粉
6:39
校舎内。
そっと戸を開け職員室を覗く榎真と芹。そこには既に3名の教員が出勤している。机に向かいそれぞれの作業に追われている。二人顔を見合わせ頷きその場を離れる。
給湯室。
その前、芹が見張りをしている。
中では電気ポットの蓋を開ける榎真、お湯の中に白い粉を入れる。
†
6:43
正門前。
路駐するマイクロバスの中、携帯片手に後部座席に腰を下ろしテレビ局と連絡を取っている橋田。その意気込んだ言葉が飛ぶ。
「えぇ頼みます!生放送で一つ・・・・・任せて下さい、絶対いい画撮れますから、お願いします!!」
運転席に座る樫沢が声を掛ける。
「おい」
「それは私達が直接向かいますから」
無視して電話に向かう橋田の肩を揺さぶり強く呼び掛ける。
「おいって!」
「なによ!今局に・・・・」
手で電話を押さえ見上げた橋田、言葉が詰まる。そこには窓の外、警察手帳を見せ付けてくる畑野の姿が、中を覗き込み睨み付けている。
「詳しい話・・・・聞かせてもらおうか」
†
9:10
校長室。
畑野が校長と教頭に向かい話をしている。
「あの二人の言動におかしな所はありませんでしたか?」
校長が口を開く。
「おかしいと言うか、あれ以来普通じゃありませんけどね」
「なにせ、事件が事件でしたから・・・・」
教頭が口を濁す。
「刑事さんはもちろんご存知ですよね、二人の両親が少年Aに殺されたってことは」
「えぇ」
即答する畑野。
ドアを叩く音とともに女教師がお茶を持って入ってくる。
「失礼します」
お茶を差し出す女。
「どうぞ」
「・・・どうも」
口にする畑野。
†
校長室を出る畑野。
「それではどんな些細なことでも何か分かりましたら連絡お願いします」
一礼しドアを閉め立ち去ろうとした目の前、女生徒が一人立ち尽くし見つめている。
「?」
廊下の真ん中、無表情のまま見つめてくる女生徒、その視線を気にしつつも、その横を通り過ぎようとすると
「刑事さん?」
突如尋ねてくる。
「!?」
ハッと彼女を見ると女生徒は続ける。
「屋上で待ってるって」
「えっ?」
「北川さんが」
「!?」