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マジカルロワイヤル  作者: パピヨン
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アーリー

「ここまで来れば大丈夫よね……」


 私は龍魔神から逃れた後家に戻っていた、そしてそのまま部屋のベッドへ倒れ込む、私一人の力ではあの龍魔神を倒せない、また前の時のように仲間を集めて対抗しなければならない、前は全員バラバラになった状態で一人一人命を落としていったが、今度はそうはさせない、それに前とは違いもっと仲間を集められるはずだ、何とかしてコロナを止めて私の願いを叶えなければならない。


 まず私が知ってる限り最初に死亡したのはアーリーだ、決して善人ではないが、だからって死んでいいわけがない、前はコロナとの一騎打ちで敗れ死亡したが、その状態にならないようにして、出来ればアーリーを仲間に加えなければ。


「とりあえずの方針は決まったわね、アーリーを探さなきゃ」


 私はアーリーを探すため変身し家を出る、以前はこの近所の路地裏で遭遇して不意打ちされたはず、ならばそこに行けば会えるはず、急いで前にあった場所へ向かう、目的の場所に近づいてくると戦闘音が聞こえる、誰かが戦っているのだ、近くの屋根の上に着地し下を覗くとそこにはコロナとアーリーと魚の魔人の三つ巴の戦いが繰り広げられていた。


「はぁ!」


 アーリーが果敢にコロナへ切りかかってく、状況はアーリーが押していた、コロナは魔人狩りを私に邪魔されて魔力も増えてなければ戦いもまだ慣れていない、アーリーは能力こそ高くはないが戦い慣れている、このまま行けばアーリーが勝つだろうが、魚の魔人が槍を突き出す、アーリーはそれを器用に避けて反撃するが魔人に受け止められる、そしてその隙にコロナの剣で大きく吹き飛ばされた。


「ボルカニックブレイド!」


 コロナの必殺技で魚の魔人は大きくダメージを受けて消滅しようとするが、アーリーが割り込んで魚の魔人を切り裂き魔力はアーリーの元へ還元されていく。


「なっ! お前!」


「油断したなぁ? 私の勝ちだぁぁ!」


 アーリーは大剣でコロナに迫る、コロナは何とか防いでいるが、アーリーは分身を出しコロナの死角に入り攻撃する、横合いからの分身の攻撃に反応出来ず一方的にコロナは攻撃を受け続ける。


「グレートソード!」


 強烈な大剣の攻撃でコロナはその場に倒れ伏す。


 このまま行けばアーリーがコロナを殺して終わりになる、だが都合が良い風には動かなかった、アーリーの後ろから小さな蜂が襲いかかりアーリーは堪らず距離をとってしまう。


「ちっ、次から次に何だ!」


 スーツを着て眼鏡を掛けたサラリーマン風の男がコツコツとアーリーの方へ歩いていく。


「そいつを殺されると困るんだよ……」


「 どういう事だ? コイツとお前になんの関係が」


 サラリーマン風の男は変化していき蜂の魔人になる、魔人にアーリーが切りかかるが大剣の攻撃は全て避けられ蜂魔人の攻撃をアーリーは受け続ける、龍魔神だけではなくあの魔人もコロナの味方なのか、予想以上にコロナの味方が多そうだがあまり悠長に見ていたらアーリーが殺されてしまう。


「魔力解放!」


 私は飛び降りながら槍で蜂魔人を攻撃する。


「ぐぁ!」


 不意を打たれた蜂魔人はダメージを受けて後ずさる、近くに居たアーリーが怪訝そうにこちらを見て問いかけてくる。


「お前は……!」


「アーリー、貴方を死なせる訳には行かない、一緒に戦うわよ」


「ふん、良いだろう、私もこんな所で死ぬ訳には行かないからな……」


 蜂魔人は立ち上がりこちらを警戒して構える。


「お前が魔神共の言ってたイレギュラーか、辞めとけよ、お前や俺の力でどうにかなるような事じゃない、アイツらの側に付けばこんなクソみたいな戦いに繰り出されずに済むぞ」


「私は戦いを見て見ぬフリをする事なんて出来ない、私の願いは戦いが始まる前に時間を戻して戦いを無くす事だ! もう無駄に命を奪わせたりしない!」


「アイツらに勝てるわけがないのにな、その願いに免じてせめて苦しめずに殺してやる!」


 蜂魔人はこちらへ小蜂を飛ばしてくる、私は固有能力で透明になる、小蜂はこちらを認識出来ずに右往左往するのみだ、蜂魔人は小蜂での攻撃を諦めてこちらへ格闘戦を仕掛けてくる、奴の腕の毒針は危ない、リーチの差を利用して近づく前に突きで蜂魔人を攻撃する、蜂魔人は一方的に攻撃を食らう状態を嫌って距離を置く。


「蜂魔人、覚悟しろ」


「ふふふ……はははは! 覚悟するのはお前だ!」


「何?」


「後ろだ!」


 アーリーが切羽詰まったような声を上げて警告する、咄嗟に後ろへ振り向こうとするが背後から強烈な打撃を受けて壁へと叩きつけられる、攻撃が来た方を見るとコロナが燃える大剣を振り抜いた姿勢で立っていた、私が体勢を立て直す前に蜂魔人が猛攻を仕掛けてくる、その攻撃を何とか防いで反撃するが、蜂魔人も槍を冷静に捌いてくる。


 私と蜂魔人の戦いに手を出し損ねているコロナに向かってアーリーが突撃して行って戦いが始まる、早く蜂魔人を倒して合流しなければアーリーが死んでしまうかもしれない。


「絶対零度!」


「これは!」


 蜂魔人は何とか動こうとするが徐々に停止していく。


「インパクトランス!」


 槍から放たれる衝撃波が蜂魔人を襲う、ダメージは与えたがまだ足りない、蜂魔人は怒りの咆哮を上げながら突撃してくる、それを迎え撃とうと構えていると、突如向きを変えてアーリーとコロナの元へ飛んでいき、こちらに小蜂を飛ばして攻撃してくる。


 しまった、アーリーが危ない!


 アーリーはコロナ相手に優位に立っていた、だが蜂魔人が手を出せばそれはひっくり返る、アーリーは蜂魔人が迫っているのに気づくがコロナも炎の剣を構えて必殺技の構えに入る、アーリーは分身と本体それぞれで一人に対応する事にしたらしく必殺技の構えに入る。


「ボルカニックブレイド!」


「アーリーヘッドバッド!」


 ボルカニックブレイドとぶつかったのは分身だったようでコロナのシールドを破壊して分身は消えた、蜂魔人の方に行った本体は必殺技を屈んで避けられ下から蹴りあげられて壁に激突した。


「がふっ……くそぅ……」


「アーリー! 大丈夫か!」


「辞めろ……お前と私は味方じゃあない」


「ここは引こう、これ以上やるとアーリーが死んでしまう」


 私はアーリーと共に透明になり姿をくらます、蜂魔人もコロナに襲い掛かられて反撃はせずに逃げていった、コロナは魔人を敵だと思っているが、魔神や魔人達の間でコロナを勝たせようとする一派がある様だ、何とかしてこの一派とコロナを倒さないと、ふらつくアーリーに肩を貸しながら路地裏を後にした。






















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