第58話 禁断ゾーン
アタシ達は今神様から半強制的にお風呂に追いやられた。アンブは相変わらず微動だにしないので、アタシが抱いている。
――まぁお風呂に入るんだから、服を脱がすことになるのでけれど……。なんかめちゃくちゃ恥ずかしい。いや、もちろんアンブが正常なら恥ずかしいのはアンブの方なんだけど、今は多分何も見えていないし、何も感じていないんだと思う。相変わらず悲しい目をしたまま焦点があっていない。
――そんなかわいそうな子を裸にしようとしているので、なんかとても悪いことをしている気分になってくる。
《んふふふ。無抵抗の美少女を裸にするなんて、マヌケちゃんはとても悪い子ですねぇ。》
――アタシの考えをお見通しなのか、そこをわざわざ茶化してくる神様。アンブが嫌いなのも少し納得するわ……。
そんなことを思いながらも、なるべく意識しないように手は動かす。アンブの服は特殊でボタンを押すと瞬時に脱衣が可能だったはず。アタシは手探りでボタンを探しているんだけど……
――ど、どこを押したらいいの? やっぱ……ここなの? ち、違うよね……だとしたら2つあるし……だとしたら……ここ? あ、違った……柔らかいなぁ……って違うよもう! アタシは何をやっているんだろう……。
アンブの身体の様々な部分をポチポチと押した挙句、一番上のボタンがスイッチだと分かり、そこを押すと瞬時に裸になった。
なるべくアンブの裸を見ないようにギュッと抱き抱えてお風呂へ連れて行く。だけど、そのせいで余計にアンブの意外な女の子らしい柔らかな2つの膨らみを意識してしまう。
《ふふふふ。いいですねぇ。先ほどのマヌケちゃんがアンブちゃんの身体を弄り回していたのも良かったですが、美少女同時が抱き合っている姿もいいですねぇ~たまりませんねぇ~。うふふふふ。》
――この神様本当に性格悪いのね。完全にセクハラおじさんの発言だ。でもそれを否定できないアタシも大概だね。
正直に言うと意識しないわけはない。だってやっぱり奇麗なんだもん! 姿だけ見れば、ちょっと幼くて可愛いなぁ~とか思うけど、脱いだら意外と膨らみもあるし、女の子らしい身体をしているんだよねぇ。
この前お風呂でアンブが気絶しちゃった時に身体を洗ってあげたけど、あれも最初は全然意識していなくて洗ってあげてたのに、なんかアンブに女の子の身体の魅力を感じてしまっていた。今回もそれと同じ気持ち。
――アタシってちょっとヤバいのかなぁ……。
《そんなことありませんよ。あなたは至って普通です。アンブちゃんに魅力を感じないわけはないのだから。更に言うと、それはあなただけではなくて、アンブちゃんもヘタレちゃんも同じことですよ。》
「ヘタレ……神様あの……。」
《あぁ、心配しなくても大丈夫ですよ? 今のアンブちゃんには私の声もマヌケちゃんの声も届いていませんから。》
「いや、でも……。」
《何があったのか私は全てを知っているわけではありません。常にあなた達を見ていられるわけではないので。ただ、あなたの知らない星でアンブちゃんとヘタレちゃんのことはずっと見ていました。2人が最初どうやって知り合ったのかも、それからの2人のことも。》
「なら! あの時のヘタレは……。」
《もちろん、正気でしたよ。》
「そ……んな。」
《だからこそ断言しますよ。あの時のヘタレちゃんは「大事な者を守りたい」と願う時の目をしていたことを。》
「……え?!」
《つまりはそういうことですよ。今のヘタレちゃんはとても危険な状況です。その星の人間や魔物、またアンブちゃんがいた星、つまり今私がいるこの星諸共滅ぼしかけない状態になっています。》
「どういうことですか?」
《ヘタレちゃんの狙いは、この私の命ですから。》
「え?! ごめんなさい、話が全く分からなくて……。」
《無理もありません。今はまだそこまで知らなくてもよろしいですよ。》
「アタシはこれからどうしたら……。」
《それはもう決まっているではありませんか! アンブちゃんの全身の隅から隅まで奇麗にして差し上げましょう。》
「い、いやそうじゃなくて、アンブの事もヘタレの事もアタシは守りたいんです!」
《それがもう答えではありませんか。》
「で、でもどうしたら……。」
《マヌケちゃんにはまだ手がかりが残っているでしょう? それに向かって進みなさい。いずれ道は開けるはずです。》
「……わかりました。」
《それよりも早くアンブちゃんを洗って下さいまし。そろそろ時間切れが迫ってきているので、私が観賞できないではありませんか!》
「……大事なアンブの身体は簡単にお見せできませんよ? どこから見ているのかわかりませんが、アタシがずっとくっ付きながら洗いますので。」
《うふふふふ。それはそれでなかなか見ごたえのあるシーンではありますねぇ。楽しみですねぇ~。いけない禁断のゾーンにマヌケちゃんの手が届くシーンを是非私に。では早速はじ……。》
突然通信が切れたように神様の声が聞こえなくなった。
――ふふ、あの状態で切れたってことはおそらく今神様は見たいものを見れなかったことで今凄くイライラしていることだろう。
ちょっとだけいい気味だと思ってしまった。
――性格は悪いけど、悪い神様ではないんだよねぇ……多分。でもまぁ正直救われたのは確かだ。アタシが何を想って進んだらいいか分かった気がしたから。
「アンブ、やっぱりアタシはあなたとヘタレの事が大好きみたい! だからアタシは絶対にヘタレも助けるよ! 本人が何と言おうとね……。」
「……。」
――アタシは何か吹っ切れたけど、アンブはそんな簡単な話じゃないよね。こんな状態になるまでヘタレの事を想っていたんだもんね。そんな一途な想いがバラバラに引き裂かれたら多分正気を保っていられるわけがない……。
そんなことを思いながらアンブの身体を洗ってあげる。
――本当に奇麗な身体をしている。あまり恥ずかしいからジロジロは見れないけど、洗っている手の感触が心地よくてヤバい……。ついつい手に意識が持っていかれてしまう。そして禁断のゾーン……洗わないわけにはいかないし。
「アンブ、ごめん」と一声かけて、いざ……。
――心臓が弾けるかと思うくらいにドキドキしてしまった。まだ手に心地いい感触が……今のアタシの顔は一体どうなってるんだろうか。
――早く上がろう。
それからアンブと自分の身体を洗い、アンブを抱いたまましばらくお風呂に浸かった。いろいろとさっぱりしたところでお風呂から上がる。
お風呂上りの程よく肌が紅潮している姿にまたドキドキしながらも身体をきちんと拭いてあげた。
それからアンブをまたベッドに寝かせてご飯を作った。それを口に運んでみたら、ハムハムしてくれた。多分無意識なのかもしれないけど、ご飯も食べなかったらどうしようと思っていたので、本当に良かった。




