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6.イケメンはクッキーがお好き? ~ケヴィン変身大作戦②~

ノエルの腕はやっぱり良い!


あっという間にケヴィンの髪がさっぱりしていった。


前の世界で言う某雑誌系のメンズモデルみたいなさわやかで可愛さを残したショートヘアよ!


「かっわいいわっ!!!」

「でしょう?!可愛さを残したヘアスタイルにしてみたわ!」


テンションの上がる私とノエル。


ケヴィンは顔を赤くして鏡を見てる。


「可愛いわよ、ケヴィン!」

「か、かわいいってなんだよ!俺は男なんだぞ!」

「男だろうが女だろうが可愛いは正義よ!!!」


と反論した私にノエルも頷いている。


「ノエルありがとう!いい感じになったわ!」

「いいえ、こちらこそ楽しい仕事をありがとう!また来てちょうだいね!」

「うん!」


複雑な表情をしてるケヴィンの手を引っ張る。


「さぁケヴィン!次に行くわよ!!」

「いってらっしゃ~い」

「じゃあまたね、ノエル」


次は眼鏡よ!!


眼鏡屋さんはお父様に聞いたお店に行った。


だって眼鏡かけないからわからないんだもの。


ドアを開けると優しそうな顔をしたおじいさんがいた。


「マドレーヌ様ですか?お待ちしておりましたよ」

「はじめまして。父からこちらの店を教えてもらいましたの。今日は彼に似合う眼鏡を探していて」


と私より少し後ろにいたケヴィンの背中を押した。


「こちらのぼっちゃまの眼鏡ですね、かしこまりました。いくつか見繕って来ますのでそちらにかけてお待ちください」


そういうとおじいさんは奥に入っていった。


「おい、お前、猫かぶりすぎじゃねーか?」

「あら、当り前じゃない。時と場所に応じてきちんとした対応が出来なくてどうするのよ」


小声でケヴィンと話しているとおじいさんがトレイにいくつかの眼鏡を入れて持ってきた。


黒縁のインテリ系の眼鏡、細い銀縁の丸眼鏡や、この世界では珍しいフレームレスもある。


「どれも素敵ね!」

「ぜひかけてみてください」

「そうね、それがいいわ。ケヴィン順番にかけてみて」


端から順番にケヴィンにかけさせる。


…イケメンってなんでも似合うのね…


どの眼鏡も似合っている。


黒縁もきりっとした感じがいいし、丸眼鏡は可愛さが強調される。


「ケヴィンはどれがいいの?」

「うーん、この黒縁かな、しっくりくる」

「じゃあその眼鏡でお願いします」

「かしこまりました。では視力を合わせるのでこちらへどうぞ」


おじいさんはケヴィンを奥に促すので軽く手を振って送り出した。


しばらくすると黒縁眼鏡をかけたケヴィンが戻ってきた。


「どう?」

「…視界が広い」


前髪と瓶底眼鏡に隠されていた顔がしっかり見えるようになって、まるで別人のようになったケヴィンは落ち着かなさそうにしている。


「とっても似合ってるわよ。じゃあ行きましょう?」

「お、おい支払いは?」

「私からのプレゼントよ!また作って欲しいものもあるしね」

「は?自分で払うし!」

「今回だけだから甘えときなさいよ!」

「でもっ!」

「でもじゃないの!私のわがままに付き合わせてるんだからいいのっ!うんって言わないとお菓子あげないからねっ!」

「っ!お前!そればっかりずるいぞ!」

「女はずるくていいのよ!」


ふんっと体を反らせて言うと、奥に居たおじいさんがくすくすと笑っていた。


ケヴィンと二人で顔を赤くするとお礼もそこそこにそそくさと店を出たのだった。



「もう!みっともないところ見られたじゃない」

「自業自得じゃねーか」

「もうっ!!」


お店を出たとたんまた二人で言い合いになっていた。


…騒いだらお腹すいたわ…


「お腹空いたからおやつの時間よ!公園にでも行きましょう!」

「…お前ホント唐突…」


公園に向かい方向を変えた私に合わせて向きを変えたケヴィンはブツブツ言いながらも一緒に来てくれた。


なんだかんだ言っても根は良い子だよね。


公園に着いたのでカゴに入れていた敷物を出して引くとクッキーと一緒に紅茶も用意する。


「クッキーとアイスティーよ。どうぞ召し上がれ」

「アイスティー?紅茶を冷たくして飲むのか?」

「ええ、さっぱりしておいしいわよ?」

「へぇ…」


まず先にアイスティーを飲んだケヴィン.


「…うまいな」

「クッキーもどうぞ」

「ああ」


良く見えるようになった目が見開かれたと思ったら2枚目に手が伸びていた。


「すきなだけ食べていいわよ」

「…おう。ありがと」

「いいえ」


3枚目を食べ終えたケヴィンは紅茶を飲み一旦動きを止めた。


「この前のもうまかったけど、コレうまいな」

「気に入ったならよかったわ!また作ってあげるわね」

「おう」

「あ、そうそう。今度このアイスティーを入れる容器作ってよ!今は気候がいいからいいけど、夏には冷たく、冬には温かいのが飲めるようにしたいの!」

「おま、ホント唐突…」


ケヴィンは思わずといった感じで吹き出した。


屈託のない少年の笑顔は初めて見た。


今までは表情もまともに見れなかったのもあるけど、それ以外でも苦笑や呆れたような顔が多かったから。


「任せとけ。またコレ作って持ってこいよ」

「ええ!もちろんよ!」


こうして無事に、私は道具類の作り手の餌付けに成功したのだった。


自分で書いておきながらお菓子テロに悩まされています…(笑)

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