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第31話 どちら様でしょうか?

 日の光で目が覚めた。

 光を浴びて目を覚ますことがこんなに気持ちいいものだったなんて、地球では思わなかったことだ。いつも目覚ましで無理やりに起こされていたことを思い出す。


 ふと横に目をやると、服が開けた状態で私の腕にしがみ付き、幸せそうな顔でマヌケが眠っていた。


――ふふふ、この顔を見ているとこっちまで幸せになってくるよ。


 そう思って頭を撫でていると、マヌケが目を覚ました。

 私の顔を見た瞬間、顔を真っ赤に火照らせる。


――ん? まさか……またか?!


――スマコ?


《おぅ。昨日もマヌケ様は大変お幸せそうだったぞ?》


――そ、そうなんだ……。まぁいいや。


 私は寝相が悪いみたいだから、別のベッドにした方がいいと言ったんだけどそれは断固拒否された。まぁ、本人の了承済みということなのであまり気にしないでおくことにする。


「お、おはようアンブ! もう起きてたんだね!」


「うん。」


「お、お腹すいた?!」


「うん。」


「そ、そかそか! ちょっと待ってて、なんか作るね!」


 明らかにおどおどした様子を見せながらも可愛い笑顔でそう告げ、衣服を整えて下に降りていく。私も早着替えを済ませて身支度をし、下に降りて行く。


――さて、食事が出来るまで暇だ……。


 私も料理出来たらいいんだけど、才能のかけらもないんだなこれが。マヌケの手伝いをしても逆に邪魔になってしまう。


 一度、家庭科の授業で調理実習があった。その時、カレーを作る授業だったのだが、野菜の皮むきで自分の皮を剥きまくってピューピュー血が噴き出したり、お肉と野菜焼いてたらカチカチの丸焦げ状態になったり、お鍋に水を入れようとしたら何故か油を入れたり、カレーのルーを入れようとしたら固形のバターを入れたり、最後にお米を研いでみたら全部シンクに流れたのでそのまま水だけ炊飯してみたりしていたのを思い出す。


――先生ドン引きしてたなぁ~。ヘタレ達はケラケラお腹抱えて笑っていたけど。


 それから私は料理に手を出すことを辞めたのだ。


――という事で暇なので、クモで遊ぼう。


 私は異空間にいるクモを引っ張り出す。

 すると、色白の美少女が眠ったまま出てきた。


――は?! ヘッ?! あんた誰よ?!


「むにゃむにゃ……ん? ふぁああ! 主様おっはよぉ~ん!」


――えぇ~?! どゆこと?!


「ん~! ホントあの異空間は居心地がいいねぇ! あたし気に入っちゃったよぉ~! ねぇねぇ、あの中にあたし達の部屋作っちゃダメかなぁ?! ダメ? ダメなら他になんかいい方法は……ペチャクチャ……。」


――喋り方がクモだ……。いや、まぁクモなんだよねこれ……。


《クモだぞ? アイレンズで見たら分かるだろ? 魔人に進化したから人型になれるんだよ。》


――えぇ…どうしたらあの悍ましい見た目からこんな美少女が出来るのよ! 見た目のギャップがありすぎだっての!


――なんか、腹立ってきた。


「それでさぁ、あっこのスペースを……って、ん? どったの? え?! あだだだ?! なんでほっぺつねるの?!」


――1番許せんのが私よりも年下に見えんのに、ほんの少しだけいろいろと私よりも大きいことだ。ぐぬぬぬ……。


――ていうか今皆は人型ってこと?! う~ん……。


 私はいつもみたいにポイポイと魔物達を引っ張り出した。


コン「むぎゅ?! ……はれぇ?」

ポチ「ゴンッ! ……スピー……スピー。」

インコ「ホギャ?! いてて……あれ? 朝か?」

デス「はッ。主様お呼びでしょうか。む? おはよう皆。」


――知らない人いっぱい出てきたぁ。まぁ喋り方でだいたい分かるんだけど。


 一応アイレンズを起動して表示されている名前を確認したから確実に分かるんだけど、何故か後ずりをしてしまう。


 デスは喋り方通り30代くらいのおっさん。身長が高くて黒上短髪でガタイがヤバい。

 

 ポチはかわいい系の同い年くらいの少年。銀髪の短髪で身長は同い年の男子くらいに見える。


 インコは強面の20代半ばくらいの青年。髪は少し長めで深緑色、しかし太っているので、名前と顔と姿が全くマッチしていない。


 コンは、凛とした奇麗系美人の20代くらいに見える女の子。髪色が紫色で、マヌケみたいにロングヘアでサラサラ風になびいている。身長も高めでスタイルも抜群。

 

 そしてクモは、少し年下に見える美少女。顔も髪も色白なので喋らなければ透明感溢れる可愛さだ。身長もスタイルも私よりほんの少しだけ大きい。非常に気にくわない。

 

 そして、皆はマヌケと同じように、私が渡した花びらをイヤリングのように耳に付けていた。


「アンブ、ご飯が出来たよぁ~! ……え? どちら様ですか?」


――そりゃ~そうなるわ。私はマヌケの後ろに隠れる。


デス「マヌケ様。おはようございます。」


「あ、デスくんか。」


クモ「マヌケ様おっはよぉ~ん! 今日も奇麗だねぇ!」


「そっちがクモちゃんね。という事は、こっちがコンちゃんか。」


インコ「いきなり引っ張り出されるのオレ慣れそうに無いわ……心臓もたねぇよ。」


「そっちはインコくんだね。だったらそっちで寝ている子はポチくんか。みんなおはよう!」


――いやいやいや、すっかり受け入れたよ?! 受け入れ早すぎじゃないの?! もっといろいろ突っ込むところあるくない?!


「多めに作ったから皆も一緒にご飯いかが?」


クモ「本当に?! 食べたい食べたい! でもあたしら異空間にあったカボチャ結構ポリポリ食べたから、少しだけで大丈夫だよ!」


――こいつら人の食料を……。まぁカボチャは存在を忘れていたくらいだから全然食べてくれていいのだけれど。


 それぞれ同じ食卓に着き、テーブルには食事が並べられた。パンと目玉焼きとウィナーとスープだ。こっちの世界でも朝食は地球と同じような感じなんだね!


「さぁ、どうぞ。召し上がれ。」


 マヌケが満面の笑みでそう告げる。


クモ「あの~何で主様はあんな端っこで一人で食べてるの?」


「ふふふ。多分、恥ずかしいんじゃないかな? いきなり皆が人になっちゃったから。」


 私は部屋の隅っこでご飯をハムハムする。味自体はあっちと少し違った感じなんだけど、全部美味しいな。流石はマヌケだ。私が食べているのを見て、他の5人も食事を恐る恐る口に運ぶ。


インコ「う、うまい!」

ポチ「ホントだ! 人間の料理ってこんなに美味しいの?!」

コン「これは今までに味わったことがありませんねぇ。」

クモ「何これ?! 超美味しいんだけど?! あれ?! 主様いつの間に?! それ私のなのにぃ! ずるいよ~」

デス「お、おいクモ。主様にそんな口の利き方は……。」


「あはは。アンブってばクモちゃんは平気みたいだね。」


クモ「そうなの?! あたしの扱い結構ひどいからてっきり嫌われてると思ってたよ?!」


「それは逆だね。結構気に入ってくれてるよ?」


クモ「そうなの? って?! もう全部ないじゃん! 主様ひどいよぉ~!」


――早い物勝ちだバカめ。


 私達は全ての食事を平らげて満足した。

 

――さて、今日は港町の町長さんのところに行くんだったね。

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