第67話 国王会議
いつも読んでいただきありがとうございます。
ストックが無くてギリギリで投稿しています。
何度も見直しているのですが、もし誤字脱字等あれば教えてください。
よろしくお願いします。
本日朝方の火事についてインチキさんに問い詰めている北の国王。しかし、こいつは真実を分かった上でハメようとしている。
私は相手の表情を見ればそのくらいは分かる。もちろん今朝のことはインチキにはマヌケが報告済みだ。こちら側は、あろうことかデスとインコとポチをひどい目に合わせられたのだ。
「そうか、それはビックリだ。実は昨晩俺の知り合いは別の場所に泊まっていてな、お前が指定してくれたその宿には泊まっていなかったのだ。」
「そんな戯言が通じるとでも? こちらは店主を殺されているんだぞ? 一体どういうつもりだ?」
「お前こそ何のつもりだ? こちら側が何かやったという証拠でもあるのか? 変な言いがかりを付けるのはよしてもらおうか。」
「き、貴様……。」
「まぁキリサメよ、確かにマキシムのいうことも一理ある。もう少し調べてからでもいいのではないか? なんなら第3者の立場である俺がそれを受け持ってもいい。」
話の途中で南の国王が助け船を出してくれた。きっとインチキのことを思ってのことだろう。
「……まぁいい、次に行こう。」
それから各国の国の状態をそれぞれの国王が説明していく。その内容はほとんどが魔物の侵略に関してだ。ここ最近は被害がどんどん大きくなっており、それが国の収入源を蝕んでいるとのこと。インチキが付けている盗聴器で私達はその全ての会話を盗聴している。
しかし話を聞いている限りではおかしな部分が多いらしい。ここまで頻繁に迷宮内の魔物が地上に出てくるということはあり得ない話なのだ。
国王達の会話からして、その話は私とこの5人が出会う前の話であり、その時に迷宮内の魔物が大量に地上へ出て行った事例は全くないらしい。
しかし、アイレンズで見た国王達の表情や鼓動などからして多少過剰に話してはいるが、嘘でないことは確かなのだ。
特に東の国への被害はかなり大きいようで、特産である豊富な農作物が魔物に荒らされて収入面はおろか、国民の一日の食料面でも絶望的な状態であるとのことだ。
――まぁそれを聞くと、あの東の国王や450号とかいう勇者候補が中央の国を狙うのも頷けるか……。まぁやり方は間違ってるけど。
「各国、勇者候補は健在か? 世代の交替は起きていないのか?」
「我ら中央は健在だ。」
「同じく南も健在である。」
「西は死亡しています。」
「東は……死亡しておる。」
――まぁそういう芝居をうったからね。今は私の異空間にいるし。
「北も死亡している。」
思念「嘘デスね。西の勇者候補は魔物に殺されていたのをコンが見つけたので迷宮の入り口へ遺体を持っていきましたが、北は知りません。」
デスが、そう発言する。この北のキリサメって奴は嘘ばかり付いているようだ。勇者候補の存在を隠しておく理由が今のところ分からない。東の450号と同じように何かに利用するつもりなのか。それを今考えても仕方のない事である。
「それじゃあ今はルドラルガとセンテロスの2人しかいないわけですわね。それなら中央と南以外の国の被害が大きいことも頷けますわね。」
「シリウス、我らルドラルガは先日大規模な魔物の襲来を受けた。しかも今までの魔物とは違って何千もの魔物全てがルドラルガの中央都市を滅ぼそうと攻めて来たのだ。」
「な、何だって?! おい、それは本当なのかマキシム?!」
「ふん、冗談に決まっておろう。そんなバカな話があうか。」
「そうですわ。仮にそれが本当であったとして、何故ルドラルガは無事で済んだのですか?」
「それは、我らが防衛システムで何とか対応出来たからだ。」
それからマキシムことインチキは機械人の事についても話を出した。しばらくはこの話題で話が長くなっていたが、さすがに信憑性がないので北、東、西の国王は信じていなかった。だが、やはり仲がいい南のエドルドだけは信じてくれたようだ。
――やっぱり北と西は分かっている上で嘘をついている。本当に知らないのは東と南だけだ。私が見ていたのが不運だったね。
とりあえず話は中央の防衛システム技術力の提供を約束することで終わった。
――まぁあんなひ弱な防衛システムの技術なんかあっても大して役には立たないしね。
「各国、やはりいろいろな原因の根源は迷宮の魔物である。今は勇者候補が2名しか存在しておらず、正直あてにもならん。ここはひとつ、本当の意味で5つの国を1つにする時が来たようだ。」
「それはつまりどういうことだ? キリサメ?」
「それは……こういうことだよ。」
「ぐあああぁぁぁ……」
「な、なにをするのだキリサメ?!」
キリサメは突然自身の机に仕込んでいた剣を引き抜き、隣に座っていた東の国王の心臓を一突きにした。ロドリグは断末魔を上げて倒れ込み、そのまますぐに息を引き取ってしまった。
それにすぐ反応したのが南の国王だ。しかし、すぐさま西の国王に後ろから拳銃を向けられる。
「き、貴様ら……なんのつもりだ?」
「抵抗するな。貴様らはまだ殺さん。だが、お前たちの国は俺がもらい受けるがな。」
「キリサメもシリウスもやめるのだ! どうしてこうなった? クモくん、すまない助けてくれ!」
インチキが声を上げると同時にクモがキリサメとシリウスに向けて蜘蛛糸を巻き付けて拘束しようとした。
しかし、その瞬間に会議室の床面が光り出し、突然そこから現れた者によりクモの糸は簡単に切り裂かれ、それは阻まれてしまった。
更にその者は見えないはずのクモを足で踏みつけて動きを抑え込んでしまった。
「丁度いいタイミングだったなぁ~。よぉ~キリサメ、上手くいったか?」
「はっ! カス様! ありがとうございます。天使族であられるアナタ様の手を煩わせてしまい、申し訳ありませんでした。しかし、これでこの地上は我々機械人のものです!」
天使族と呼ばれているカスという名の者。そう、彼はマヌケの記憶を弄び、私の身体を串刺しにしてヘタレを連れ去った張本人、カスだった。
「これで機械人と魔物による人間全ての排除を行うことが出来ますわね。」
「ははっ。よぉ~お前迷宮の管理者だろ? お前の主は今どこにいるんだ? お前がここにいるってことは、一緒にいるのか? おい。」
「し、知らない! 主って誰のこと?!」
「知らねぇわけがねぇだろ? そんな懐かしい花びら付けておいて。このままお前を潰してもいいが……まぁ、本当に死んでるんならそれでいい。もしアンブもマヌケも生きているならお前を見殺しにはしないだろうからな。アイツらはそういうやつらだ。おいキリサメ、こいつは俺が預かる。後はお前らの好きにしろ。」
「はっ。承知しました。」
それからクモはカスに拉致されてしまった。クモの発信機を外さなかったのはもちろん私達を誘き寄せる為だろう。アイレンズ上でクモの発信機の位置が高速でどこかに移動している。
私は両腕をがっちりと抑え込むように、自信の指の爪を食い込ませて我慢していた。本当ならすぐにでも助けに行きたかったし、瞬時に飛び出しそうだった。カスがあと少しでも足に力を入れていたらクモは潰されていただろう。もちろんその前には飛び出す気でいたが、その前に私の身体を止めていたのは意外にもマヌケだったのだ。




