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第92話 生きる為に

 2人の壮絶なる力同士がぶつかり合い、後の地球となる奇麗な惑星の周りにはいくつもの大小惑星が出来上がることになった。


 そして2人の神は長い闘いを続けていたが、それも終わりを迎えた。


 結局アクシスはマネシスを殺すことが出来ずに、自身の異空間の中へ閉じ込めてしまったのだった。それは、神聖様が向かって来ていることが分かったから。


 神聖様が到着すれば、間違いなくマネシスは始末されてしまうだろう。それは紛れもない事実だった。それが分かっているアクシスはどうしてもマネシスを殺したくはなかったのだ。


 それからアクシスはマネシスが作った地球とその中で生まれた生命体である人間の生末を見守り続けることにしたのだった。


 一方、異空間に入ったマネシスはその中に何故か地球と同じような星を作り、そこでも人間と魔物というプログラムの生物を作り出してしまった。


*****


《ここまでが私、神成ことウラシスが知っているこの世界の真実です。》


 ウラシスことスマコが話した内容が衝撃的過ぎて、言葉を失う私達。


「そ、それでは俺たち人間はそのマネシスという神様に作られた存在だということか……。」


《はい。私はあの時マネシスに一体何があったのかを聞く必要があります。私もツキシスも、そしてモラシスに関しても、あの時マネシスに殺されたわけではありませんでしたから。》


――じゃあ一体誰があなた達を殺したというの?!


《それはね桜夜ちゃん、神聖様だったのよ。》


「えぇぇええ?!」


 全員がビックリして同じリアクションになってしまった。


《正確には神聖様の姿をした何者か……と言うべきでしょうか。ただ、仮にも私やツキシスは神の存在であり、神聖様を見間違えるはずは無かったのですが、最後の苦しみの記憶の一片には神聖様とは全く違った邪悪な存在があったように思うのです。》


 全員言葉が出ない。


 マネシスの行方を追っていたウラシスとツキシス2人は、突然現れた神聖の姿をした者に驚いた。当然2人は神聖だと思っているので、なんとかマネシスを殺さないでほしいと祈願した。すると、その者はマネシスを殺すつもりはないと言ったそうだ。きちんと話を聞いてそれから判断したいという2人の気持ちと同じだったことに安心したので、その者と一緒にマネシスの元へ同行したのだ。


 そこで連れて行かれたのが、地球の近くにいたマネシスのもと。


「マネシス?! どうしてこんなところに?! 心配したんだよ?」


「っ?! どうしてあなた方がここに?! お願い! 逃げてぇ!」


 そうマネシスが叫んだを聞いたのが最後の記憶らしい。

 気付いた時には身体を黒い槍で貫かれ、十字型の石造へ磔にされていたという。それからは想像を絶する痛みと苦しみの限りを尽くされて息絶えたらしい。


――それが神聖ってやつじゃなかったとしたら、一体何を企んでいるの?


《それは私にも分からないわ。それよりも今はこの星を救うことが大事よ。ここはアクシスが作り出した異空間っていうのはさっき言った通りなんだけど、その空間を破ることができる唯一の力が神光の力。つまりはヘタレちゃんなのよ。》


「スマコちゃん、じゃなくて……ウラシス様? どうして神光の力だとこの空間を破ることができるんですか?」


《スマコでいいですよ、マヌケちゃん。それはアクシスが神邪だからよ。神々にはそれぞれ特性があるの。私の神成は「電界を司る神」、神機は「機械を司る神」、神森は「森界を司る神」、神光は「光を司る神」、そして神邪は「闇を司る神」。光と闇の力を互いにぶつけると両方が消滅してしまうの。》


「つまり……神邪の力であるこの異空間を破壊する為にヘタレを生贄にしようとしているの?」


《その通りね。でもアクシスの性格上、ヘタレちゃんを……ツキシスを殺すようなことはしないはずよ。ただそれにはこの異空間を開放する必要があるのだけど、そうなるとこの星は消滅してしまうの。》


――それでマネシスに連れ去られたヘタレをあのクズ神は助け出せって言ってたのか……あのクズ神め、それならそうと最初から言いなさいってのよ!


《そう言わないであげて。あの子はとっても不器用なのよ。喋り方もわざわざ変えちゃってたからお腹抱えて笑ってやりたかったわ。》


――まぁいいわよ。会った時に絶対ぶん殴ってやるんだから! さて、とりあえず乙羽は絶対に大丈夫なんだよね?


《それは保証するわ。》


――なら、この星の崩壊を止めたらいいのよね?


《そういうことよ桜夜ちゃん。これは神成の力を持つアナタと神機の力を持つマヌケちゃん、2人にしかできないことよ。》


 その時、大きな地震が起こった。


《急ぎましょう。もうヘタレちゃんの力を感じてアクシスが異空間の開放を始めています!》


 それから私達はすぐに行動を起こした。スマコの話では無理やり異空間を開放する時に急激な時空の歪みが発生するらしい。それによりこの星は削られていき消滅してしまうということだった。それを防ぐ方法は今のところない。しかし、私神成の力とマヌケの神機の力をフルに使えば、消滅は星の表面上だけに留めることができるかもしれないとのことだった。だから、この星の地上にいる全ての人間を、魔物がいた地下の迷宮へ移動させることが唯一人間全てが助かる方法だということだった。


 インチキやエドルド2人の国王、ヨゴレにロリババアになんちゃって勇者の3人はこの地上にいる全ての人間に地下迷宮へ行くように呼び掛ける。そして龍魔の5人は一斉に散らばり、地下迷宮への入り口を全て開放して周り人間を誘導する。


 大多数の人間は、切羽詰まりながらも必死な表情で呼びかける2人の国王の言葉を信じて国王騎士団の指示のもと大移動を行っている。しかし、中にはそんわけがあるかと文句を言いながらまだ逃げようとしない者も当然出てきていた。そこへ勇者候補の3人や龍魔の5人が向かっている。ここまでくると少々手荒ではあるが全く時間がないので、実力行使も厭わない。しかし絶対に怪我をさせるなというのが私からのお願いだ。


 あの港町に住む優しい人たち皆も、自慢の漁船で全員迷宮へ向かった。


 そして、私とマヌケは港町のログハウスに来ていた。スマコの話では、ここを中心に異空間が消滅していくとのことだった。時空の歪みで崩壊する星全体を私の神成の力の電磁波で抑え込んでガードし、時空の狭間から無数に迫る星の屑をマヌケの神機の力で全て破壊する。それがこの星を救う方法だという。


 これはもちろん簡単なことではない。いくらこの星が地球の100分の1くらいの大きさでも、この壮大な範囲を電磁波で包み込むのだ。マヌケにしても、星の屑とはいえ、その大きさはとても大きく隕石が降ってくるほどの勢いだ。それを全て撃ち落とすことなんて普通に考えて出来るわけがない。


 しかし、私達がそれをやらないとこの星が消えて無くなってしまう。


――乙羽……あなたは無事だよね?! 私の大好きで愛しい人……。

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