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マジカルロワイヤル  作者: パピヨン
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アーリーVSコロナ

 どうやら気を失っていたようだ、起き上がると丁度カグラがこちらへ歩いてきていた。


「大丈夫? シールドは割れてないから怪我はないと思うけど」


「すまない、気を失ってしまっていた、アーリーはどうなった?」


「逃げられたわ、固有能力の分身が厄介だったけど、防御力以外そこまでたいしたものじゃなかったわ」


 どうやらアーリーはカグラに勝てずに逃走したらしい、固有能力も分身というのが割れてしまっているので、もう次相手にする時は脅威ではないだろう。


「庇ってくれてありがとう、これから仲間としてよろしくね」


 カグラが笑顔でこちらへ手を出してくるので、こちらこそ、と握手を交わした。


 変身を解いて路地裏から出ると魚の魔人に襲われていた中学生程の女の子が待っていた。


「お姉さん達ありがとう、男の人に追いかけられてすごく怖かった……」


 少し泣きそうになりながらこちらに礼をしてくる女の子、どうやら男に追いかけられてる間にあちこち怪我をしたらしく、特に右の二の腕部分が服に滲む程の出血をしていた、このまま放り出すのも心配だということで家まで送ることになった。


 女の子は石井涼と言うらしく、この近くに家があるのだという、石井と話をしながら家まで送って、また話したいという事で石井と私たちは連絡先を交換した、その後私は心と別れて家に帰宅した。


 その夜私は心と連絡を取り合っていた。


「明日はどうする? 休みだけど何処か魔人を探しに行く?」


「冗談だわ、流石に今日疲れたし、明日はのんびりしたいの、涼ちゃんが私にお礼を渡しに来るし、明日は家でのんびりしてるわ」


「そっか、じゃあ私一人で見回ることにするよ、おやすみ」


「うん、おやすみ」


 心との電話を終えてベッドにゴロンと寝転ぶ、心と話して少し気になっていたことが大きくなってきていた、確認しに行けば間違いなく戦うことになるだろう、明日に備えて今日はもう寝る事にする。


 ベッドに寝転んで瞼を閉じているといつの間にか私は眠りの世界へと旅立っていった。


 次の日気になっていたことを確かめる為に私は心の家の近くの死角に待機していた、しばらく待っていると石井涼が心の家に向かって歩いてきた、石井がインターホンを押して心を呼び出しているのが見える、そして心が出てきて心と石井が話をしだした。


 石井がカバンの中からお菓子を取り出していた、あれが電話で言っていた目的のお礼だろう、お礼を手渡す為に石井が心へと近づこうとした瞬間、私は変身して飛び出し、心の背後から忍び寄っていたアーリーに切りかかる。


「なにぃ!」


 アーリーは私の連続切りに耐えきれず消滅していく、突如出てきた私に驚く心と真っ青になる石井を見て私は。


「ここは魔法世界……魔法少女と魔人だけが存在する事の出来る世界」


 私が決定的な事を言うと心はまさか! という表情で石井の事を見る、石井はやれやれといった顔で。


「あーあ、バレたかあ、どうして分かったのかなあ」


「簡単な事だ、私達は襲われる直前の君を助けたんだ、いくら追いかけられていたとはいえ、あんな体のあちこちに傷を負ったのは考えにくいし、決定的なのは、君を逃がした時には付いていなかった右腕のその傷だよそこまでの傷はちょっとやそっとじゃ出来ない、特に私たちを待っていただけの君にね」


「成程ね、これからは気を付けるとしよう」


 そう言って左手を胸の前に持ってきて、付けている腕時計を右手で握った。


「変身!」


 変身すると、アーリーは大剣を出現させてそのまま変身もしていない心を斬ろうとするが、私が盾で割って入り蹴りを叩き込んで道路までたたき出す。


 アーリーは大剣を自在に操り切りかかるが、コロナは剣と盾で尽く受け流す。


「グレートソード!」


 アーリーが上段から凄まじい勢いで振り下ろし攻撃を放った、コロナは盾で身体に当たらないよう逸らし。


「インフェルノ!」


 炎を纏った剣で突き刺し、炎がアーリーの身体を包み焼く。


「うぐあぁぁ!!」


 アーリーは悲鳴を上げて転がる、炎が消えて起き上がるが、もう瀕死の状態のようだった、トドメを刺すため近づこうとすると。


「待って! 狙われてるわ! 避けて! 」


 カグラの声と同時に少し離れた所から爆音が聞こえた、全速力で後ろへと飛ぶ、すると立っていた場所に大砲の玉のような物が飛んできて、爆発を起こした、カグラが居なければマトモに食らうところだった。


「はあ!」


 カグラが大砲を打った犯人に向かっていく、どうやら魔法少女の様でカグラと戦闘を始める、どうやらアーリーも組んでいたらしい、ここまで立ててきた策を全て破られアーリーも怒り心頭の様子だった。


「私は魔法少女になって、好き放題して生きてきたんだ! 邪魔な奴は消して、欲しいものは奪って! お前らなんかに邪魔されてたまるかあぁぁぁ!!」


 アーリーは分身して大剣を地面に突き刺し、飛び上がる、そして鍔を蹴り飛ばして二人で突っ込んで来る。


「ダブルアーリーヘッドバットおぉぉ!!」


 私は落ち着いて溜めていた魔力を両手で握る剣に凝縮させていく。


「ボルカニックブレイド!」


 燃え盛る両手の剣はアーリーの分身をまず切り裂くが、威力がその時点で弱まってしまう、二人目のアーリーと剣がぶつかり合うが威力で負けてしまってヘッドバットを食らいシールドを割られる。


「私の勝ちだあぁぁ!!」


 叫びながらアーリーはこちらへ走り出そうとするが急に糸が切れたように倒れこむ。


「何だ……? 身体が……言うことを……」


 やっと毒が回ったようだ、切りつけた時点でもう固有能力を使っていた、自分の能力を初めて人に使ったが有効なようで良かった。


「何をしたァ……ごふっ! 血が……吐血が止まらない……!」


 倒れたアーリーは地面でもがき苦しみ始める。


「あっ……がふっ! そんな……嫌だ……死にたくなぃ」


「私の毒はどうやらシールドをある程度貫通出来るようだな、勉強になったよ」


 遂にビクビクと痙攣を起こし出して一言も発しなくなったアーリーに背を向けて私はカグラの元に向かっていった、もう後ろからはアーリーが追いかけて来ることは無かった。




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