終末
突然、世界が終わった。
突然というのは嘘かもしれない。その予兆は何度もあったし、みんな薄々感じていた。
でも、呆気なく終わったことには間違いない。
本当に突然、世界が終わった。
終わり方は簡単だった。
ミサイルを打ち上げるだけ。
きっと、ミサイルのボタンを押した人も、それが世界を終わらす引き金だとは思わなかったろう。その人は、その人の仕事をしただけ。
みんなそうだ。
政治家も、求められたように指示を出しただけ。
メディアも、求められたように煽り立てただけ。
求められた仕事をして、求められたようにしただけ。
世界が世界だった頃の、普通の話だ。
雨がずっと降り続けている。
私はあの日、教室で授業を受けていた。
因数分解がなんたるやを先生が熱弁している時に、防災無線がワンワンと鳴り響いた。
先生も混乱して、教室がパニックになった。
そして、突然空が光って、そこで私にとっての世界は終わった。
何週間の間かは、社会はそれでも生きていた。
私は家に戻り、家族と共に救済の手を待っていたが、結局、戦争に勝ち負けが決まること無く、ミサイルを撃ち合い、引き金を引き合い、世界中が爆弾を投げ合い、世界は終わった。
周りの人は、勝手に死んでいった。
家族も死んだ。
それはもう、病気なのか自殺なのかもうどうでもよかった。
自殺出来るだけ勇気があってマシな方だ。
私は結局死ぬ勇気もなく、死にたくないから生きている。
今日も、雨が降っている