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第50話 突然の衝撃

 現在、マヌケをお姫様抱っこしたまま感知でマッピングを続け、謎の地下空洞へ向けて真っ逆さまに絶賛降下中なんだけど、ここまで長い事真っ逆さまに落ちていたら逆に自分達が飛んでいるような錯覚に襲われる。

 そんなことを考えていたら、やっとマッピングが底に届いた。


 残りの距離はそれほどでもないね。側面にはドアがあり、その先は感知できない。どうやら普通のエレベーターのドアとは少し違うようだ。


 このままでは地面と激突してしまうので、この先にトラップが仕掛け無いことを確認して私は神成カミナリモードを発動し、翼を出現させる。


「ん?! そろそろ着く? アタシこのままでもいい?」


「うん。」


 私は少しずつスピードを落としながら降りていく。やがて、クルッと反転して物音を立てないようにフワッと舞い降りた。


思念「この扉頑丈だねぇ。結構厚みもありそうだし。開けられなくはないけど……どうする?」


《折角ここまで来たんだ、突破しようぜ。》


思念「うん。」


 私とマヌケは一緒に重たい扉を無理やり開けて中に入った。


 そこはとてもジメジメしていてカビっぽい通路だった。私はマップを広げながら辺りを探っていくが、ここは風の流れがあまりないのか上手くマップが広がっていかなかった。それに呼吸もしにくいし、少しめまいもする。あまり長くは滞在できそうにない……。


 マヌケも顔がしんどそうだ。

 もう少し調べたら退散しよう。


「……コツン、コツン。」


 突然足音が聞こえたので、物陰に身を隠した。

 少し遠くからこちらに向かって来ている人影。


――あれは?!


 あの魔物襲来時にコンを襲った弓を背負った機械人だった。こちらに気が付くことなく、そのまま通路を進んで行く。私は瞬時にヘアピンで花びら発信機を作り出し、機械人へ取り付けた。


思念「心臓が口から出るかと思ったよぉ。」


思念「……私も。」


思念「そうなの?! 発信機まで付けてたからアンブは平気なのかと思ってたよ。」


――そんなわけじゃん! 私だって、緊張するもんはするし、怖いもんは怖いんだ! それでも今はあの女を追ってみるしかない。時間もあんまりないし。


 私はマヌケをおんぶした状態で足音を立てずに後を追う。マヌケは隠密の訓練をしていないので、どうしても微量の足音を出してしまう。それを防ぐには私が担ぐしかないってことだ。


 機械人はどんどん奥に進み、やがてある部屋の中へ入ろうとドアが開いたその瞬間、スキル感知を展開していた私には鼓膜が破れるんじゃないかというほどに大きな叫び声がイヤホンから聞こえたと同時に脳へ直接ダメージを与えてしまった。


「ぎゃああああああああ!」


 そのあまりの衝撃で一瞬意識が飛んでしまい片膝を付いた。直ぐにマヌケが私を支えて何とか持ち直したが、ハンマーで殴られているような痛みの頭痛によりクラクラと平衡感覚が失われており、まともに動くことが出来なくなってしまった。


 それでも何とか壁際へ移動し、扉の向こうにいた人物達の会話に聞く耳を立てる。


 機械人「またダメかい?」


………「そのようだ。おい、また魔物のエサが出来た。捨ててこい。」


 おそらく機械人と思われる人物が、人間の死体と思われるものを抱えて歩いていく。


機械人「まだこの程度しか出来上がってないのかい……。」


………「これだけ出来上がっただけでも満足してもらいたいものだがな。君達には」


機械人「こちらは高い金を払ってやっているんだ。成果を出すのは当たり前じゃないのさ。」


………「わかっているさ。こちらも命がけなんだ。国王にでも知れたら面倒だからね。」


機械人「ふん。あの程度の国王いつでも殺せるだろうに。」


………「あいつはな? しかし君も戦ったあの者達は厄介だ。僕達も存在を知らなかったが、あの化け物どもはおそらく国王と繋がっている。あれらを敵に回すとなると、王都を落とすことはできん。」


機械人「アタシが戦った不愛想な奴はそうでもなかったが、山を吹き飛ばしたあの化け物は確かに別格だねぇ。おまけに迷宮の管理者まで手懐けてやがる。おかげで作戦もパーになっちまったわけだし。この件は「天空界」に報告させてもらう。」


………「あぁ、分かった。今後はもっと慎重に進めるよう。機械人の君たちと違って、ただの人間である僕は簡単に殺されてしまうからね。」


機械人「ただの人間であるアンタだからこそ重要なんじゃないか。この施設の管理者であるあんたのおかげでバレずに実験することが出来るんだから。」


………「ふん。僕はお金と研究成果が実ればそれでいいのさ。今まで誰も成し得なかった機械人化計画。僕らと彼方の国が手を組めば、王都は必ず沈む。街中が血に染まるその光景を見せてやる。くくくっ。」


機械人「ふん。そのためにはもっと使える機械人を作ってくれ。アタシとあのバカだけじゃ、ちぃ~ときついからねぇ。」


………「わかっている。もう30人程モルモットを捕まえてきてくれ。足が付かないように気をつけてなぁ。」


機械人「全く人使いが荒いヤツだ。」


 機械人が扉の方へ向かって足音が聞こえたため、私達は瞬時にそこを離れる。そろそろ私の限界も近かったので、最後の力を振り絞り港町のログハウスまで一気に転移した。


 もう外はだいぶ暗くなっていた。私はそのまま家の前でマヌケに寄りかかる形で倒れてしまった。


《わりぃ主、咄嗟のことでスキル感知の処理が追い付かなかった。モロにダメージを与えてしまったな……すまん。大丈夫か?》


――うん。大丈夫……くは無いかも。


 そのまま私は意識を失った。


 気が付いたら時には真夜中のようだった。少し熱っぽい……。


――スキル感知の使い方も考えないといけないね。


 便利すぎる力だけど、あんな至近距離で大声などを上げられたら脳へ直接ダメージを与えてしまう。ホントにパンクするかと思ったもんな。


 額には冷たいタオルとすぐ横には座ったまま寝ているマヌケ。


《マヌケ様、さっきまでずっと看病してたぞ。 大丈夫か?》


――うん、大丈夫になった。


 本当にこの子はいつも私の為によくしてくれる。もう私にとってはヘタレと同じで、絶対に無くてはならない存在になったなぁ。


 私はそっとマヌケを抱きかかえて、横に寝かせる。


――スマコ、あの地下での会話どう思う?


《話の内容で分かったことは、あの魔物と機械人の襲来はあの人間の仕業であるということ。アイツは機械人とビスネス関係を築いていて、機械人化計画という名で機械人を作っている。そして、何処か別の国がそれを金であの人間にやらせていること。それを王都側には知られずにあの地下でこっそりとやっているってことだな。そして、アイツらは天空界と繋がりがあった。》


――そうだね。これで私達にとってもこの件は無視できない案件になったわけだ……。


 まだ頭がかなり痛い。今考えるのはやめた方がいいみたいだね。


《まだ本調子じゃねぇんだ。もういいから寝てろ。》


――うん、おやすみ。

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