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第66話 完全復活!

 アタシはデスくん、インコくん、ポチくん3人が寝ていた宿の火事現場に来ている。この火事は強い魔動力の力で発生したものであり、いくらあの3人が化け物染みた力を持っていようと無事では済まない。


 現在宿の大半は燃え尽きており、火の勢いは収まりつつあるが宿の全てを焼き尽くすまでは止まることがなさそうだ。レーダーで3人の位置を確認すると、まだあの燃えている宿の中に反応がある。


「アンブ、どうしよう?! あの子らまだあの中にいるよぉ! どうしたらいい?!」


《落ち着けマヌケ様。アイレンズで見たらあの中に残っているのは発信機だけだ。アイツらはいない》


「そうなの?! 良かったぁ……。でも、だとしたらどこにいるの?!」


《分からん。発信機を持ってないと私の声も届かないからな。本当に参った……こんな時、主が正気に戻ってくれれば。》


「アンブ……助けて。あの子らが心配だよ。アタシだけじゃ守れないよぉ……。」


「……。」


《……あ、主ッ?! 主なのか?!》


****


――私は何をしているの? 何が起こっているの? なんでマヌケがこんな悲しそうな顔をしているの? 私のせいなの? どうしたらいいの? ヘタレはどこ? 私のヘタレは?


――お前は服部桜夜(はっとりさくや)。この私の神成(カミナリ)の力を受け継ぐ者。その力は大切な者を守るためにある力だ。今お前の大切な人達が困っているよ? お前は親友にこんな顔をさせたままでいいの? 神機(カミオリ)はずっとお前を守っているぞ? 


――アンタなんかに何が分かるのよ! ヘタレに……大事な親友に嫌われていたんだよ! 悲しいよぉ! 苦しいよぉ! 泣きたいんだよぉ!


――泣いたらいいじゃん? 悲しんだらいいじゃん? 苦しくてもいいじゃん? あなたにはまだ大切な人が残ってるじゃない。大切に想ってくれている人がいるじゃない。それを忘れてはいけませんよ。


*****


――スマコ、状況は?


《……あ、主ッ?! 主なのか?!》


「えッ?! アンブなの?! アンブ~!」


「うん、ごめん。」


 私は泣いているマヌケを抱き寄せ、頭を優しくなでる。


《主、私が記憶しているメモリーを渡すぞ! 頼む、助けてくれ!》


 私はスマコの記録装置から情報を取り出し、状況を把握する。


「あそこ……いる。」


 私は炎と煙が立ち込めている宿を指さした。


「え?! やっぱりあの炎の中にいたの?! それじゃ……きゃあ?!」


 私は神成(カミナリ)モードを発動し、マヌケを抱きかかえて瞬時にその宿の中に入り込んだ。そしてアイレンズを起動しスキル感知で周辺の情報を集める。


「あそこ。」


 私は地下室に通じる扉を発見して指さした。そこへ移動して龍雷拳(リュウライケン)で扉をぶっ飛ばす。その先は階段になっているようで下に降りていけるようだ。アイレンズでマッピングを広げていくと、この先の牢屋で3人の反応をキャッチした。


 すぐさまその場へ駆け付けると、ボロボロになった3人が鉄の鎖で縛られて牢屋に放り込まれていた。


「そ、そんな……誰がこんなことを! 3人とも無事?!」


「ッ?! ……マヌケ様! お逃げ下さい! 機械人が潜んでいます。ワレワレは囮です!」


 デスがそういうと、隠れていた機械人5人が同時に攻撃を仕掛けてきた。この機械人は全身が機械化されていた未完成の機械人だった。


神成(カミナリ)モード発動……氷遁、氷手裏剣の術。」


 もともとアイレンズで何か隠れていることは見えていたので、攻撃の準備はしておいた。氷とは思えない程の鋭利な手裏剣を、襲って来た5人の機械人へ投げつける。


「……?!」


 突然手足を切り裂かれた機械人達は何が起こったのかよく分からないまま3人が倒れて戦闘不能となる。


神機カミオリモード発動。水魔法、ドラゴンウェイブ。」


 マヌケの銃口から勢いよく放たれた水の龍が意思を持っているかのように残りの2人の機械人を巻き込んで飲み込み、そのまま地面へ叩き付けた。その攻撃により身体が曲がってはいけない方向へ曲がってしまう。そのまま彼らは動かなくなってしまった。


「……もらったッ! 死ねぇ!」


 その隙を付くかのように突然マヌケの後ろから攻撃を仕掛けてくる者がいた。実は、最初の機械人5人すらも囮であり、私達に大きな隙が出来るのを待っていたようだ。この者は完成された機械人であり、スマコの記憶によればこの宿の店長だった者だ。


焔遁えんとん砲炎火ほうえんかの術。」


 私はいつも通り忍者のポーズを取った後、両掌の間に黒炎を発生させてそれを圧縮して凝縮する。そして、両掌を相手に向けたと同時に凝縮していた黒炎を一直線上に開放する。すると、凝縮されていた黒炎が勢いよく発射され、それは黒い炎の閃光の如く機械人の急所である魔動力を発生させているコアを貫いた。


「ぐあぁぁぁああああ?! なん……だと……。」


 宿の店主だった機械人は自身の魔動力の提供がストップしたことにより、そのまま動かなくなった。

 私の砲炎火の術は機械人とその後ろの鉄で出来た分厚い壁をも貫通し、大きな風穴を開けることになった。


――な、ななななんて威力なの?!


《主、威力が強すぎだバカ! ここが地下だったかよかったものを、もし上でこれぶっ放してたらこの一直線上の建物が全て燃えて消滅していたぞ!》


――いやいや、なんで嬉しそうに言うのよ?


「アンブ!」


 マヌケは満面の笑みで抱き着いて全力でスリスリしてくる。


――は、恥ずかしいから離れてほしいのだけれど……。


「主様?! 正気に戻られたのデスか?!」


 私はコクンと首を縦に振る。


 すると「ウォンウォン」泣き出すデスと、「感動だ~!」とか意味の分からんことを言いながら泣き出すインコと、「どうせならあのままの方が世の中の為だったんじゃない?」とか思ってもいない憎たらしいことを言うポチ。


 私達は急いでその場を後にし、テンガラスの城へ忍び込んだ。


今日は国王会議があるからだ。


 それぞれ5名の国王が用意された専用会議室に着席し静かに時間がくるのを待っていた。昨日の雰囲気とは打って変わってピリピリとした緊張感が漂っていた。ここには国王しか入ることが許されず、側近の親衛隊達は別室で待機中だ。


 しかし、インチキのすぐ傍には身体を小さくして見えなくなっているクモが付いていた。


「それでは時間となったので、只今より国王会議を始める。」


 北の国王(キリサメ)がそう宣言した瞬間に、なんとも言えない威圧感がその場を支配する。


「初めは開催国からという決まりがあるので、この北の国(テンガラス)から発言させてもらう。まず初めに昨日の夜中、近くの宿屋が襲撃を受けて火事があったようだ。店の店主はその火事に巻き込まれて死亡した。しかし、泊まっていた者の死体は出てこなかったそうだ。そこには確かお前の知り合いを泊めていたはずだよな、中央の国王(マキシム)よ。」

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