A4_不審な動き
別ルート編です。
こちらもストーリーを進めます。
ウチらはアンブの父親らしき人の後を追って歩いている。アンブのお父さんはたくさんの人込みの中をスタスタと早いスピードで歩いていく。
田舎育ちであるウチらはこの人込みの中を進むだけでも大変だ。しかし、やっと見つけた手がかりを絶対に見失うわけにはいかないというその気持ちがウチを焦らせていた。
「おいチェイサー待てって! 逸れるって! おいチェイサー……」
ウチはモドキの声が聞こえていなかった。
「……行ったか?」
「そのようね。」
「この俺に発信機を付けた挙句、あそこまで追ってくるとは……一体あの子らは何者なんだい?」
「あの女の子はいわいる追跡者、ターゲットとした者の行動や生活全てを調べ上げるプロよ。そして、男の子はどんなにセキュリティシステムでも侵入するプロ。なんといってもウチの家に侵入してみせたのだから。」
「全く……桜夜のクラスメイトにはとんでもない者達がいたもんだ。一歩間違えればトップクラスの犯罪者じゃないか」
「そうね。でも、まだあの子らは何もしてないわ。そしてこれからもさせない。正しき方向へ導いてあげるのよ。」
「そうだな。」
ウチはアンブのお父さんから身体を支えてもらった時、咄嗟に小型の発信機を服へ付けていた。しかしいつの間にかその発信機は反応は無くなり、その反応を見ていたスマホの電源は切れてしまった。
そして対象を完全に見失った挙句、モドキともいつの間にか逸れてしまい連絡も取れない。どうしようもなく1人でトボトボ歩いていると急に不安と寂しさが込みあがってくる。
やがて都会のネオンが落ち着き、いつの間にか暗い路地へと足を踏み入れていた。そこの電信柱に手をついた状態で俯いている1人の女の人を発見した。ウチはその人が心配になり近づいて声をかけた。
「あの……大丈夫ですか?」
「……」
ウチの声に反応したその人は、ウチを見つめたまま微動だにしない。
「あのぉ……っ?!」
ウチは目を疑った。
その女の人は突然不可解な動きをし始めて、機械音を立てながら大口を開けたと思ったら、なんとそこから銃口が出て来たのだ。
「え?! た……たすけ……」
その銃口からは緑色の光が集まっており、今にもそれが放たれようとしていたが、ウチは突然のことで身体が動かなかった。
すると突然、テレビやアニメなどでもよく目にしていた忍者が使うあの手裏剣が女の人の口の中の銃口へ突き刺さった。それにより、緑の光が口の中で暴発して女の人は煙を上げながら後ろへ倒れた。
「すぐに離れなさい! それはまだ動きます! マギ、あの子を安全な場所へ!」
「はいマスター。」
何処からともなく声がした。そして、倒れていた女の子人は機械音を立てながら起き上がり、全身から煙を噴出し始めた。
――一体何が起こっているの?!
その女の人は背中部分が捲れあがり、そこから小型のジェットエンジンのようなものが現れて噴射し、もの凄いスピードで向かって来た。
「ひっ?!」
「桜夜流、龍雷拳」
突然ウチの前に現れたおじさんが、向かって来る女の人に向かって拳を突き出した。すると人間からは絶対に出ないような音を立てて、吹き飛んでしまった。
現れたそのおじさんはウチが追跡していたアンブのお父さんだった。その姿は先ほどのスーツ姿から、全身を黒の装束に身を包んだ忍者のような恰好をしている。
そして電源が切れていたはずのウチのスマホから謎の声が聞こえる。
「チェイサー様、早くお逃げになって下さい。ここにいるのは危険でございます。」
「だ、誰?! それになんでその呼び名を……」
「今は逃げることが先決です。私が誘導しますので、その通りに進んで下さい。」
それから私はその謎の人物の言う通りに道をかけて行く。すると、ウチを探していたモドキと合流する。
「おいチェイサー。置いてくなんてひどいじゃないか。全く……えッ?! お、おい!」
ウチはモドキの顔を見た瞬間に先ほどまで命の危機に晒されていたことを実感し、心の底から震えが止まらなくなってしまった。
「何かあったのか? 大丈夫か?」
「チェイサー様に怪我はありませんので心配ご無用です。それよりも私のマスターから話があるようなので、私の言う通りに進んで下さい。」
「え? 誰なんだ?」
驚いているモドキを無視して、指示された通りに道を進んで行く。すると、人気のない路地裏に古い倉庫のような建物がありそこへ連れてこられた。
中に入るとそこには全く何もないただの倉庫だったが、その中央部分の地面が横に開きそこから下に行ける階段が出現した。
ウチらは驚きながらもスマホの声に従い、そのまま進んで行く。
その地下はとても広くて大きな建物の中のような状態だった。そして、その中のある部屋に入るとマスターと言われていた人物と対面する。
それはアンブのお母さんだった。
「一応はじめまして、かしらね? 栗林智美ちゃんに橋本護くん。それともチェイサーちゃんにモドキくんと呼んだ方がいいかしら?」
「ウチらのことは全てお見通しというわけですね。アンブのお母さん。」
「そうね。悪いけど全て調べさせてもらったわ。」
「ぼ、僕達をどうするつもりですか?! なんならその……お嬢さんを……下さい。」
「……はっ?!」
突然わけのわからないことを言い出したモドキ。ウチとアンブのお母さんは2人して目が点になってしまった。
「この子……大丈夫なの? あなた友達止めた方がいいんじゃない?」
「奇遇ですね。ウチもたった今そう思っていたところです。」
「うちの家やクローゼットに入って鼻息荒くしていた子に、大事な桜夜ちゃんをあげるわけにはいかないけど、あなた達、私に貰われる気はない?」
「え?!」
そこから服部家の新事実を聞かされることになった。アンブのお父さんは忍者でお母さんはスパイであるということ。そして、この2人も消えたアンブとヘタレ様を探しているということ。アンブがヘタレ様を連れ去ったと思っていたが、それはウチの勘違いだったようだ。
ウチらを誘った理由は、この能力が十分スパイとして通用する力があるというのと、その能力を悪用してほしくないからだそうだ。
そしてなんと、私のスマホから声を出していたのはアンブのお母さんが作り出したというマギという名のAIだった。
ウチでは到底知り得ない程の知識や技術力を持っているアンブのお母さんにウチは次第に惹かれていくのだった。モドキに関しても、まずはアンブのお母さんと仲良くなってみせると俄然やる気をみせていた。
そしてアンブとヘタレ様の捜索をしている傍ら、最近不可解な事件が増えてきているというのだ。それは先ほどウチが襲われたように、人間の姿をした人間ではない者が人を襲ったり大事件を引き起こしたりしている。それはこの辺りだけではなく、世界中で起こっていることらしいのだ。
もちろんそれは公にはなっておらず、テロや原因不明の爆発事故などで処理されてている。更に、その人間ではない者達は殺しても捕まえても忽然と姿を消すそうだ。もはや自分達だけでは手が回らなくなってきたというのも勧誘の理由の1つらしい。




