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第13話 チート?それ美味しいの?

 3人は勇者候補として今から修行をしながら迷宮の魔物を殲滅させるための秘密を探す旅をしていくらしいけど、一時的にでも私達と一緒にいさせてほしいと言ってきた。


 こちらは願ったり叶ったりだ。


 私はこの世界の事を良く知らないし、ヘタレも記憶を無くしている。更に元の世界に帰れない可能性もあるので、出来ればこの世界の事をよく知っておく必要があるので3人がいてくれるのはありがたい。更に、ヘタレがこの迷宮内にいたという事は、ここにヘタレの記憶を元に戻す手がかりが何か隠されているかもしれないので、この迷宮内を調べようと思っていたところだったのだ。


 お互いの利害が一致したところで、改めてお互いの能力を確認する。といってもさっきの戦いを解析したセツのおかげで3人の事は大体解ってしまっているけど。


 まず、3人は身体の中で作られる魔動力を使って魔法を発動する。そのための道具が、ギアメタルという機械。長いから「ギル」でいいや。マヌケは杖で、カスは剣、オスは盾のギルらしい。


 このギルがカギとなり、これに魔動力を注ぎ込むとそれに応じて、それぞれの個性に合わせた戦闘用のギルが具現化される。


 マヌケは杖のギルで炎、水、風の魔法を発動することが出来て、更に背中の羽根で自由に空を飛ぶことが出来る。カスは剣のギルで魔動力の刃が現れ、手足にジェットエンジンが付いているので、それで一気に加速することが出来る。オスは、盾のギルで体全体にも鎧を装着させ、盾が斧にも変化する。


 このように3人はそれぞれギルの力で魔法を発動している。


 更にこのギルは持ち主のレベルに応じて、数が増えたり能力が上がったりするらしい。なんて便利なんだろう……。


 これが3人の能力だ。


 さて、次は私の力についての説明を求められているんだけど、私の力は3人のものとは全く違う力みたいだし、私自身もそこまで自分の力に詳しくない。


 しかも、例の如く私は喋れない。目の前にはワクワクと目を輝かせている4人。


――どうしたものか。


《それであれば、私が代わりに説明しましょう。ヘアピンで花びらを作って渡して下さい。》


――ほ、本当に? 助かるわぁ!


 私は桜模様のヘアピンのスイッチを押し、内部で小型の花びらを作った。それを皆に渡す。すると皆は私が渡した小さな花びらの機械を不思議そうに見ていた。


《皆さん初めまして、私はアンブ様側近のAIです。主にはスマコと呼ばれておりますので、みなさんもそうお呼び下さい。》


 突然スマコが語りかけると、皆は凄く驚いていた。


「え?! 頭から声が聞こえるよ?! これはアンブのお知り合いなの?! この花びらが関係しているの?!」


 とマヌケが興奮していた。私は、コクンと首を縦に振って答えた。


《我主は極端に人見知りなので、なかなか喋ろうとしません。なので、代わりに私が会話を代行します。困った主で申し訳ありません。》


――ホントごめんね!


 なんかスマコの言葉がいつも以上に冷たく感じる。たぶん気のせいではないはず。


 ここからスマコは、私の力について4人に説明していく。自分を含めたスパイの七つ道具のこと、スキル感知やスキル空間収納のこと。そして、神成カミナリの力について丁寧に説明していた。


《また、主にはもう1つの内なる力である「魔王の力」というものがあります。これについては私でもまだ不明な点が多く、全てを解析出来ているわけではありません。しかし、この力を使うにはとても危ない危険な気配がしています。なので、極力この力を使うことは無いようにしようと思っております。これが今の私に分かっている主の力の全てです。》


 へぇ~と私まで説明に聞き入ってしまった。てか、魔王の力なんて初耳なんだけど……なんて物騒な力なんだろうか。絶対に悪い事しか起きない気がする。


 しかし、私の事を私以上にうまく説明するスマコ。私はもう一生喋らなくてもいいのではないだろうか……。


 説明を聞いた3人は、それぞれ感想を口を出す。


「す、凄いなぁ……スマコちゃんにアイレンズにヘアピンとイヤホンと変化服……どれも便利な物だらけ……。」


「神成の力に魔王の力?! 全くもってとんでもねぇヤツだなぁ……。」


「僕らもう町に帰ろうか?」


 あまり買いかぶりされても困る。実際はサメには手も足も出ないわけだし。


 そして、私とヘタレについて。私達はこの星の住民ではないこと、元の星では親友だったこと、今のヘタレは記憶を無くしていること、それをできれば元に戻してあげたいこと、その手掛かりがこの迷宮にあるかもしれないこと。そして、ヘタレを連れ去った奴を探し出したいことなどをスマコが伝えてくれた。


 さすがにヘタレは混乱していた。頭を抱えて俯いてしまった。


――無理もないか……。


 もう少し時間が必要かもしれない。私はそっとヘタレの肩に手を置いた。とりあえずお互いのことは良く知れたわけだ。


 3人はこの拠点としているエリアには今まで来たことがないとのこと。話によると、この迷宮は下層に行くほど危険な魔物が生息しているようで、3人の今のレベルでは上層でしか活動ができなかったらしい。


 しかし、今回思い切って初めての場所へ行ったところ、ヘタレが一人で倒れていたらしい。ヘタレを介抱していたらあの火ザルの群れに遭遇してしまい、死にかけていたと。


 この拠点までどこを通ってきたかと聞かれたので、道のりを案内したらガタガタ震えだし砂場のサメへ、エサやりとばかりにカボチャを放り投げると一瞬でバキボキする様子を見て、泡を吹いて倒れていた。

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