神死売
男5女2
亞玖人…男
良雄…男
老婆、女A…女
部長、爺、男A…男
猿岡…男
犬山…男
雉村…女
亞玖人「かーみーしーばい、かみしーばい」
良雄「はぁ…やっと契約取れたなぁ、ったく人使い荒いよ部長、鬼だなあの人」
亞玖人「かーみーしーばい、かみしーばい」
良雄「しかし、あっついなー、クーラーが効いてる社内が恋しい…ん?なんだあれ?」
亞玖人「かーみーしーばい、かみしーばい」
良雄「今時紙芝居?ちらっと見てみるか…」
亞玖人「かーみーしーばい、かみしーばい…いらっしゃい…見て行くかい?」
良雄「ん、ああ」
亞玖人「では…紙芝居の始まり始まり………桃太郎」
良雄「ありきたりだな、まぁいいか…いやぁ懐かしいなー、俺が子供の頃はよく見に行ってたのに、いつの間になくなっちゃったんだよなぁ…今の子なんて家でテレビゲームとかだもんなぁ」
亞玖人「むかしむかし…ある所におじいさんとおばあさんが居ました…おじいさんは山へ芝刈りにおばあさんは川へ洗濯に……おばあさんが洗濯していると川上から大きな桃がどんぶらこどんぶらこと…………」
良雄「普通だったな…」
亞玖人「ありがとうございました…お客様、私これで生活を営んでおります…申し訳ありませんが少しばかりのお気持ちを…」
良雄「ん、ああ…100円でいいか?」
亞玖人「ええ、構いません…ありがとうございます、暑いのでアイスキャンデーでもどうです?」
良雄「あーこれこれ!懐かしいなー紙芝居終わったら貰えるんだよなー…まぁ今の子はわからんだろうけどな」
亞玖人「そうですね」
良雄「まぁありがとよ、久々に懐かしい思いできたよ…じゃあ会社もどるわ……あ、そうそう…今時紙芝居なんて流行んないしさっさと他の仕事見つけろよ…にいちゃん若いんだしさ」
亞玖人「御忠告ありがとうございます……………それと、ご契約ありがとうございます…」
良雄「え?」
亞玖人「いえ何も?お気をつけて」
良雄「あ、ああ」
亞玖人「さて、それでは芝居開始」
良雄「ただいま戻りました…」
部長「遅い!何してたんだ!」
良雄「すいません、商談が長引いてしまって……」
部長「それで取れたのか?」
良雄「ええ、何とか……一件」
部長「一件だぁ!?他の奴らはもっと取ってきてるぞ!明日3件以上取らなかったら首だからな!わかったか!山田ぁ!!じゃあ明日期待してるからな…お疲れ」
良雄「はい……お疲れ様でした」
男A「うわー今日もきっつー」
女A「よく辞めないよねあの人」
男A「そりゃ生活あるからだろ」
良雄「お疲れ様でした」
男A「お、お疲れ様でした」
女A「やっば…聞こえてた?」
良雄「聞こえてるっての……はぁ…やになるなー…ホント鬼部長だな…
部長が鬼だとあいつら小鬼かー俺が桃太郎なら退治してるよなー」
老婆「ちょっとあんた」
良雄「ん?あ?俺か?」
老婆「あーやっぱり…桃太郎じゃないか」
良雄「いや違うって……ボケんなって婆さん」
老婆「いや間違えるはずがない!長いこと会わんくてもワシにはわかる…ほれ桃太郎、鬼を退治しに行くんだろ?きびだんごを持って行きなさい」
亞玖人「物語は動き出した…山田良雄……君はどんな桃太郎を演じてくれるんだい?」
良雄「ったくなんなんだよあの婆さん…俺が桃太郎?えっと…で、くれたのがきびだんご?う、美味そうだな……ごくっ……な、なんだこれ……う、美味ぇ!美味すぎる!あ、もうねぇや……あの婆さんまたいるかな?はぁ……明日仕事終わったら探してみるか……あ、明日3件契約取らないとクビか……はぁ。…寝よ」
SE【着信音】
良雄「っ!?え?なんだ?え?どこ?あった…はい、もしもし…」
部長「山田ァ!お前今どこいんだ!?」
良雄「す、すいません!今急いで向かいますんで!」
部長「いらねーよ!ばーか!どーせ契約なんか取れねぇんだ!戦力外、ク・ビ!後こっちでやっておくから今までご苦労様!」
良雄「……やっちまった…こんな大事な時に寝坊なんて……はぁ…仕事探すか……その前に…きびだんご食いてえ…」
良雄「あれ、ここ?」
老婆「おや…桃太郎…鬼はもう退治したんかぇ?」
良雄「だから俺は桃太郎じゃ……いや、きびだんご無くなっちゃって…ごめんよ婆さん…きびだんご美味すぎて食っちゃったんだ」
老婆「全くだらしない子だねーそんなこともあろうかと用意しといたよ…ほれ持って行きな」
良雄「ありがと婆さん……」
良雄「はぁはぁ……うめぇやっぱりうめぇ…あ、やべやべ、無くしちゃいけねぇ…これで仲間集めないと……普通に考えると犬と猿とキジ…てかなんで鬼退治しようとか…鬼…部長……鬼退治……桃太郎…か……もぐもぐ…あっ…また…」
老婆「おや?またかい桃太郎?ほれ」
良雄「ごめんな婆さん…」
老婆「いいんじゃよ……ほら行っといで」
良雄「ありがとう」
良雄「はぁ…スーツ着て昼間に公園のベンチって…無職か…どうしやいいんだよ」
猿岡「おい!」
良雄「え?」
猿岡「お前だよお前」
良雄「あ、俺か?…なんだこいつ、ホームレスか?ロクなことならなそうだなぁ…俺に構うなよ、あっち行けって」
猿岡「そんなこと言うなって〜、なぁ〜…ん?ちょっと待て…なぁお前の持ってるソレいい匂いするなぁ…」
良雄「ああ、きびだんごか」
猿岡「きびだんご…うん、じゃあそれ一つくれよ、お供になってやるよ鬼退治でもなんでも付き合うぜ」
良雄「……鬼退治…鬼……部長……仕方ない、ほらよ」
猿岡「話わかるねーあんた!名前は?」
良雄「山田良雄」
猿岡「へぇー…もぐもぐ…なら桃太郎でいいな!」
良雄「なんでそーなる」
猿岡「俺は猿岡、まぁ名前的に猿ポジだろ?ならきびだんごくれたお前桃太郎じゃん?」
良雄「まぁそうか……で、ホントに手伝ってくれんのか?」
猿岡「当たり前だろ!よし、後は犬とキジ仲間にしないとな…うっき!」
良雄「は?」
猿岡「どーした?」
良雄「いや別に」
猿岡「もぐもぐ…それにしても美味かったなーきびだんご、もう一つくんね?」
良雄「犬とキジ見つかったらな」
猿岡「りょーかい」
犬山「ワンワン!」
猿岡「こいつどーよ!よくここら辺いるんだけど」
良雄「だめだろ!俺はこれから俺のことクビにした部長ぶちのめしに行くんだぞ!」
猿岡「お前そんなことしようとしてたのか」
良雄「そーだよ!俺をクビにした奴への復讐……いや現代社会の鬼を退治しに行くんだよ!」
猿岡「なるほどねー面白そー」
良雄「だからそんなただの犬じゃダメなんだよ、バカ猿」
犬山「ただの犬とは失礼だな」
良雄「え?」
猿岡「お前喋れたのか」
犬山「うむ」
猿岡「すっげぇなー」
良雄「あれ?俺がおかしいのか?犬がしゃべってんだぞ?なんでこんなこいつ普通にしてられるんだ?こいつが猿だから?え?あ?なんだ?」
犬山「落ち着け人間」
良雄「え?あ、はい……」
犬山「俺はただの犬だ、ただワンとしか言えん…だがお前らは俺の言葉を理解できるようになった」
猿岡「いやーそうだよなー、なんかワンワン吠えてたお前の言ってる事急にわかるんだもんなー」
良雄「どうなってるんだ?急に犬の言葉がわかるなんて」
犬山「さぁ…なんか変なもんでも食ったか?」
良雄「変なもの?んー……」
猿岡「なんだろーなー?」
良雄「最近食ったものと言えばきびだんごだな…あれは無茶苦茶美味いし変なもん入ってないだろ」
犬山「ふむ、一つ貰えないだろうか?」
良雄「ほらよ」
犬山「くんくん…なるほど、これは美味そうだ…」
良雄「だろ?まぁ一つやるから手伝えよ?」
犬山「わかった…」
se【ザッザッと土を掘る】
猿岡「何してんだ?」
犬山「後で掘り出して食おうと思ってな」
猿岡「犬みたいだな」
犬山「犬だからな」
良雄「うん、犬だな」
犬山「ふぅ…さて、どうする?」
良雄「桃太郎、猿、犬が揃った…後はキジなんだがこんなとこにキジなんて……」
雉村「ケーンケーン!」
良雄「いたよ!」
猿岡「いたな!俺らってついてんじゃね?」
良雄「そーだな!でもこんなとこに雉なんてありえるか?」
猿岡「ありえたんだから仕方なくね?」
良雄「そ、それもそうか」
雉村「あら?お兄さん達どうしたの?雉がいちゃ悪い?」
良雄「いや、別に…」
雉村「あら?私の言葉わかるの?」
猿岡「わかるわかる!もうばっちり」
雉村「あは!人で私の言葉わかるなんて凄いわね!」
猿岡「だろ!」
良雄「猿ちょっと黙ってろ」
猿岡「なんだよ桃ちゃん」
良雄「桃ちゃん言うな……で、えっと……」
雉村「雉村よ」
良雄「雉村……さん」
雉村「さん付けなんかいらないわよ」
良雄「わかった…雉村…俺たちの仲間になってくれ、このきびだんごあげるからさ」
雉村「くんくん…へぇー美味しそうね…でもいいわ…太っちゃうし…まぁ仲間にはなってあげる…あなたの事気に入ったから…桃ちゃん」
良雄「あ、ありがとう…でも…桃ちゃん言うな」
雉村「ダメなの?かわいいのに」
良雄「ダメ」
雉村「もぅ~じゃあ桃にしとくわ」
良雄「……それならまだいいか……よろしく」
雉村「ん、よろしくね…他の二人も」
猿岡「よろしくぅー俺猿岡ー猿でいいぜ~うっきっき」
良雄「まぁ、馬鹿だから気にするな」
雉村「わかったわ」
猿岡「ひどいなー桃」
雉村「で、あなたは?」
犬山「ん、ああ…俺か…俺は犬山だ」
雉村「よろしくね」
犬山「ん、ああ」
猿岡「さて仲間集まったし行くかー!」
良雄「お前が仕切るな、さてみんな鬼退治に行くぞ!」
猿岡「おー」
雉村「りょーかい!」
犬山「ああ」
良雄「みんなバラバラだな、まぁ行くか…」
犬山「なぁお前…」
雉村「ん、なぁに?」
犬山「なんで雉だって言った」
雉村「別にーあの二人が私の事雉に見えてるっぽいしちょっと遊んであげよーかなって」
犬山「ふっ…魔性だな…これだから女ってやつは…いや、お前の種族は男でもそうか」
雉村「そうでもないわよ?でも、なんで私が雉じゃないってわかってるのに言わなかったの?」
犬山「別に…」
雉村「ふっ…何を考えてるのかしら……それにあなたホントに犬?」
猿岡「お前ら何話してるんだ?さっさとこいよ」
犬山「ああ、なんでもない、今行く…」
雉村「ホント…不思議な方」
亞玖人「役者は揃った、さて君達はどんな桃太郎を演じてくれるのかな?この現代で……じっくり観させてもらうよ」
雉村「ねぇー桃、ところで何するのよ?」
良雄「鬼退治だよ、俺の事こき使って散々嫌な事言って最後には俺を切りやがった…そんな会社の鬼、田中部長を退治しに行くんだよ!」
雉村「つまりは復讐ってこと?」
良雄「ちげぇよ、これはあくまで鬼退治だ俺がこの時代の桃太郎になってお前らお供連れて鬼を倒すんだよ、ぶち殺してやるんだよ」
雉村「ふーん野蛮ね、まぁ最後まで見届けてあげるわ」
猿岡「とりあえず早く行こうぜー」
犬山「どこに行くかわかってるのか?」
猿岡「わからねぇ!」
犬山「やれやれ…わからぬのに先導しやがって…桃太郎案内を頼む」
良雄「ああ」
良雄「着いた…ここだ」
犬山「滋賀巻商事…」
良雄「ここに俺たちの倒すべき鬼が……行くぞ!」
爺「待っとくれ!」
良雄「あ?」
爺「桃!桃太郎じゃろ?」
良雄「ん、まぁ……はい」
爺「馬鹿者!何も持たずに行く気か!婆さんのやつめ、きびだんごだけ渡すとは…平和ボケしおって……ほれ…こいつを持っていけ」
良雄「これは?」
爺「わしが昔使ってたナンブじゃ…これで鬼なんてイチコロにしてしまえ……あ、そうじゃ刀もあるぞぃ……よし、これで怖いもんなしじゃ!鬼に金棒!いや鬼はいらぬのぅ!桃に鉄砲!孫に剣じゃ!はっはっは!」
猿岡「調子のいい爺さんだなぁ~、なぁなぁ俺にはなんかないのか?」
爺「小僧が生意気じゃのう…お前には…うむ、これでいいじゃろ……ほれ鍵爪じゃ…引っ掻くの得意じゃろ?猿っぽいし」
猿岡「どういうこと?猿だけどよ…まぁいいや、あんがとな爺さん」
爺「では頑張るのじゃぞう桃太郎!」
良雄「お、おう」
犬山「行ったな」
雉村「元気なおじいちゃんね」
良雄「全くだ……と、とにかく武器は手に入れた……猿岡…これで武器隠せ…俺も隠す」
猿岡「んだ、この袋」
良雄「爺さんが武器は入れてた袋だ…二つとも置いてった」
猿岡「ふーん」
良雄「行くか」
猿岡「おお」
良雄「抜け足差し足忍び足」
雉村「なーんてしなくても普通にこれたわね」
犬山「誰とも会わなかったな」
良雄「まぁうちは警備薄いからな……」
猿岡「ラッキーてことでいいじゃん!行こうぜー」
良雄「猿、声が大きい…黙ってろ…」
猿岡「わりぃ」
雉村「着いたはいいけどどうするの?」
良雄「作戦はこうだ…お前らは待機…俺は忘れ物あると入り込み山田部長の首を取る…そしたらお前らが突入し一緒に残党処理だ」
猿岡「ふーい」
犬山「うまくいくといいが」
雉村「大丈夫よ…さぁ、桃いってらっしゃい」
良雄「おう」
良雄「失礼しまーす…お疲れ様ですー」
男A「お疲れ様でーす……って山田さん?」
良雄「いやぁ忘れ物しちゃって」
男A「そうなんですか」
良雄「お疲れ様ー」
女B「お疲れ様でーす…あれ?」
良雄「お疲れ様です、部長」
部長「お疲れー…ん?山田ァ?お前なんでここにいるんだ!!」
良雄「いやぁ忘れ物しちゃって」
部長「忘れ物だぁ?んなもんねぇーだろ!お前のデスクの物は全部家に送ってやっただろ!?なんもないはずだ!ほら、帰った帰った」
良雄「いやいや、あるんですよ1つだけ」
部長「なんだよ、あん?」
SE
良雄「部長、俺がクビならあんたもクビだよ…鬼め…参ったか!俺は桃太郎なんだ、鬼退治だよお前みたいな害悪のゴミは退治されるべきなんだ……さて、後は」
女B「きゃ、きゃあああああ」
良雄「犬!雉!猿!」
女A「へ?」
猿岡「あいよ!」
SE
女A「え?あ、あぁ……」
猿岡「おお!スッゲェなこれ!ほら!ほら!うき!」
女A「あうっ…うぐっ…がはっ…」
猿岡「次はどいつだー桃~」
良雄「誰でもいい逃がすな!こいつらはあの鬼の部下、小鬼だからな!鬼は駆逐しろ!おい!犬と雉働け!」
雉村「全くしょうがないわね~」
男C「ひぃ……に、逃げ」
雉村「ケーン!」
男C「ひぃぃいい」
雉村「逃げちゃだーめ!あら、ブサイク…そんな醜い目で私を見ないでちょーだい!」
男C「あが!目が…目がぁああ」
雉村「あら気絶しちゃった…本当ブサイク……」
犬山「とどめささないと駄目だろう…アグッ」
男C「ぎゃあああああ痛い痛いいだぁあああ……あ……」
犬山「ふぅ…不味いな」
雉村「野蛮ね」
犬山「仕方ないだろう、鬼は駆逐しろと言われてる」
雉村「そうね」
女C「だ、誰か……」
SE【ジリリリリリ】
猿岡「なんだぁ!?」
良雄「警報?誰だー?誰が鳴らした!お前か?」
男D「ち、違う……」
良雄「うるさい鬼が!」
SE【ザシュ」
男D「ぎゃあ!」
良雄「クソめんどくせえ…どーせ全員退治するんだ…おらぁ!」
男E「あがぁっ!」
女D「ふぐっ!」
良雄「つぎぃ!」
女E「ぎゃぁあ」
女C「はぁ……はぁ……ひっ!」
良雄「あれー?こんなとこ隠れてどうしたんだ?」
女C「嫌ぁ…こ、来ないで」
良雄「うるさいメス鬼が!お前だなさっきのうるさいの…おら立て!」
女C「あぐっ…い、いや!こ、殺さないで」
良雄「嫌だ…そうだお前はこれで退治してやる……」
女C「た、助けて……」
良雄「誰も助けねぇよ」
SE【ボンッ!】
良雄「あがっ!手がぁ!」
猿岡「桃!どうした!」
良雄「手がぁあ……」
警官A「突撃~!」
猿岡「な、なんだなんだ?」
警官B「抑えろー!確保ー!」
猿岡「あがっ」
良雄「うぐっ……」
警官A「大人しくしろ!」
猿岡「は、離せよおいこらぁー!」
良雄「離せ!俺は桃太郎なんだ悪いのはあいつらだ!鬼が行けないんだ!」
警官B「イカれてやがるな…おら大人しくしろ!」
良雄「俺は悪くない!俺は!!桃太郎なんだ俺はぁあ!!おい助けろ雉!犬!!」
警官B「何言ってんだ?そんなもんいねぇよ」
良雄「ああ?あいつら!裏切っ!ぁあああああ!!俺は桃太郎だぞ!お供が裏切るなんてありえねぇ!くっそくっそ!ぁああああ!!」
警官A「な、なんだこいつ…気失って……」
警官B「気にすんな!連れてけ」
警官A「はい」
猿岡「おい、離せよ、なぁ!おいー!離せよー」
警官B「お前は大人しくしろ!」
猿岡「はーなーせー!!」
アナウンサー
「本日未明…東京都にある滋賀巻商事のビルで元社員である山田良雄…無職、猿岡健三…2名による滋賀巻商事社員への犯行…殺害がありました…犯人山田良雄の上司への怨恨での殺害と推測されます…山田良雄の勤めていた部署の社員…8名が死亡…3名が重傷という非常に恐ろしい結果になりました。また犯人は俺は桃太郎だ鬼退治をしていると不可解なことを言っており警察では薬物による怨恨の肥大での犯行ではないかと薬物の検査、捜査をしていく模様です……」
犬山「勝てば正義、負ければ悪……いつの時代もそれは変わらないさ…でも、殺したら速攻で悪だ、今の世界は」
雉村「やーっぱり貴方なんか企んでたのね」
犬山「いや」
雉村「そろそろ本当の姿見せなさいよ」
犬山「仕方ないな」
亞玖人「これで満足かい?」
雉村「あら、いい男…でも貴方…人じゃないわね?」
亞玖人「どうしてそう思うんだい?動物の感かな?」
雉村「女の勘よ」
亞玖人「ふっ…恐れ入るよ…女って奴は…」
雉村「どうも」
亞玖人「たかがカラスのくせに」
雉村「されどカラスよ」
亞玖人「生意気な…あ、きびだんご残ってるけど食べるかい?」
雉村「いらないわよあんな毒物」
亞玖人「だろうね…あのきびだんごにはMDMAを改良した薬物が入ってる……食べたらまるで自分が桃太郎の登場人物かのように思い込むようなね」
雉村「変な薬」
亞玖人「観たかったんだよ
、この時代に桃太郎がいたらどんなふうに鬼を退治するか……だから彼に演じてもらったのさ……桃太郎を……でも……」
雉村「でも…?」
亞玖人「駄作だった…実に面白みのない桃太郎の演劇だったよ……山田良雄…まぁあの世ではいい役者になってね……さよなら……めでたしめでたし……」
雉村「貴方、ホントに何者?神?悪魔?」
亞玖人「まぁ神といえば神ですかね」
雉村「死神?」
亞玖人「いえ、そんな大層なものではありません……」
「私はただただ死を売る神……紙芝居にて生計を立てている若輩者でございます。さて次はどんな話を観させていただきましょうか……これにて神死売、終幕です……ではまた此の世の何処かで……」