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ヤバいよ、やばいよ!

 初めて狩りをしてから1週間、そしてこの生活が始まり1月が経った。


 あの時の狩りは俺に色々な恵みをもたらした。

 まずはレベルだ。生産関係の職は物を作ったりする事でレベルが上がるが、俺自身のレベルと戦闘関係の職のレベルはモンスターと戦闘し倒す事でレベルが上がるので、今まではずっとレベルは1のままだった。


 あのホーンラビットを倒した事で俺のレベルが上がり、それに伴い各ステータス値も上がった。

 その中でもMPが増えた事は一番喜んだ、MPを消費して発動する【精製術】等のスキルは寝ればMPが回復すると言っても1日の使用回数が決まっていてスキル上げも中々進める事が難しかったが。

 ステータスが上がった事で最大MPが増え、使用回数も多くなりそのお陰で【精製術】、【判定眼】、【選別眼】の三つのスキルがレベル最大になった。


 職業(ジョブ)も[職業:精製術士]がレベルが最大に至り、一つランクの高い中級職の[職業:精錬術士]が解放された。

 今までは[職業:精製術士]だと草や木等の簡単な物しか【精製術】で加工出来なかったのだけど、[職業:精錬術士]は鉱物等の硬い素材も加工出来る上に作った物状態底上げする事も可能なスキル【精錬術】が使える。ただ、消費MPが【精製術】の倍ぐらい掛かるので、無駄な事に使用出来ない。


 まぁ、でも今手元にすぐに必要な鉱物の鉄とかが無いので何回も使う事は無い。けど、石を加工して《石のナイフ》を作り出しホーンラビットを解体する事も出来た。


 切れ時の鈍い《石のナイフ》と初めての“解体”で、かなり悪戦苦闘しながら肉と皮と骨にばらす事が出来、内臓もいつか使うかも知れないとインベントリに保管している。インベントリは時間経過が一切しないらしく、火を付けたままでの木の棒も、1週間前に取った野草も、入れた時のままに出て来たので安心して肉や内臓を保管している。

 そして、疑問だった血で塩が出来るかも知れないというのは、問題なくレベルMAXの【精製術】を用いて無事に《血塩(ソルトブラット)》と言う真っ赤な塩を生み出した。


 見た目が血のように赤い塩、食べれば何の問題も無い、と思い舐めてみれば妙に鉄臭い塩。だがこれで鉄分も補給できると考えれば――――あぁ美味いモンが食いてぇよ。と涙を流しながら《血塩》を舐めた今でも覚えている。


 そんなこんな在ったが、ホーンラビットから結構な量の肉と《血塩》が取れ、【採取】で野草、【精製術】と【調合】でお酒が出来、取り敢えず当面の食糧問題はほぼ解決した。

 

 残るのは、狩りの時も思ったが装備―――服など衣類だ。

 今は、ホーンラビットの皮をボロ布の上にマントみたいに羽織っている。

 狩りの際の傷や初めての解体と切れ味の鈍い《石のナイフ》の所為で所々穴だらけにしてしまったが【精錬術】のお陰でなめす必要も無く、穴も補修されかわりに少し縮んでしまったが問題は無い、綺麗な白い毛皮に成っている。


 これで、朝の寒さから少しは解消され目覚めもいい。のだが、木の洞の生活は未だ続いている為寝ぼけて頭を頻繁にぶつけているが。

 住居の事もそろそろどうにかした方が良いだろう。―――でもまずは、服だ。


 転生当初から着ていたボロ布は更に、森での生活や狩りの所為で色々ヤバい。

 至る所が破れ、いつ寿命が尽きてもおかしくないし、もう今の姿はマントを脱げば裸族に近い。今の恰好で人前に出る訳にいかない。その前に人に会えるのかすら判らないのだけど。


 でも服が無いのは不味い、“森の中で幼女は裸族になる。”なんてタイトルの物語が在ったら18禁モノを想像する輩が続出で夜のおかずになるのは間違いなし。そんな者には成りたくないし成ろうとは思わない。


 なので早急に簡易的な物でも良いので服を作る。


 □


 服を作るのには布が必要で、その布を作る為の材料を只今森で捜索中。


 ホーンラビットを解体したの後、[職業:狩人]が解放して【解体】、【気配察知】、【隠密】のスキルが手に入っていて。

 周囲の気配を教えてくれる【気配察知】と静かに移動したり物陰に隠れたりするのと他のモノから見つかり難くする【隠密】のスキルのお陰で、前より広く森の中で行動する事が出来るようになった。


 そこで今まで行かなかった場所まで今回の布の材料――――麻か綿、当たりを見つけたい所だ。


 ただ、俺が森の草木見たとこでそれが何なのか判らなかった。【判定眼】は毒物の有無ぐらいで、【選別眼】はどれが適しているか選別できるが、流石に名前までは解らない。

 でもこの2つのスキルがレベル最大となったことにより、【鑑定眼】を新たに習得した。

 このスキルは[職業:商人]を解放しても手に入るしこのスキルがある事で[職業:商人]の解放条件を一部満たしたが、もう一つの“他の者との売買行為を行う”が出来ないの今回は解放に至っていない。

 

 でも、この【鑑定眼】は使えるので問題は無いだろう。その【鑑定眼】は、初めはその物名前が判るぐらいだけど、レベルが上がるほどに精度が高くなり、詳細な内容からその物品質まで判る優れもの。


 ゲーム時は、必須スキルの1つでプレイヤーは[職業;商人]を必ず解放しているぐらいだ。


 ッと話が逸れたが、つまり【鑑定眼】の力で材料の麻か綿を捜すことができる訳で。

 現在は【鑑定眼】で確認しためぼしいものは全てインベントリに入れいる。


 材料も貯まり始め、大分拠点から離れた場所まで来た時―――ザワッと悪寒が走る。


 それは、ホーンラビットと対峙した時よりも魔法を使われた時よりもひどく。

 背筋に寒気が走り、冷や汗が流れ身体全身から、この場から直ぐにでも逃げろ。と警告されている感じだ。

 その意思に従い俺はすぐさま振り返り来た道に逃げようとしたのだが――――


 ジリリリ、と【気配察知】スキルの警告音が頭の中で鳴り、俺に何かが近づいている事を教え。


 ―――バキッバキン


 後方から、木々をなぎ倒すような音が鳴り響き、思わず逃げる足を止め音の鳴る後ろへ振り返ってしまう。

 

 「・・・グゥルル」


 そこには、見上げる程に高く大きく、爬虫類の様な体中には水晶の様に白く光の反射次第で虹の様に見える鱗に覆われ、背中には巨大な蝙蝠の様な飛膜を広げ、四つある手足にはそれぞれ鋭い爪が備わって、まるで宝玉の様に澄んだ碧瞳を持つ。

 ゲームだとダンジョンのボスとかレイドボス・・・つまりは、超強いの代名詞である。―――ドラゴンがそこにいた。


 「グゥルァァアアア!!」


 咆哮を上げる。それは大気を揺らし、周りの木々を揺さぶり、俺の心を震え上がらせるには十分過ぎるものだった。

 ――――死んだな。エンカウントでボスとかくそゲーだな。


 正直、もはや逃げや抵抗する考えは無く、圧倒的な威圧感を放つドラゴンに死を覚悟するしかなかった。


 「―――オイ、ニンゲンここで何をしている!」

 「へぁ?」 

 一気に襲い掛かってくると思っていたドラゴンからの問い掛けに、俺はかなり間抜けな返答をしてしまう。


 「さっさと我が問いに答えろ、貴様は何をしに我、七星天竜《結晶星龍アルカイド》の領域に踏み込んだ!」

 高圧的にドラゴンは云う。


 ―――どうする?ここで普通に、“いやぁー服の材料を採取していましてね!”はい!ギルティ!死んだ。

 我が領域ってドラゴン言ってんじゃん!勝手に採取してましたなんて犯罪!泥棒扱いされて殺されるのがオチだって。

 じゃあなんて答える?

 

 目の前に存在している、巨大で圧倒的な力を秘めたドラゴンに嘘や偽りを話しても見抜かれる。そんな気配を感じさせ、正直に話せば殺されるかもしれない。状況で俺の脳は生き残る為にフル回転する。

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