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マジカルロワイヤル  作者: パピヨン
23/26

終の時

これでひと段落です、しばらく投稿は出来ませんが今月中にまた出来ると思います

「コロナー! シヴァー! 何処だー!」


 私はシヴァが逃げていった方向に向かって探知しながら走っていく、だが一向に見つからないし電話も繋がらない。


「嫌な予感がする、早く合流しなくちゃ……」


 探知の魔法に突然激しい反応がありその反応はこちらへ猛スピードで近づいてきていた、そしてこちらまで来てそれは私の前に降り立った、黒いドレスアーマーを纏った少女、ゴルドだった。


「こんにちは……お姉ちゃん、後はお姉ちゃんだけだよ、他の奴らはみんな死んじゃったから」


「そんな……シヴァ……コロナ……」


「お姉ちゃんを殺してこの戦いを永遠に続けさせるんだ、あはは、ボクが女王様の理想郷が出来上がるよ……」


「させない! そんなことは、私がお前を倒す!」


「やってみなよ……出来るものならね」


 ゴルドの姿が徐々に変化していく、小さな少女が三メートルを超える程の巨体の象の魔人になる。


「ゴルド……あなた魔人だったのね……」


「あははは!! 潰れろぉ! 」


 象の魔人はその巨大な足で私を踏み潰そうと迫る、私は敢えて前に飛び出して避け象の魔人の背後から飛び上がり槍を突き刺す。


「ランスインパクト!」


 だが槍から迸る衝撃波も象の魔人には通用しない、振り向きざまに振るう腕を咄嗟に防ぐがまるでオモチャの様に私は吹き飛んで壁に激突する。


「ぐぁ!」


 とんでもないパワーと防御力だ、ゴルドの時よりも更に強くなっているようだ。


「魔力解放! 」


 双槍を構えて突撃する、象の魔人はパワーと防御力はとんでもないが、スピードはゴルドの時よりも遅い、まだあのデタラメな速さを相手にするより希望はある。


 振り下ろされるハルバードを最小の動作で避け象の魔人へ迫る、空いている手で殴りかかってくるが直前で分身し象の魔人を取り囲む、それぞれが投槍の構えになる、象の魔人は一人に狙いを絞ったようで分身をハルバードで叩き潰す、その間に私と分身は魔力を溜め終えそのまま槍を投げ放つ。


「「デュアルグングニル!」」


 計四本の投槍が象の魔人へ迫る、一本目はハルバードを弾き飛ばし二本目はもう片方の腕に刺さり壁に釘付けになる、そして残りの二本の槍はそれぞれ顔と大腿部に突き刺さり象の魔人は悲鳴をあげる、だがこれでも致命傷では無い、壁に釘付けになっている隙にまた、魔力を溜めて投槍の構えになる。


「あはは、その技じゃあ後五回は当てられないとボクは死なないよ? そこまで魔力がもつかなぁ!」


 私はグングニルの槍を上に投げる、そして先に上へ飛んでいた分身はグングニルの槍を受け取り更に魔力を込めていく、魔力を込め終わった分身は消えていき暴走しそうな程の魔力が篭った槍を私が飛び上がり手に持つ、そのまま空を蹴り私自身が一本の槍になったように猛スピードで象の魔人に迫る、象の魔人は釘付けから解放されて咆哮しながら剛腕を振りかぶった。


「死ねえぇぇぇぇぇぇ!!」


「流星」


 そして私の槍は振るわれた拳とぶつかる、この技は私が持っている技で最も威力が高い技でこれ以上強い技はない、これを防がれたら負ける。


「この! 貴様如きに!」


「はあぁぁぁ!!」


 私の槍は少しずつ拳を押し返していき、そしてついに拳を裂いて私の流星が象の魔人を貫く。


「うがおぉぉぉ!!」


 象の魔人は少しずつ消滅しながら雄叫びをあげる、そしてどんどん人間の形へ戻っていく、変化が終わった時にはゴルドが肩で息をしながらこちらを憎々しげに睨みつけてくる、何とか消滅は免れたようだが、もう戦う余力などないだろう、それでもまだ立っているのはそのプライド故か。


「ボクをここまで追い詰めたのは褒めてあげる、でもね! ボクの時間圧縮がただ単に高速移動なんかにしか使えないと思った? これはこんな使い方もある!」


 ゴルドが何かをしているようだ、阻止しようと動き出すがゴルドはみるみると魔力と傷を回復させていく、こんな事はありえない、魔力を回復させるには時間がかかるし、傷を回復させるのに魔力がいる、いや! 違う、時間を圧縮して魔力回復を促しているのか!


「あはは……さて、やろうか、これはそんな何回も出来ることじゃなくてね、時間圧縮もしばらく使えなければ疲労が回復する訳でもない、でも、お姉ちゃんを殺すだけの余力は戻ったよ」


 まさに絶望と呼ぶのがふさわしい、これまで苦労してゴルドのシールドを割り、魔人形態も何とか破り、こちらはもう無けなしの魔力を振るうしかないのに、ゴルドは全回復ではないが、身体の傷は治癒し、半分程まで魔力を戻していた。


「まだ……諦められない! 私はみんなの命を背負っているのよ! 絶対に負けない!」


「ムカつく……ムカつくなぁ! 最後に勝つのはこのボクだ!」


 ゴルドはハルバードを生成してこちらへ突撃してくる、私は解放状態を維持出来なくて解除している、通常状態だと能力の差が大きいが、やるしかない。


 振るわれたハルバードを避けて槍で突く、だがゴルドは屈んで避けてタックルを仕掛けてくる。


「トリック!」


 私は分身を使って避ける、そして分身と共に槍でゴルドを攻撃する、だがゴルドは四方八方から振るわれる槍をハルバードで防ぎダメージを抑える、そして横薙に振るわれたそれを避けられず分身は一斉に消え、私も吹き飛ばされシールドが破壊される、だが終わりではない、残った魔力を必死にかき集めて槍へ収束させる。


「破城槌!」


 ゴルドの破城槌が迫る、これを生身で食らえば死んでしまうだろう、だが破城槌に魔力を回して防御を疎かにしている今がこの少ない魔力でゴルドを倒す最後の機会だ!


「はあぁぁぁぁぁぁ!!」


 ゴルドの破城槌が私の胸へ当たる、その瞬間身体を無理やり捻りなんとか避ける、そして短く持っていた槍をゴルドのお腹へ突き刺す。


「グングニル!」


「う……あぁぁぁ」


 放たれた槍はゴルドのシールドを砕きそのまま突き刺さりながらゴルドを空へ打ち上げていく。


「そんな……このボクがぁ! 馬鹿なあぁぁぁ!!」


 空高く打ち上げられたゴルドは空中で消滅していく、今度こそ終わったようだ、これでやっとみんなを生き返らせることが出来る……!


「終わったよ……みんな……これで……」


「終わらないよ、終わらせない、もうあの日常に戻ることは出来ない」


「え? コロナ……?」


 振り返るとコロナと二人の少女が居た、一人は黄金の瞳以外全て真っ白な少女、もう一人は同じく黄金の瞳を持っているが、褐色の肌に長い黒髪、黒いワンピースを着ているまさに真っ黒な少女、そして変身しているコロナ。


「どういうこと? 終わらせないって……」


 コロナはふぅ、とため息を付いて話し出す。


「正義というのはね、悪が無ければ成り立たないものなんだ、私の正義には必ず悪が存在した、ダメなんだよ、終わったら私の正義が無くなってしまう、永遠の戦いを……それが私の望みだよ」


「馬鹿な事を言わないで! 今まで繰り返されたあの悲しみをまた繰り返させるというの! 見損なったわ! コロナ!」


 ゴルドを倒して大幅に魔力が増えたが、減っていたぶんと疲労はどうしようもない、コロナと戦いになっても勝てるかどうか分からないが、コロナの願いを叶えてやるわけにはいかない、私は決死の覚悟で槍を構える。


「この子達はね、私が生き残って願いを叶えたその影響で生まれたらしいんだ」


 両脇に控える少女達の肩を持つ。


「私は未来の世界で生き残って永遠の戦いを望んだ、そしてその願いを叶えるためにやって来た魔神なんだ、この二人は私の願いそのものなんだ」


 白い少女は悪魔の様な姿に、黒い少女は漆黒の龍の姿にそしてコロナが空へ浮かんでそれぞれ悪魔と龍はコロナに吸収されるように一つになる。


 そしてそこに居たのは、ゴルドすら凌駕する圧倒的な魔力を持ったコロナがいた、見た目は赤い鎧の騎士で右肩と左肩にそれぞれ龍と悪魔が象られている、そして武器は身長程にもなる長さの大剣を持っている。


 勝てない、そう悟った、だが諦めはしない最後の瞬間まで。


「コロナァァァ!」


 私は分身を使いグングニルを上に投げる、私の分身が更に魔力を槍へ収束させる、飛び上がった私は槍を掴みそのまま空を蹴り出しコロナへ一直線に向かう。


「流星!」


「ジャッジメントソード」


 コロナの大剣が燃え盛りこちらへ突き出される、その大剣は炎を纏いながら巨大化していき私の流星とぶつかる、流星は剣とぶつかった瞬間大爆発を起こして私は吹き飛ばされ意識を失った。


 ――――――――――――――――――――――――


 身体に刺すような冷たさを感じて目を覚ます、雨が降っている、顔を拭おうと腕を動かそうとしたがピクリとも身体は動かない、あの後どうなったのだろう、流星はコロナの攻撃の前に呆気なく敗れ私は吹き飛ばされた、変身して治癒魔法を掛けようとしても数珠に触れる事すら出来ない。


 悔しい、コロナに負けて結局永遠に戦い続ける事になった、何処で間違えたのだろう、みんな生き返らせて全部ハッピーエンドって言うのはダメだったんだろうか。


 凄く眠たくなってきた……悔しいなぁ、本当に……そのまま眠るように私は息を引き取った。


 ――――――――――――――――――――――――


 目の前で少女が死んでいった、これで何人目だろうか、最初に今の戦いの元になるシステムを作った時はこんな事にさせるつもりはなかった、だが誰かが戦いのシステムを変えていき、今はこんな命を奪い合う邪悪なものとなってしまった、私の手を離れたこの戦いは最早私では止められない、この事態を招いてしまった私にはこんな責任のとり方しかできない、この少女の記憶を残したまま少し前まで時を戻す、だがこれをするのには私が命をかけてやる必要がある、命は惜しくないが、これをした所でこの少女に結局丸投げしているだけなのだ、この一回きりのタイムリープでこの絶望の未来を救ってくれるように願うしかない。


「頼んだぞ、羽島 心、カグラとして未来を救ってくれ……」


 この世の全ての光景が逆行していく、その過程で徐々に崩壊していく私、私はそのまま時の流れに置かれ崩壊していった。










白い少女 (悪魔の魔神)

別の世界ではコロナの勝利が確定していて、その勝利した未来からやって来た、コロナの願いは永遠に戦い続ける事、魔人は白い少女が殺害した人間から生まれていき永遠に魔人は作られ続ける、こちらの世界のコロナは勝利が確定しておらずカグラかコロナが残ることになっていた、それをコロナを勝利させてまた戦いを続けさせる為に送り込まれてきた、コロナは別世界を認識していないが、願いだけが世界を飛び越えて叶った。


黒い少女(漆黒の龍魔神)

白い少女と共に渡ってきた魔神、白い少女とは役割を共にするが、こちらは魔法少女を作っている、こちらの世界の人間のサンプルを得るためにちょくちょく人を誘拐していてオーパルの兄はこの被害者。


私(魔女)

世界から湧き出る悪魔を倒す為に戦っていたが戦力が足らずにこの戦いの元となるシステムを作った、だが願いが叶えられるたびに少しづつシステム代わり気づいた時には取り返しのつかないことになってしまっていた、ある意味今回の元凶。

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