魔法少女ゼリス
今日も魔人が集まっているという地域に私は来ていた、サメ魔人を倒した以降、魔人は姿を隠すようにひっそりと行動し出した、そのせいで最近は魔人と遭遇すら出来ずにうろうろするだけの日常に変化していた、これでは魔法少女になる前のあの日々と変わらないな、と思っていると探知魔法に反応があった、すぐ側の家の上だ、そこに見たことの無い魔法少女がいた。
「何か用かな、そんな物騒なもの出してどうするつもり?」
「わたしはゼリス、貴方はコロナですね?」
ゼリスと名乗った少女は紫と黒を基調としたドレスに顔は不気味な仮面で顔全体を隠していて茶色の長い髪が風に揺られている、手には鉤爪を付けていて足の踵にも刃が見えた。
「そろそろ魔法少女も減らしていかなければならないですからね、死んでもらいますよ」
そう言って屋根からこちらへ一直線に飛んでくる、速い! すぐさま盾でガードするが、かなり重い一撃だ盾では防ぎきれない、構えた盾は鉤爪の一撃で流されもう片方鉤爪で胴を切られる、すぐに切り返すが鉤爪で剣を絡み取られて足払いをかけられる、倒れた私の腹に向かって足の刃を使ったかかと落としをしてくる、咄嗟に転がって距離を取って起き上がるが、一瞬の内に間合いを詰められる。
「ストームレイダー!」
風で鋭さを増した鉤爪でまともに切り裂かれる、私はシールドがもう残り少ない所まで削られてしまう、このままでは負けてしまう、解放は魔力消費が激しく、疲れてしまうので使いたくはなかったが、ここまで追い詰められると仕方がない、ゼリスは持ち前の圧倒的なスピードで距離を詰めてくるが、こちらへ攻撃する直前に。
「魔力解放!」
身体から吹き出した炎にゼリスは吹き飛ばされた、やはり防御力はそこまで高くないようだ、炎から飛び出し双剣でゼリスへ連撃を入れる、ゼリスは突如同格の速さになった私に焦りながらも鉤爪を使って双剣を捌いていき合間にこちらへも反撃を入れてくる、双剣で鉤爪の動きを止めた瞬間に新しく考えていた技を放つ。
「フレイムバースト!」
身体から瞬間的に爆炎を吹き出して周りのものを吹き飛ばす技だ、ゼリスは爆風で勢いよく吹き飛ぶ、吹き飛んでいるゼリスに向かって持ち前のスピードで追いつき空中で双剣で斬撃を放つが双剣を当てた瞬間まるでバットでボールを打ったように飛んでいく、当てたのに手応えがほぼ無かった、あの異常なスピードとこちらへ飛びかかってきた時の重い一撃を考えると大体固有能力は察せた。
「重さを操れるのか、それで爆風と双剣の攻撃をいなしたという訳か」
ゼリスは吹き飛ばされた状態から緩やかに着地して拍手を始める。
「たったこれだけのやり取りで固有能力を見破ったのはお見事です、ですが貴方の攻撃はわたしには通用しません大人しく負けを認めてもらえたら……ぐ」
と言いかけた所でゼリスは喉を抑える、毒が回ってきたのだろう、魔力の多いものは毒の耐性が高いが解放状態の毒はかなり強力だ、耐性を超えてダメージを与えだしたのだろう。
「ぐっ……!一度引かせていただきます」
ゼリスは毒が回りきる前に逃げる選択をした、自分の重さを消したのだろう、飛んでいってそのまま見えなくなった、追う事もできないしシールドも心許ないので、今日は帰ることにした。
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魔法少女コロナ、思ってた以上に手強い相手だ、魔力解放とやらでこちらのスピードに対応して来た、真正面からぶつかっても分が悪いだろう、アイツも後回しにしなければ。
こみ上げてきた物を吐き出す、血だ、コロナは毒を持っている、回復魔法を自分に掛けているがまだ引かないらしい、段々と意識が朦朧としてきた、血を失いすぎたのだ、わたしは家の前まで戻ったが糸が切れたようにそのまま倒れた。
頭にひんやりとしたタオルの様な物をのせられる、目を開けてみると梓姉さんがわたしをベッドに寝かせて看病してくれていたようだ、毒で弱っていたわたしだがどうにか耐えきったらしい。
「まだ寝てなきゃダメだよ、顔真っ青にして家の前で倒れてたんだもん、お姉ちゃんびっくりしちゃった」
「すいません梓姉さん迷惑をかけました、大分しんどさはなくなったみたいですから梓姉さんは自分の事をしてください」
風邪をこじらせたということにしておこう、あまり話を大きくされても面倒だ。
「あんまり無理しちゃダメだよ、お姉ちゃんが今日はご飯作るから大人しくしてて」
そう言って姉さんは部屋から出ていった、姉さんだけは自分に悪意を持たない、感じ取ることは出来ないが、きっと愛されているのだろう姉さんを殺せばわたしは愛されていることを実感出来るようになる。
奪われた感情を取り戻すために実際に殺害しようした事があったが出来なかった、後一歩の所までは行けるのだが、身体が言うことを聞かなくなる、そこで願いだ、願い事で姉さんを殺して貰えれば、わたしは良心を取り戻し本当のわたしになれる。
こんな所で寝ている訳には行かない、充分休んだお陰で身体の調子はすっかり戻っていた、魔法少女や魔人を探しにわたしは窓からゼリスとなり飛び立つ。
「梓姉さん……待っててね必ず……」
ゼリスはそのまま夜空の闇の中へ消えていった。
高宮 怜奈 (ゼリス)
ゼリスの能力は重量操作、自分にのみかけることが出来るが、重さをほぼ零にまで下げれるので物理攻撃に対して強いが、魔法攻撃には打たれ弱いその能力を用いて本来のスペック以上のスピードと攻撃力を誇る、武器は鉤爪と踵に付いているブレード。
魔法少女として叶えたい願いは姉を殺してもらう事。




