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第83話 真実

 さかのぼること、3時間前。


「それじゃ、みんなお願いね!」


「「はっ!」」


 そして、今から始まる闘いに備えて各自配置に着くことになる。


 アンブが帰って来てから約3時間程、ずっと苦しそうにしていたが遂に倒れてしまった。


「アンブ?! ねぇ、どうしたの?! アンブ?!」


《マヌケ様、大丈夫だ。力を使い過ぎていて今は気を失っているだけだよ。私から説明しよう。》


 そして、アンブとヨゴレちゃんに起こった全ての真相を私は聞くことになる。


 空飛ぶ戦艦での内部でのこと、機械人との闘い、90号と123号を倒したこと、そして勇者候補が置かれていた状況とその後のこと。


 勇者候補が置かれていたその状況を聞いた時には怒りで震え上がってしまった。醜い姿に変えられ、地獄の苦しみを与えられ続けるなんて、まさに自分たちが生きる為の道具としかみていないようなその可哀想な扱いに我慢できない。


 その勇者候補が入っていたカプセル周辺の機械を破壊したアンブは、自らの異空間へ仮死状態の勇者候補が入ったカプセルを収納した。


 アンブの異空間の中では、時は止まっているが時間は流れている。つまり仮死状態のまま時間は流れていることになるので、すぐにコンちゃんを異空間へ入れた。


 そしてコンちゃんはヨゴレちゃんを助手に付けてすぐにオペを開始した。しかし、いくらコンちゃんの技術と知識を持ってしても、その子が助かる見込みはほぼゼロに近かった。

 それは、あまりにも時間が無さ過ぎたからだ。少々の瀕死であろうが、身体の一部が無かろうが、大抵のことならコンちゃんは治せる。

 しかし、この勇者候補の身体は内臓組織だけが無理やり生かされているだけで、いわいるホルマリン漬けみたいな状態だった。


 アンブがカプセルごと収納したことが功を奏し、その中の成分と同じものを作る事に成功したので、後は身体の内部のただ繋がっていただけの内臓同士や筋肉組織など人間として本来あるべき姿に戻していったそうだ。


 聞いていただけも気が遠くなるようなその神業をコンちゃんはやってのけた。それもアンブがその間ずっと時を止めてくれていたからこそ成し得た技だそうだ。もともと人間の細胞の死滅スピードはとても速く、脆い。特に脳や心臓などに関してはすぐに死んでしまうものらしい。

 それをアンブは時間を止めることで停止させていた。しかし、それには魔力を大量に使う必要もあり、激しい闘いの後だったということもあって、先ほど力尽きたということだ。


 2人のおかげでなんとか人間の身体へと戻った勇者候補はまだ意識が戻っていないそうだ。このまま意識が戻らない可能性もあるし、戻ったとしても記憶が残っていない可能性もあるらしい。


 それに、生きる為に最低限必要な臓器しか残されていなかったので、そこには代わりになるような臓器を無理やり移植しているらしい。その拒絶反応が起こる可能性もあるということで、まだ油断できない状態ということだ。


 そこまで話すと、スマコちゃんは勇者候補の容体を見るといって異空間側へ行ってしまった。


――一体スマコちゃんの存在ってどうなっているんだろ。アンブが寝ていたり、気を失っていたりしてもスマコちゃんは普通に話しているし……AIってものだと聞いたけど、もう完全に1人の女の子として存在しているよね。


 そんなことを考えていたら、刻刻と時間は過ぎていたので一休みした後にアタシ達はそれぞれの配置に着いた。


*****


そして現時刻。


「お前らに対してもう手加減も油断もせんぞ。エンジェルフォーマー、オン」


 そう言い放ったオスは天使族の力を開放する。

 全身をシルバーと黄金の鎧に身を包み、両腕には見るからに強靭な盾を携え、背中には両側に刃が付いている巨大な斧を背負っている。


 その巨大な斧を軽そうに振り回しながら刃先をアタシに向けた。


「何か企んでいるそうな気配もするが、無駄だ。さっさとお前を殺してアンブを始末する。そしたら我らの計画を邪魔する者はいなくなる。」


「……誰を始末するですって? ツインバスターカノン!」


 アタシは2つのレーザー銃をドッキングさせて1つのレーザー銃へと変えた。そして放たれる高出力エネルギー砲の威力は2つが合わさることで大幅にアップするのだ。


 その高出力エネルギー砲をオスに向けて打ち込んだが、両腕の盾に簡単に防がれてしまった。


「むぅ~。さすがは神機の力を持つ者、侮れん。しかし、所詮はコピーか。オリジナルには程遠いわ。」


「オリジナル?! どういうこと?!」


「ふん、何を隠そう我らが大天使様はその神機の力を使われるのだ。お前を作り出した時に何かの間違いでその力の欠片を宿してしまったようだな。しかし所詮は偽り物のコピーにすぎん。大天使様の力には程遠い。」


「作り……出した?!」


****


 私は今マヌケの花びらの機械から2人の会話を聞いている。


 そしてオスから驚愕の真実を聞くことになる。


 この地と人間や魔物、魔動力などはその全てが神機の力で作られた存在であるということ。それを行ったのは大天使という者であり、その者は今も生きていて「天空界」という場所にいる。


 そして、この世界に生きるマヌケやヨゴレを含めた全ての人類はこの大天使と呼ばれる者の手によって作られた。この世界の人類は他の生物とは違って繁殖行為を行わない。というよりも、その方法を知らなかったのだ。


 よくよく考えなおしてみたら、本当の親子というようなやり取りをこの星に来てから私は見ていない。マヌケもモトクズ達とは養子の関係だったし、港町にも子供はいなかった。


 この星の人々の名前が番号だったのはただの製造番号でしかなかったのだ。マヌケが599号なので、599番目に製造された人間だということ。

 でも450号のヨゴレは同い年だし、確か港町に700番台のおばあちゃんがいたはず。ということはその番号は亡くなったら引き継がれるということだ。

 マヌケがそうだったように、この星の人間も私達と同じように生まれたては小さくて普通に成長していくということを踏まえれば、それは間違いないだろう。


 この話が本当ならこの大天使というやつはとんでもない力を持っていることになる。ただ、目的が分からない。


――この地で人と魔物を戦わせる目的は? 人間を機械人にしてこの先何をしようとしているの? そして、ヘタレに何をさせようとしているの? ヘタレはそれを望んでいるの? 私にはもう……関係ないか……。


 分かったことも増えたが、同時に分からないことも増えてしまった。

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