表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/118

第85話 大天使

 オスの絶対的な防御力の前に、成す術がない私達。


思念「アンブどうする? アタシ達の攻撃パターン完全に読まれちゃってるよ」


思念「……お手上げ」


「本当に?! なら逃げちゃう?」


――いやいやいや……普通に声出しちゃってるじゃん。しかし、本当に参ったね。私もこのまま逃げてもいい気がしてきたよ。クモがインチキ達と国民は結構遠くに逃がしてるし、敵も国民を殺すつもりはないみたいだし。逃げちゃおうかなぁ……。


「おいこら……もうぜってぇ逃がさねぇぞ。お前は俺が……もらう。」


 突然私の背後から聞こえたその声は、怒りと憎しみが込められていた。


「……カス」


「おぉやっと返事してくれたのか? 生きて戻ってきたぞコラ。とっとと俺の女になれコラ。」


――どうも様子がおかしい……一体どうしたというの?


「それはもう……壊れた。悪いがお前を壊し尽くすまで止まりそうにないぞ。」


 すかさずオスが声を上げる。


「はぁ、はぁ、ぁああああアンブぅ~~~」


 すでにエンジェルフォーマーで変身している状態で向かって来るカスに、もの凄い勢いで仰向けに押し倒される。その姿は、この前みたいな腕の剣はすでになく、カスのボロボロの手だけだ。

 それにコアがあった心臓部は何かの機械で応急処置を行った後なのか、心臓が剥き出しの状態であり魔動力の緑の光に光る心臓がドクドクと鼓動を起こしている。その痛々しい姿に目を背けたくはなるが、可哀想だとは思わない。何故ならクモはもっと酷い痛みと苦しみを与えられていたからだ。


「はぁ……はぁ……あんま持たねぇんだ。早く本気だせよ。じゃねぇと殺すぞ?」


 カスはそう言いながら私の胸に手を当てて乱暴に力を入れる。私はその痛みで咄嗟にカスの手を振り払い、蹴りを入れながら距離を取る。


「なんだ? お前もそんな顔すんだな! はっはっはっ! わかったぞお前の弱点!」


 また勢いのままに私に向かって突っ込んでくるカス。そのカスの姿を見ていたマヌケは眉間にしわを寄せ、こめかみに青筋を立てた状態で躊躇なく銃の引き金を引いた。それをすかさずガードするオス。


「邪魔しないで。殺すわよ?」


「ふむ。すまんがそれは出来ん。一応あれでも俺の友だからな? お前も友なら信じてみたらどうだ?」


「……」


 そして、また私は倒されて両手足を抑えられて身体を弄られる。


――ひぃぃぃ?! 触られた、触られた! 初めて男に触られた! 何これ! 超乱暴! こんな触り方するなんて信じらんない! こういうのは普通もっとドキドキ展開とかがあんじゃないの?! 私の初めて返してよ! 私の初体験返してよぉ!


《主よぉ、お前だいぶ痛いこと言ってんぞ? 貧相な胸揉まれたくらいでうろたえるなバカが。》


――ひ、ひどいよスマコ! 貧相って言わないでよ! だって男に胸を揉まれたら子供出来るんでしょ? 私大人の階段上っちゃったんでしょ?! カスの子供できんの?! いやだぁぁぁああ!


《いや……その……なんだ、それで子供は出来んから心配すんな。 ……ったく誰だよ、こんなややこしいことを教えた奴は……って私だったわ。》


――そうなの?! 絶対妊娠はしないんだよね?! 信じていいんだよね?!


《あ、あぁ。大丈夫だ。だからな? この童貞くんに、とってもきつい言葉を浴びせてやれ。 その言葉はな…………》


「初めて?……へたくそで痛い……もう触らないで」


「んなっ?!」


 顔を真っ赤にしてプルプルと震えだすカス。その様子を遠くから見ていたオスが顔を抑えてしまう。


――本当に効いたわ。よく分かんないけど、言ってみるもんね。


「焔遁、砲炎火の術」


 その言葉でプルプル震えたまま停止してしまったカスを上空へ蹴り上げる。そして、無防備な状態のカスへ忍術を発動する。


「ぐあぁ?! くそ……くそ!」


「やめて……へたくそ……キモイ……引くわぁ~」


 無表情の顔で痛烈な言葉が棒読みのように投げかけられる。


「お、お、おま……」


 その言葉により明らかにダメージを追っていくカス。私とカスのやり取りが気になってしょうがないのか、いつの間にか戦うことをやめて顔をこちらに向けたまま動きを止めているマヌケとオス。そしてオスからは盛大な溜息が漏れている。


「所詮我らは作られた人間だ。本当の人間の真似事は出来ぬのか。」



「……こそこそとしよって。そんなことがお前らの望みだったのか?」


 突然天から現れたその声の主は、白と黒の装束に身を包み、大きな白い翼を背中に付けた中年の男性だった。そして、その隣にはカスと全く同じ人物がもう1人いた。


「だ、大天使……様。何故あなたがこのような場所に。」


 大天使と呼ばれたその中年男性を目にしたオスは怯えるようにそう言うと、すぐに跪く。


「608号……だった者よ、お前の変わりはもうここにいるのだ。お前は消え失せろ。」


「そ、それは俺ではありません! 俺はまだ生きています!」


「お前の電池はもう切れる。動かないおもちゃに私は用がない。」


 大天使はそう言うと、掌をカスへ向ける。


神機カミオリ、無限キャノン」


 大天使が神機の力を発動すると、1つの巨大な銃が空中へ現れた。その銃から高出力のエネルギー砲が放たれ、それはカスに直撃した瞬間に大爆発を起こした。カスの断末魔は爆音と共にかき消され、その身体も跡形もなく消滅してしまった。


 その凄まじい衝撃波が私とマヌケを襲い、その勢いで吹き飛ばされてしまった。


「な……あれは本当に神機の力」


 どうやら大天使が神機の力を使うことは本当のようだ。それにマヌケの力よりも遥かに格上の力を感じる。それはマヌケがその者に作られた存在であるということを裏付けることにもなったのだ。


「599号、お前は残念な失敗作だ。滅びろ。」


 私は瞬時に神成カミナリモードを発動し、マヌケを抱きかかえて空間転移をしようとしていた。だが、それよりも早く私の首を手で掴んで持ち上げる。


「うぐッ?! んっ……」


「忌々しい神成を纏いし者よ。その存在を消してやるぞ。」


「や、やめて! アンブを離して!」


 大天使がもの凄い握力で首を絞めて来るので逃げることも腕を振り払うことも出来ない。その大天使に向けて、マヌケは何度も何度も拳銃の引き金を引くが全く通じない。


「608号、609号……黙らせなさい。」


 その言葉と共に、オスと人形のように感情が無くなっているオスがマヌケに向かって動き出す。


「に、にげ……」


 私は必死にマヌケに向かってそう言葉を発する。


 しかし尚も拳銃をひたすら撃ち続けるマヌケ。


 そのマヌケに向かって猛スピードで攻撃を仕掛けようとするカオス。


 私は次第に意識が薄れていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ