告
看護婦達が忙しなく歩き回る病院内。
フロアーに設置されたテレビからニュースが流れている。
『 ・・・屋上で刺殺体で発見された男子生徒は自殺した男子生徒の犯行と断定。被疑者死亡のまま・・・ 』
病室前で小声で話す吉田と畑野。
「数種類のドラッグを一辺に服用したと」
「あぁ、どうやら常習してたようだ」
「今回の事件と何か関係してるんでしょうか?」
「分からん・・・・ただ、あの学校が尋常ならぬ状態に置かれていることだけは確かだ」
病室から医師が出てくる。
「意識が戻りました。どうぞ」
中へと導かれる二人。目の前にはベッドの上、放心状態でボーっと天井の一点を見つめている篠山が横たわっている。歩み寄る吉田が質問する。
「どうしてドラッグなんかに手を出したんだ?」
しばしの間の後、口を開く篠山。
「・・・・ど・・・・らぐ・・・・」
「そうだ、飲んだろ」
深く息を吐き出し目を瞑る篠山が呟く。
「・・・・やっぱり・・・・」
「・・・まさか、知らなかったのか?」
意外な答えに眉をひそめる吉田。
「・・・・なんと・・・なく・・・気付い・・てたけど・・・・」
とその時、畑野の携帯が震える。それを手に着信相手を吉田に見せる。そこには「佐藤」の文字。軽く頷き「出ろ」の合図を送る吉田。
「もしもし・・・・」
応答しながら病室を出ていく畑野。
さらに質問を続ける吉田。
「どうしてそんなものに手を出したんだ?」
ゆっくりと目を開く篠山の瞳から涙が零れ出す。
そして語り出す。
「・・・自殺した三人・・・やつらは・・・・俺の仲間・・・だったんです」
ハッとする吉田。
「怖かった・・・・みんな自殺してく・・・・」
ボロボロと涙が流れて落ちる。
「昨日まで普通にしてたのに・・・・一人、また一人・・・」
震えだす。
「残されたのは俺ひとり・・・・不安だった・・・・」
「だからクスリに頼ったのか?」
その質問に、初めて吉田に目を向ける篠山。
「貰ったんです・・・・「精神安定剤持ってるよ」って言われて・・・・あいつらもいろいろあったから、医者に処方されたって」
興奮し始める。
「仕方なかったんだ、殺らなかったら殺られるから!!次はお前だって!!」
「落ち着け!大丈夫だから!なっ落ち着いて、」
篠山の肩を押さえ込み落ち着かせようとする吉田。
「ハァ〜、ハァ〜、ハァ〜、」
目が泳ぐ篠原。
「君は警察に守られてる、大丈夫だ」
徐々に呼吸の乱れが収まる篠原。
そこに携帯片手に畑野が戻ってくる。
「例の発信元分かりましたよ」
吉田に耳打ちする畑野。その内容を聞いた吉田が呟く。
「双子の生徒から?・・・・」
「今彼らの身元を洗ってます」
再び吉田の視線が篠原に向けられる。そして質問する。
「篠原君、「あいつら」って言ったよね?あいつらって誰なんだい?」
「・・・・・・」
目線を逸らし覚束ない口を動かし始める篠山、その名が告げられる。