戯
生徒たちが次々と帰路についていく。
彼等にインタビューを試みる各社報道陣。
「・・・・・」
何も言わず拒む者。
「ぷぷっ、ウケる・・・死んで当然!」
「殺されて当然、キャハ、」
受ける者。
それぞれが、非現実的な非日常を楽しんでいる。隠し切れぬ他人事の表情がファインダーに収められていく。流れ作業のごとく続けられる臨海戦術のインタビュー合戦。その中、レポーターの一人が手を繋ぎ歩く二人組みに歩み寄りマイクを向ける。
「ちょっとお話聞かせてもらってもいいかな?」
立ち止まる二人。
「・・・・・」
「・・・・・」
無言のままじっとレポーターを見上げる二人に少したじろぎながらも
「金山先生が、亡くなった三人の生徒から暴行を受けてたって本当なのかな?」
定例の質問を投げ掛けるのは、新人キャスター橋田愛子。彼女を見て二人見つめ合い俯く。そしてほくそ笑み呟く。
「・・・・橋田」
「・・・・愛子」
握る手に力がこもる二人。
「あっ、嬉しいなぁー。名前覚えててくれてるんだぁー」
名前を出され素直に喜ぶ橋田、調子付いて質問を続ける。
「二人は金山先生と亡くなった子たちとは親しかっ・・・」
「いいこと教えてあげる」
それを遮る女生徒、榎真。
「えっ、なーに?」
思わぬ進言に瞳を輝かせる橋田に、悪戯な笑みを向け
「でも交換条件がある」
告げる男子生徒、芹。