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第90話 神話

 マヌケが放った高出力エネルギー砲は巨大ロボットに直撃した。すると大きく身体を仰け反らせて、後方へ倒れてしまう。


「なんだと?!」


《マネシス、もうやめにしませんか? 一体何があなたをそこまでやらせるのですか?》


「うるさい! その気色悪い喋り方をやめろ! お前に何が分かるのだ! 私はここから出るのだぁああ!」


 大天使は巨大なレーザー砲を具現化し、マヌケと同じような高出力のエネルギー砲を放つ。それを私とマヌケの前に立ち、必死に光の壁でガードするヘタレ。後ろへ押される身体を私とマヌケがしっかりと支える。


「3人なら……負けないんだよ!」


「光月流、光一閃」


「暗遁、闇分身の術」


「ツインバスターカノン」


 ヘタレは光の壁を展開したまま、自身の周りに無数の光の剣を出現させる。私は闇分身体を10体出現させて、ヘタレの光の剣をそれぞれに持つ。

 そしてマヌケが高出力のレーザー砲を放ったと同時に11人の私は稲妻を纏いながら大天使に向かってそれぞれが攻撃を仕掛ける。それは、けたたましく降り注ぐ落雷のように。


 マヌケの攻撃を巨大ロボットが身体で受け止め、大天使は具現化した機械の剣で私の攻撃を捌いている。そこへ更に攻撃を仕掛ける。


「光月一刀流、光桜一閃(こうおういっせん)


「忍殺剣が最終奥義、桜一文字(さくらいちもんじ)


神機カミオリスナイパーモード、ブラスターカノン」


 マヌケの混信の一撃で、遂に盾となっていたロボットは砕け散り、私の分身体全員で大天使の剣を弾き飛ばした。

 そして、無防備になった大天使に向けてヘタレは光の速度で踏み込み斬り捨てる。更に、私(本体)はヘタレの光の剣を両手に持ち、背中側にバッテンを作る形で構えてから一気に踏み込みと抜刀の力を合わせて切り捨てる。


 私とヘタレの攻撃はほぼ同時であった。


「ぐがぁッ?! ま、まさかここで……敗れるとは……」


 そう言い残し、大天使は倒れて動かくなくなった。


「お、終わったの?」


「……まだなんだよ。こいつは本物じゃない。」


「えッ?! ヘタレ、それはどういうことなの?!」


《そう、ヘタレちゃんの言う通りあの大天使はマネシスの人形でしかないの。》


――そうなの?! じゃあ一体マネシスはどこに?


《天上界よ、桜夜ちゃん。そこにマネシスはいる。》


「全く……よくもやってくれたものですわね。これではもう本当に計画は絶望的ではありませんの。」


「「「ッ?!」」」


 倒れて動かなくなった大天使から女の人の声だけが聞こえる。その者は、その声だけでも私達の神経を強張らせる程の威圧を放っていた。


「しかし、おいたもここまでですよ。神光、力を貸しなさい。さもなければ……」


「んッ?! うあぁ゛?! い、痛い?! あああぁぁぁ?!」


 マヌケが突然身体を抑えて痛み出した。私達はすぐに駆け寄るが全く原因が分からない。ただ、マヌケの心臓の鼓動がどんどん異常に早くなっていく。


「や、やめて! マヌケを苦しめないで!」


「言ったでしょ? 私ならこの子は簡単に殺せるのですよ。」


「わ、わかった! 分かったらやめて! お願い!」


「よろしい、来なさい。」


 マヌケの苦しみはすぐに解かれたが、とてもぐったりしている。ヘタレは私とマヌケに一言「ごめんね」と言い残し、立ち去ろうとする。


「待って。」


 そう言う私をギュッと抱きしめて、涙で濡れたその顔で眩しい笑顔を見せる。


「さよなら。私の大好きな……世界で一番愛しい人」


 ヘタレはその言葉を最後に忽然と姿を消してしまった。


《桜夜ちゃん! 今ヘタレちゃんの力が使われたことがわかりました! 早く、地上へ戻るのです! もう少し時間はありますが、このままではこの星が滅びてしまいます! 桜夜ちゃん! ヘタレちゃんを助けるのでしょ?! まだ諦めないで!》


 スマコの声で我に返った私は、マヌケを優しく抱き寄せる。


「はぁ、はぁ……アンブ。まだだよ、絶対ヘタレを助けるんだからね。」


「うん。」


 私はマヌケの言葉に頷くと地上へ空間転移する。


 地上では龍魔の5人とヨゴレが天使族との闘いを終えてボロボロの状態で座っていた。すぐさま皆を異空間へ収納した私は、再度空間転移を行いインチキとエドルドがいる王都へ向かった。


 そして全身を異空間から出して、スマコが話を進める。


《いいですね? 落ち着いて聞いてください。今から話すことはあなた方にとってはとってもショッキングなものであると思って下さい。》


「ふ、ふむ。分かった。話してくれ。」


 そこからスマコこと神成はこの星の真相を全て話し出した。


――それは遥か昔の神々の思い出。


 その昔、世界には「神成カミナリ:ウラシス」「神光カミアリ:ツキシス」「神機カミオリ:マネシス」「神森カミモリ:モラシス」「神邪カミジア:アクシス」という5人の神々が存在していた。

 その者たちは、この世界の創造主である神々の頂点に立つ「神聖シンセイ」からの指示に従い、この世の均衡を保ってきた。それぞれが世界を滅ぼせるほどの力を持ち合わせているこの5人には絶対に犯してはならない禁忌条約を結んでいた。

 その禁忌とは、「同族である神殺しを行ってはいけない」、「生命の創造を行ってはいけない」の2つだけだ。それ以外は基本的に自由であり、思うままに行動しても良かった。


 神々は膨大過ぎる世界の中に太陽という名の明かりを灯し、星という名の惑星をあちこちに作っては遊んでいた。それくらいしかすることも無かったからだ。次第に星や惑星の数が増えすぎていることに気が付いたので、ブラックホールという名の自動掃除機で常に掃除したりもしていた。


アクシス「あぁ~ん! 暇よぉ~! 暇なのよ! なんか楽しいことはないの? マネシス!」


マネシス「ふふふ、あなたはいつまでたっても幼稚な頭しか持ち合わせていませんねぇ、アクシス。あなたが暇だという度に星を作るものだから掃除が大変ではありませんの。少しはご自分で片づけてはどうですか?」


アクシス「な、なによぉ~! マネシスったらまた子供扱いしてぇ! ねぇウラシスもなんか言ってやってよ!」


ウラシス「……」


アクシス「無視かぁ~い!」


ツキシス「えへへへ。ウラシスは本当にかわいいんだから! うふふふふ。」


モラシス「ははは! お前たち2人は本当に仲がいいな。お前らもウラシスとツキシスを見習ったらどうだい? アクシスにマネシスよ。」


マネシス「そこの変態を見習う要素は1つもありませんことよ、モラシス。」


アクシス「変態ってツキシスのこと?! 寝ているウラシスのおっぱい触ったり口にチューしたりパンツの匂い嗅いだりしてニヤニヤしていることを変態っていうの?! ねぇそうなの?!」


ウラシス「……変態」


ツキシス「んなッ?! だ、黙りなさいアクシス! ち、違うのよウラシス! 誤解よぉ! お願いだからそんな目で見ないでよぉ! 私から離れないでよぉ! あなたが本気で逃げたら早すぎて追い付けないんだから!」


モラシス「ははは! お前ら本当に最高だわ! ずっとこうして笑っていような。」


「「「あたり前でしょ?」」」


 この5人の神々同士はとても仲が良かった。

 

 そう、この時までは。

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