に連れて行くことになるので、ミニホ用の「飼い葉、にんじんを添えて」を二頭の馬にも与える。

今日の予定は、どこかで冒険者ギルドに野盗の懸賞金を受け取りに行くとして、野菜類の買い出し、兎とボア肉も買い足しておく、修道院の訪問などである。


開門を待って、僕たちは町の中に入る。

昨日は辺りも暗かったし、門をくぐり抜けたら衛兵の詰め所、そこから冒険者ギルドにいって、すぐに町の外に出たので、町の様子はほとんどと言っていいくらい見ていない。

門からまっすぐ町の中心に向かって大きな道路が続くのは今のところどこの町でも同じだった。何かお約束でもあるのだろうか。まあ機能的であることは否定しないが。

その大きな道路沿いに冒険者ギルドがありその周辺に他業種のギルドも集まっている。やはりそういうのが効率的なのだろう。

開門直後の冒険者ギルドは混雑している。正確には、街に入ってくる冒険者ではなく、依頼を受けて町を出ていく冒険者が、朝掲示板に張り出される依頼の中から、「割の良い」依頼を受けようと殺到するからである。「早い者勝ち」の世界は、どこも行列の原因となるが、ある意味それが一番公平であることも間違いないことである。

指名依頼でもない限り、割の良い依頼をギルド側が冒険者を指定して割り当てれば、どうしてもそこに癒着だの汚職だのが生まれやすい。

僕たちは、町についたばかりで、依頼を受けるつもりもないので、わざわざ人混みの中に突入していく理由が全くないのだ。

僕たちはまず市場に足を運ぶことにした。

市場は斜度や食堂など飲食店を営む人たちも仕入れに訪れる場所で、必然的に朝早くから開いている。

僕はミニホと馬二頭のために、飼い葉に混ぜる野菜をたくさん買うことにした。

この世界でもにんじんやキャベツ、タマネギやカボチャなどはそのままの名前で売っていたというより、本当は違う名前がついているんだろうけど、この世界の言語を理解する能力をアストレアス様とアルテミアス様に頂いた時、前世の僕の知識にある同じ物については同じ名前に翻訳してもらっているのだろう。

ちなみにここにも米はあった。

米は亜熱帯の植物で、前世では品種改良が繰り返され、北海道でも栽培出来る作物になっているが、基本は温暖な気候でしか育たない。この国、そういえば名前なんだろう、でも南部に位置するこの町は他の町で見たときより米の価格が安い。もしかしたら産地が近くにあって運送費が他所の町よりかからないのかもしれない。

米はなぜか、一部の物好きが食べる以外は家畜の飼料扱いのため、家畜の飼料の値段が付いていた。

日本人としての悔しさもあるが、実際馬二頭、ミニホ一頭を連れているので、大量に米を買っても全く目立たない。

買付に来た商人のフリをして、幌馬車を馬に牽かせ、市場の片っ端から、野菜と肉を買い占めていった。

その尋常でない買い物の仕方はすぐに市場で注目を集めることになり、いわば悪目立ちしているのだが、近所の村から村人の食料を買付に来た商人にしか見えないことから、因縁を付けられるようなこともなかった。

むしろ大量に買うことで、値引き交渉がしやすくなり、また最後は、当初買う予定だった量がお金が足りなくて、数量を減らすことで、所持金がなくなりましたというアピールも忘れない。

しばしば市場で目立つ買い物をする客は、たくさん金を持っていると思われ、スリや強盗の注目を集めることになりかねないのだ。

また、買った物が野菜や穀物で有ることもこれらの面倒ごとを回避するには都合がよかった。生鮮商品はすぐに傷むので、換金しにくく、犯罪者にとってうまみがない。

家畜用の飼料は市場で売る商品ではなく、むしろ専門店があるそうなので、その場所も聞いておく。

米や小麦を売っているからといって、干し草や藁まで市場で売るのは効率が悪いらしい。かさばる割には単価が低いことも理由の一つである。

僕たちは一旦市場での爆買いを終えると、再び町の外へ出る。

買付を終えて、近くの村に戻っていく村人または商人を演出する。

そして、幌馬車の荷台の品を全部異次元ポケットに収納する。

幌馬車なのも都合がよかった。中で何をしているかなど誰にも気付かれないし、荷物が載っていたのにそれがなくなったことなど誰にも気付かれない。

もっともギンは従魔としてかなり目立つので、門番の交代を待ってから門に入るように、しばらく、クエストで薬草採取を受けた冒険者のフリをする。

体力草は相変わらずどこにでも生えていて。すぐに大銅貨5枚分の体力草が手に入る。



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