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第71話 想いのバトン

 さかのぼること、カスへの奇襲をかける少し前。


「お願いでございます。主様、マヌケ様、ワレワレは大事な仲間を連れ去られたのに何もしないなんてどうしてもできません!」


「それは分かってるよ。でもあいつは今までの敵は段違いの強さなの! みんなが普通に太刀打ちできる相手じゃないんだよ!」


「それでもデス……。どうか、この通りデス。」


「み、皆頭を上げて? アタシもアンブも同じ気持ちなんだよ? もともとアイツの狙いはアタシ達。クモちゃんはそれに利用されてしまったの。それなのにアタシは……。」


――この中で一番責任を感じているはマヌケだろう。あの時助けに出ていれば……なんて後悔をずっとしているはずだ。それを分かった上でこの4人も何かしたいんだね。でもどうしたらいい? クモを上手く助け出せたとしても……カスとの戦いは避けられない。どうやったらカスに対抗できるの?


《一つだけだが可能性があるぞ。》


 それからスマコはその可能性の話を皆に始めた。


 機械人は魔動力を発生させているコアを破壊すれば動きも止まり、やがて息絶えてしまう。それは天使族であるカスも同様だろうということ。カスが発生させている魔動力の根源もまた、そのコアであるからだ。

 しかし、カスの装備や身体を簡単に貫くことは不可能だ。それはその装備や自身の身体も強靭なものである上に常時魔動力を纏って身体強化も図っているからだ。

 逆に言えば、その装備を破壊し、魔動力を著しく消費させればコアを撃ち抜けるかもしれないということだった。


「それであればどうかワレワレに装備を破壊させて下さい。悔しいですがワレワレには、コアを貫いたり魔動力を消費させるほどの力がありません。しかし、必ず装備だけは破壊してみせます。」


 静かな怒りに燃えている4人は真っすぐに私達を見ている。その決意に対してもう何も言うことは出来なかった。


《後は……1番問題となるのが、魔動力を消費させる役だ。》


「それはアタシがやる! アタシがクモちゃんを……。」


「……私がする。」


「なんで?! アタシじゃダメなの?!」


《マヌケ様よ、今回の事でいろいろ後悔し過ぎだ。自分を責めて問題が解決するわけじゃないんだぞ?》


「で、でも! あたッ?!  ア、アンブ?!」


 私はマヌケに強めのデコピンをする。赤くなったデコを抑えながら私を見るマヌケを、ギュッと抱きしめた。


《マヌケ様、コアの破壊はマヌケ様しかできねぇ。今回はこの4人も主でさえも囮みたいなもんだ。この囮役は誰かが死ぬ可能性がある。下手すると全滅もあり得る。それでも立ち向かうんだ。クモを必ず助けるという1つの想いを胸に必死にバトンをマヌケ様に繋ぐんだ。その全て想いをのせて撃ち貫いてくれ! これが今私達に出来る最善の策だ。》


****


 アタシはクモちゃんが捕まっている場所が良く見える遠くの山頂に来ていた。


アタシは神機カミオリモードを通常モードからスナイパーモードへ切り替えた。すると、2丁拳銃が身の丈よりも遥かに大きな1つのスナイパーライフルへと姿を変える。地面にうつ伏せ状態でそのライフルを構えて魔動力を溜めこみ、レーダー式のスコープでターゲットであるカスをロックオンする。


 それからアタシはじっと我慢した。クモちゃんの拷問にも4人へのひどい仕打ちにも、アンブの命の危機にも、じっと我慢した。もちろん見ていてとても辛かった。どれだけの力で歯を食いしばっていたんだろう……唇から血を流しているのにも気が付かなった。涙で地面が濡れているのにも気が付かなった。ただただアタシはじっと我慢した。


そして、4人が装備を破壊した後にアンブは見事にカスに全力の攻撃をさせてみせた。すると、カスの魔動力がその攻撃に使われたことで身体を守る方の魔動力が弱まった、その瞬間をアタシは見逃さなかった。


全てはこの時この瞬間に、今まで我慢していた全ての怒りをのせて全力で撃ち抜くため。


神機カミオリスナイパーモード、ブラスターカノン!」


 アタシの怒りと皆の想いをのせた狙撃は見事にカスのコアを撃ち抜いた。


*****


 マヌケは一番いいタイミングで見事にカスのコアを貫いてみせた。


――マヌケ、本当に良く我慢したよ。後でいっぱい撫で撫でスリスリしてあげよっと。でもそれには私が生きて帰る必要があるね。これの回避は…不可能だね、これ早すぎだし。何かの術で跳ね返す? 無理無理無理無理、絶対に無理。あっ! そうだ! ってやばッ?!


カスが全力で放った攻撃は光の速度で私を飲み込み、空へ向けて突き抜けていった。


思念「アンブ?! ねぇアンブ?! 無事よね?! 早く返事してアンブ?! ねぇって、きゃあ?!」


 突然後ろから私が返事したもんだからマヌケが飛び上がってしまった。いろいろ考えていたけど、普通に空間転移で逃げればよかったのだ。いくら光の速度でも次元を超えた空間を移動するその速度にはかなわない。

 しかし、それには光の速度で忍者のポーズを取って術を発動する必要があったけど、カスが攻撃する前にもうあのポーズを取っていたのが幸いした。

 私が転移したその場所はマヌケのすぐ後ろ。そこからすぐに返事をしたので驚かせてしまったみたいだ。


――なんかごめん。


 私はマヌケに無事を知らせると、手を引いて一緒に先ほどのカスがいる場所へと戻る。


「お、お、があああぁぁぁぁ……。ちくしょう……コアを……やりやがったな……マヌケぇ~……」


 私は神成(カミナリ)モードを纏い、更に追撃を行う。


「焔遁、砲炎火の術」


神機カミオリポジトロンモード、バスターカノン」


 私が攻撃を放ったと同時にマヌケもスナイパーモードからポジトロンモードに切り替えて攻撃を行った。

 現在マヌケの神機カミオリモードには通常モードと、先ほどカスを狙撃したスナイパーモード、現在のポジトロンモード、それと全ての武装を具現化するフル装備モードがある。

 スナイパーモードは、遠くからの魔動力を溜め込んで凝縮された高出力なエネルギー砲による狙撃が可能で一撃必殺の威力がある。しかし、発射するまでに時間がかかるので連射は不可能なのと、大きなライフル銃なので取り扱いが難しく近距離では戦えない。

 ポジトロンモードは、いつもの拳銃が大きな2つのレーザーライフル砲に変化するモードである。これで撃たれる高出力レーザー砲の威力は、魔動力を溜めこんで撃つスナイパーモードには及ばないが、通常の拳銃よりも広範囲に強力なレーザー砲を撃つことが可能となっている。


 私達の同時攻撃によりカスの身体は飲み込まれて、どんどんダメージを受けていく。


「お、おごぉぉぉおおお……さ、再生が……間に合わん……があああぁぁぁ。」


《いまだ! 主決めろ!》


――こいつだけは絶対に許さない! これで最後だよ!


「忍殺拳が最終奥義、忍雷卍傑にんらいばんけつ

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