カグラの選択
私は赤羽由希と言う同級生について分からなくなっていた、魔法少女同士で戦ったりは私もしていた、だが、赤羽由希はアーリーの命を奪っていながら余りにも自然体過ぎた、戦うまではまだ出来る、しかしトドメを刺して殺すことなど自分には出来るだろうか、考えてみたけど殺すことを考えただけで気分が悪くなった。
最初は魔法少女同士組んでいれば効率良く敵を倒して願いを叶える前に白黒ハッキリさせて願いを叶えて終わりのつもりだった、だが由希は相手の命を平然と奪ってしまう、それに何ら罪悪感を抱いた様子が無いのだ、正義の味方に憧れている何をしても平均的な少女という認識でしかなかった、だが間違いだったのだ、きっとこれからも自分の正義のままに敵対する魔法少女を殺していく事だろう、魔人は倒さなければならない、だが、魔法少女同士で殺し合う事は無いはずだ、私は最近知り合った魔法少女ドレッドに連絡を取り少し話をする事にした。
ドレッドと話をしてから一週間、私は誰とも連絡を取らないまま家で引きこもっていた、夏休みなので学校から連絡が来ないのが唯一の救いだった、ドレッドから魔人は元が人間であると聞いてしまったのだ、そして今まで自分が倒した魔人の数を数えようとした所で吐き気が込み上げてきてそれに逆らわずに吐き出す、もう三日はものを口にしていない、胃液が出てくるだけだった、暫くして落ち着くと私はベッドに寝転んだ。
魔人になる条件はよくわかっていないが、魔人が人を食べなければ理性を失ってより多くの人を手にかける事になる、そんな魔人にかけられた呪いの様な生き様に最早どうしたらいいか分からなくなる、いっそこのまま死ねたらなどとどうしても考えてしまう。
「お邪魔するぞ、大丈夫か?」
「不法侵入してきて第一声がそれとは恐れ入るわ」
入ってきたのは浅田茉莉だった、恐らく魔法世界側を経由したのだろう。
「私は、魔人をもう殺すことは出来ない、魔法少女とも戦えない」
「オレからはなんとも言えない、戦わないなら戦わないで、それでいいだろう、だが何もお前が死ぬことはないだろ、今にも死にそうな顔をしている」
「……まだ今は落ち着いているのよ」
これでも最初の頃よりマシになったのだ、もしかしたら時間が解決して気分もマシになるかもしれない。
「ねぇ、聞いていいかしら、あなたはコロナの事をどう思う?」
「コロナか、良い奴だとは思う、最近は積極的に魔人を倒していってるようだし、この調子で行けば魔人をアイツが全滅させて願いを叶えてしまうかもな」
茉莉はコロナの異常性に気付いていないようだ、ここで下手にコロナの異常性を言ってしまうと魔法少女同士争わせようとしていると勘違いでもされかねない、茉莉には黙っていることにした。
「ちゃんとご飯を食べるんだぞ、お前が死んだらオレも悲しいからな」
言うだけ言って茉莉はドレッドになりそのまま魔法世界に消えていった。
そこまで心配されては死んでやる訳には行かない、それにいい事を思いついた、殺した命は戻ってくることは無い、だがこの戦いで頂点に立てば願いを叶えてもらえる、魔人と魔法少女の戦いで命を奪われた人を蘇らせれば全て丸く収まる、元の願いと言えば大金持ちになりたいという下らない願いだったのだ、元々無いような願いなのだから思いついたのに変えてしまっても問題ない、この願いに共感してくれる魔法少女を集めてみんなで願いを叶えればほぼ確実に生き返らせることが出来る。
ドレッドはこの話に乗ってくれるだろう、コロナも明らかに正義の行いであるこの願いを聞いてくれるはずだ。
魔人も願いを使えば蘇らせて元の人間に戻してあげられる、私の魔人を殺したくないという思いはすっかり消え去っていた、何としてでも願いを叶えなければならない。
出掛けようとベッドから起き上がろうとするが、食べてなかったせいで途中で力尽きてまたベッドにパタッと倒れてしまう。
「……まずは食べなきゃね」
のっそりと起き上がって私はご飯を食べる為部屋を出た。




