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ドクトルテイマー 続き  作者: モフモフのモブ
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エピソード60

治療が終わると、冒険者のパーティーは代わる代わるに御礼を言いに来た。

まだやることはあるんだが、失礼にならないように自己紹介だけはしておく。

治療が終わったばかりの剣士が、大きな盾使いの男性を指さし、「大盾使いのクレソンだ。パーティーではタンクを努める。」「おう、クレソンだ。リーダーが世話になった。よろしくな。」「いえ、こちらこそ、よろしくお願いします。」

会社勤めのくせが抜けず、丁重に紹介されると、どうしても警護になってしまう日本人の性格はすぐには直らない。

「で、こっちの女性が盗賊のローリエ、パーティーでは斥候やダンジョンでの罠解除を担当している。」「よろしくね。貴方が居てくれて本当に助かったわ。」

「あ、いえ、こちらこそ僕自身はたいしたことも出来ませんで。」

やっぱり謙遜が日本人の美徳であることはすぐには変わらない。

「で、」こっちのローブを着たのが、黒魔術師のローズマリーだ。パーティーでは後衛アタッカーを担当している。」「さっきはありがとう。貴方の従魔は驚くほど強いけど、ただのウルフじゃないわね。何か秘密があるの?」

「いえ、強いのは確かですが、特段秘密があるとかでは・・・」

「よせ、冒険者の手の内を探ろうとするのはマナー違反だぞ。」大盾使いのクレソンがローズマリーを窘める。

「そうね、ごめんなさい。詮索するような真似をして。気を悪くしたら謝るわ。あまりの強さに興味があったの。」

(ギンがフェンリルだということは悪目立ちの原因にしかならないので、もう聞かれても素直に答えるのは辞めておこう。)

「そして、俺が、このパーティー『冒険にハーブを添えて』のリーダーをしている。剣士のノーだ。本当に助かった。で、金のことなんだが、今手持ちがな。プロキオンの町に戻ったら、今回の護衛の報酬を合わせて必ず払うよ。で、ものは相談なんだが、野盗のうち俺らが戦った4人なんだが、防戦一方だったのは否定しない、そこのあんたの従魔の狼に助けられたのも確かなんだが、こっちにも野盗引き渡しの報酬の取り分をもらえないか。俺の治療費で赤字になっちまったら、メンバーのやつらに申し訳がたたねえ。」

「えーと私はケントです冒険者をしていますが、このとおり強い従魔が居るのでソロとして活動しています。パーティーを組む予定は当面ありません。僕の従魔が嫌がるので。あと、そっちが戦った4人は、そちらの功績にしてもらっていいですよ。それでなくてもまだ、13人居ますし。」

「ほ、本当か・・・いや、それは俺らのプライドが緩さねえ。」

「そうですか、無理にとは言いませんが、やせ我慢されて、治療費踏み倒されるか、あなた方が路頭に迷うおうが寝覚めが悪いので、正直、気にしませんが。あと、僕らはまだすることがあるので、プロキオンには、商人の護衛を引き受けているあなた方はすぐにでも出発された方がいいのではないですか?まあ、夜のうちに出ろという意味えはないですが。」

僕はそれだけ言うと、自分の馬車に戻ろうとする。

すると、そこに冒険者パーティー「冒険にハーブを添えて」が護衛している商隊のうち先ほど話しかけてきた一番年配の商人が再び声をかけてきた。

「私どもの護衛の冒険者とも挨拶が済んだようですので、一つ私どもからお願いがあるのですが、私どもはこの後プロキオンに戻るのですが、護衛の冒険者の一人が怪我したこともあり、あなた様にも護衛に加わっていただけないかと。馬車の向きを見るからに、あなた様もプロキオンの町を目指しているものとお見受け致します。であれば、道中ご一緒頂ければ、私どもも心強いのですが。」

「お申し出はありがたく存じますが、私達は、まだこの辺りですることがありますので、お気遣いなく。あと、その冒険者に払う護衛料のうち、金貨4枚までは治療費で払って頂きますので、プロキオンの冒険者ギルドに、私の冒険者カードの番号を伝えておきますので、必ず口座にお支払い頂きますよう、監督お願いします。」

「この場で現金で支払われないのですか?初対面同士で信用取引はトラブルの下ですが。そうですね。私どもが治療費を立て替えておきましょう。なに私どももあなた様に命を救われたのです。これはあくまで建て替えで、私どものあなた様への御礼は別途させていただきたく存じます。プロキオンの町を訪れましたなら、私どもの商会、エルネスト商会をお尋ね下さい。必ずですぞ。」

「ご丁寧にどうも。」行くとも行かないとも、直接回答しない日本人トークでその場をなんとなくやり過ごした僕は、自分の馬車に戻る。

縛り上げた野盗達は無造作に野盗共が旅人のフリをして野営場に乗り付けた幌馬車に山積みにして放り込み、荷台にタラちゃんの糸で縛り付けて動けなくする。

麻酔による一時的な麻痺はそろそろ解ける頃だった。

さてと、僕は襲撃班の指令を出していた男の前に行き、アジトの場所を尋ねる。

「おまえら、旅人のフリをするのは構わないけど、荷物が少なすぎるぞ。どうみても、この近くに拠点のある野盗ですと言っている用にしか見えなかったぞ。」

僕が指摘すると野盗の中の偉い立場であろう男は顔を真っ赤にして悔しそうにうめく。

「誰がおまえなんかに教えるか。」

「ふーん、あ、そう。」

僕は、注射器を取り出すと、先ほども大活躍のスコポロミンを目の前の男に注射する。

すぐに男は目がトロンとしてきた。

耳元で「襲撃は大成功だ。アジトに戻るぞ。アジトの方角と距離を部下どもに伝えろ。」と囁く。

「おまえらはまだアジトの場所も覚えていないのか、この先の街道のカーブを街道をそれて直進した森の中にある小屋だぞ。」

「あ。兄貴、なぜそいつらにアジトの場所を教えるんだ。お頭に殺されちまう。」

僕の尋問を見守っていた野盗共が慌てて騒ぎ出す。

「おまえ、兄貴に何をした。どうして兄貴がぺらぺらとアジトの場所をおまえなんかに喋るんだ。」

一人の男が血相を変えて僕に噛みつく。

僕は無視して、更に兄貴と呼ばれた男の耳元で囁く「捕らえた女はいるのか。」

へっへ、今日は大収穫だ。お頭もお喜びになり褒美に昨日捕らえた女とヤらせてくれるはずだ。一晩中楽しむぜ。」

「女は何人いるんだ。」

「3人も居れば、一人は俺のモンだ。さあ帰るぞ。」

「聞きたいことは以上だ。うるさいから、おまえは寝とけ。」

僕はそういって、麻酔を追加する。

男は意識を失いそのまま幌馬車の荷台に倒れて意識を失った。

夜が明けたら、奇襲しにくくなる。人質になりそうな女性が3人いるらしいので、素早く秘密裏に行動して、結果に結びつけなければならない。

商隊の一行は夜明けを待ってプロキオンに向かう用だが、僕たちは来た道を一旦アンタレスの方向に戻り、アジトを急襲して人質を解放しなければならない。

幌馬車は、完全に積載荷重を超過しており、ミニホがいくら普通の馬より力があるとはいえ、見た目に虐待であり、野盗を積んだ幌馬車を牽かせるのには抵抗があった。まして元々幌馬車を牽いていた普通の馬に牽かせる訳にはいかない。

そこで、ギンに頼んで、幌馬車を牽いてもらった。僕たちの馬車は収納し、ミニホは幌馬車を牽いていた馬と一緒に幌馬車の後をついてきてもらう。

僕たちが野営場を後にして、アンタレスの方向に走り出そうとすると、ジョージアさんが、「ケント様たちは、プロキオンの町を目指すのではなかったのですか。」

「先ほども言いましたけど、この辺りでやり残したことがあるのです、どうやら行き過ぎてしまったようで、少し戻って用事を済ませてから、プロキオンの町に向かう予定です。」

僕はそういって、一行に別れを告げ、アジトを目指して暗闇の道を進んでいく。

自白の中にあったカーブが見えてきたところで、タラちゃんに頼んで、これ以上接近した場所で騒がれると奇襲にならなくなるので、野盗全員の口を糸で猿ぐつわにして封じてもらう。

細かいわめき声しか漏れなくなったところで、街道脇に幌馬車を止めて、ムートに見張りをお願いする。

ムートは先ほどから野盗との戦闘に自分が活躍出来ないことを不満に重い、一緒に行きたがったが、ムートの戦闘は派手で、広範囲に影響を及ぼすので人質救出作戦にはあまり向いていないことを伝える。寂しそうな顔をしたので、全部終わったら一杯遊ぼうと約束して期限を治してもらう。幌馬車の見張りをムートと井田さんと荒事の苦手なミニホが担当し、僕とギンとタラちゃん、そして万一捕まっている人が怪我をしていた場合に備えてプルンが救出作戦に向かう。

その小屋はすぐに見えてきた。入り口に二人の見張りが立っており、わかりやすいくらいの盗賊小屋であった。

とりあえず見張りに騒がれると、人質の危険が増しそうなので、対策を考える。人質の場所が分からないのに、正面突破という訳にも行かない。

そこで、僕はタラちゃんに、幌馬車まで井田さんを迎えにいってもらう。

タラちゃんでは大きすぎて気付かれないように小屋に侵入するのは、難しい。そこで井田さんに斥候を頼むことにしたのだ。

井田さんは、体の小ささもあって魔物の中では、弱い部類に属する。スライムと比較しても遜色のない弱さである。

それだけに敵地への潜入を依頼するのは心苦しい。くれぐれも安全第一でと念押しして、送り出す。

井田さんは森の中がホームグラウンドなので、水を得た魚のように、すぐに小屋の右あら側に回り、そのまま壁づたいに屋根へと登り、軒下の隙間から屋内二侵入することに成功した。

ファンタジー名世界のお約束に、テイマーは従魔と感覚を共有できるという能力がある。

僕はこれを使って、井田さんが見ている景色を直接離れたところに居ながらにして見ることが出来た。

小屋は二階建てで、ふんぞり返って酒を飲んでいる男が二階の一番奥の部屋に居た。どうやらこいつが、頭と呼ばれる野盗集団の頭領だろう。

その部屋の前に警護にあたる男が一人、隣の部屋に3人がいた。捕らえられているという女性は、2階には居なかった。井田さんは階段ではなく、床下の隙間から1階の天井に抜け、天井の隙間から1階を覗く形で、偵察を遂行する。

入り口を入ったところに多きな広間があり、そこに5人の男が酒を飲みながら、襲撃に出た仲間が戦利品を持ち帰って戻ってくるのを待ちわびていた。よもや、その全員が捕縛されて、プロキオンの衛兵に突き出される予定であるとは夢にも思っていない。

1階は大きな部屋が一つあるだけで、ここにも捕まっている女性が居なかった。

井田さんに、なんとか1階の床下に潜り込むように念じる。

テイマーと意識のつながる従魔は、テイマーが考えていることがなんとなく伝わるらしい。科学的に説明するのはおよそ不可能だけど、ファンタジーの『お約束ということで理由なしに存在する現象なのでそういうものだと思うしかないようだ。

井田さんはきょろきょろ見回した後、床の隅がめくれている場所を見つけて、そこから床下に潜り込んでいく。小さな蜘蛛が這い回ったところで、森の中の小屋という環境かrたは何の不思議もないため、あっけにとられるほど簡単に井田さんの偵察は進んでいく。

そして、ようやく、床下なのに、四方を壁のような板で囲んだ区画があり、井田さんはそこから先に進めないが、どうやら形状からみて、そこに地下室があることが分かった。

兄貴と呼ばれた野盗の自白より、このアジトの中に捕らえられている女性が3人居て、2階と1階に居ないという事実から、消去法で地下室に閉じこめられているという選択肢しか残っていないことになる。であれば、作戦としては、小屋の入り口の見張りをしている野盗2名を声をも上げさせずにノックアウトし、そのまま正面突破で1階を制圧した後、地下室の女性達の救出作業を行い、その間に2階から降りてくる野盗をギンが制圧すれば救出作戦が完了することになる。

井田さんが引き上げ江きたところで、井田さんに労いの言葉をかけて、撫でて上げて、井田さんには幌馬車に引き上げてもらった。ここからはギンの独壇場である。

早速ギンは目にもとまらぬ速さで、見張りを殴り倒して気絶させると、そのまま二人を離れたところで見守っていた僕たちの前まで引きずってきた。

タラちゃんに猿ぐつわ込みでぐるぐる巻きにしてもらい、その場に放置する。

僕たちは慎重に小屋に近づく。


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