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第82話 処刑

 キリサメの演説で各国の国民や王都の処刑場では大歓声が広がっている。


「ありがとう諸君。しかし残念なことに、我々の思いに賛同できない者達がいた。それは各国の国王達だ。我とここにいるシリウス(西の国王)が必死に説得するも、彼らは自らの独占欲に目が眩み、国民の安全と平和を蔑ろにしてきたのだ。我らを危険と判断した東の国王は国王会議の場で我々を暗殺しようとしたため、その場で斬り伏せた。そして、ここにいる2人の国王もまたその暗殺に関与していたのだ。彼らは国と国民を独占したいという欲求しか持ち合わせていなかった。皆、よくここまで我慢した。今こそ、我らと共に国王に支配されながら魔物に怯える生活を脱する時ではないだろうか? 個人それぞれが力を持ち自分達で国を守れる自由を持つべきではないだろうか?」


 インチキを信じていた国民の皆からは戸惑いや悲しみの声が上がっている。それに対して、何も弁解しない2人の国王。それに対してより一層不信感が募っていく国民達。


「同じ国王として長き日を共に過ごした者達であったが、我は己の人情を捨てて全国民の為に今ここで、この国王達を処刑すると決めた。今こそ掴むのだ、個人の自由を!」


 そう宣言したキリサメに対して、反対する者は誰一人としていなかった。

 

 そして、キリサメは口元の口角を上げ、手下の機械人へ合図した。すると2人の機械人が、はりつけにされたインチキとエドルドに向かって銃を構える。


「やれ。」


 キリサメが合図したと同時に2人の機械人は銃口をインチキとエドルドへ向けて、引き金を引いた。その瞬間に銃声が轟き、魔動力で放たれた大量の弾丸が高速で2人に向かって迫る。


「蜘蛛忍法、糸壁の術」


 突然、インチキとエドルドの目の前に分厚い蜘蛛糸で出来た壁が立ちふさがる。それにより2人に放たれていた弾丸全てが弾かれてしまう。


 そして、処刑されるはずだった2人の頭上から、碧色の髪を靡かせて天使のように奇麗な羽根を羽ばたかせた女神のような美しい美少女が華麗に舞い降りた。


 その美しい姿に全国民が魅了されたことは間違いないだろう。群衆の中には女神様が舞い降りたと思い、手を合わせる者までいた。


 そして、その美しい姿には到底似つかわない2丁拳銃を両手でクルクルと回しながら、機械人達にその銃口を向ける。


「だ、誰だ貴様! 構わん! 撃ち殺せ!」


「無駄ですよ。」


 キリサメの掛け声のもと銃弾の嵐が美少女を襲うが、目にも止まらぬ早撃ちでその全ての弾丸を撃ち落としてしまった。


「クモちゃん。」


「あいあいさぁ~! 蜘蛛忍法、糸の舞」


 これまたどこから現れたのか分からない色白の美少女が、指先から蜘蛛の糸を出してまるで舞い踊るかのように巧みに糸を操り、銃を持っていた機械人2人を瞬時に拘束してしまった。


「マ、マヌケくん……ちょっと遅かったから本当に死んだと思ったよ。」


「ふふふ、生きているからいいじゃないですか。」


「そ、それよりもマヌケとやら、早くこの錠を解いてくれないか? 俺は危うくチビリそうだぞ?」


「だっらしないんだ南のおっさん。処刑前にあんだけ水飲むからでしょ?」


「お、お前たちが俺たちを囮に使うとか言うからだろが! 気が気でなかったぞバカ者!」


「まぁまぁエドルド。こうして助かったのだ。今はよしとしようではないか。」


「マキシムお前……股間が濡れ……いや、今はよそう。」


「お前たちまさか助かった気でいるんじゃないだろうな。」


 キリサメがそう言うと、別の機械人達が4人を取り囲うように魔動力を発生させて迫る。


「クモちゃん、インチキさん達と国民の皆さんの避難をお願いね。ここはアタシが何とかするよ。」


「はいはぁ~い! こら、インチキと南のおっさんいくよ!」


「ちょ、ちょっと待ってくれないか? せめてズボンを……」


 インチキとエドルドはクモに首根っこを掴まれたまま猛スピードで駆けて行く。それに向かって機械人達が攻撃を仕掛けようとしていた。


「フレイムカノン」


 マヌケは火炎魔法で弾丸を作り出し、次々に機械人達のコアを撃ち抜いた。


「い、一撃だと?! 我らは機械人だぞ?! 貴様は一体何者だぁ! こうなってはマズイ、シリウスよ、魔物を全て呼び寄せるのだ!」


「そ、それが先ほどからやっているのですが、全く魔物に反応がないんですの!」


「もう魔物を操ることは出来ませんよ。操られていた魔物は全てもとに戻しましたので。」


「なんだと?! どういうことだ!」


「そちらが開発した、あの薬剤を無効化する薬剤をこちらは持っています。その薬剤で操った魔物に各国を定期的に襲わせていたことも知っていますよ。」


「そんな……私達がずっと研究してきたあの薬剤を……打ち消したというの?!」


「南の国の勇者候補を探しに迷宮内に入って来た全ての魔物はその薬剤を服用させました。なので、もうあなた達では操ることは出来ません。」


「えぇ~い、この役立たずが! まだだ、この王都内には大量の機械人を待機させておる! 直ちにこちらへ向かわせるのだ!」


 このやり取りは全て各国へ投影されたままだ。よって、当然このやり取りを全国民は聞いていた。魔物を操って各国を苦しめていた黒幕はこの者達であったこと、それはこのやり取りを聞いていた者であれば誰がどう考えても分かることだった。


 そして、キリサメの合図により王都周辺に隠れていた数百人の機械人が魔動力を発動させて王都内の空へ飛び上がる。


 マヌケは翼を広げて空中へ急上昇し、全ての敵が見えるその位置で止まった。空中に浮かんでいる全ての敵がレーダーでロックオンされていく。


神機カミオリポジトロンモード、バスターカノン」


 マヌケは2つの拳銃を大きなレーザー砲に変え、それを180度対角に両手を広げた形で固定し、そこから高出力のエネルギー砲をクルクルと自身が回転しながら撃った。

 すると、空中で180度周囲を囲んでいた機械人が次々にそのエネルギー砲に巻き込まれて消滅してしまった。


「そ、そんな……うそだ。」


 地上に舞い降りたマヌケはキリサメに向かって口を開く。


「さて……そろそろ観念していただけますか?」


「こ、これまでか……」


「……全く、やってくれたなマヌケよ。」


「っ?!」


 突然そう言葉を発したその者は、忽然と地面の光の中から姿を現した。


「オス……」


「おぉぉお! 天使様! これで我々は救われたぞ!」


 オスの姿を確認したキリサメとシリウスは歓喜の声を上げる。その様子を気にも留めることなくオスは会話を続ける。


「これでは我々の計画が狂うではないか。これ以上、余計なことをしないでもらおうか。」


「その計画っていうのは機械人化計画のことなの?」


「ふふ、そんなものはただの通過点でしかない。我らが偉大なる大天使様はもっと先を見据えていらっしゃるのだ。」


「大天使?! その人が全て根源なのね?!」


「全ては大天使様の意志のままに。さて、お前もいくらか力を付けたようだが、サシでの勝負に勝機はないぞ。」


 オスの言う通り、カスとオスの強さはほぼ同じくらいであり、前回は皆の力を合わせてマヌケの不意打ちでギリギリ勝つことはできた。しかし、1対1の勝負では完全に不利の状態だった。

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