過渡期の混乱
過日、多くの業種の方とお話をする機会があった。
学校の先生、大工さん、商社マン、丸内のOL!などなど。
やりがいを感じる、その一方でどうにもできない昔からの因習に懊悩している方が多かった。
体制を変えたい、が出しゃばると杭を打たれる。既成概念を変えないと業界そのもののビジネスが破綻する。などと侃侃諤諤と意見を言う場は、非常に高い熱気に包まれていた。
そんなサウナのような空間で、出版業界は少し違う方向の熱さだった。
片足突っ込んだことのある業界に少し興味を持って議論に加わった。
どこの出版社も大変なんだなあ、と思ったりしたが、やはりこの業界は志の高い人が多かった。プライベートより仕事! 熱く滾る血潮を感じた。
この人たちは、今の体制を変えようという感じではなかった。もちろん、変えることが全て良いとは限らない。けれど、漫画村にしても、これからの出版社のビジネスモデルにしても問題は山積している。漫画村を撲滅しても、つぎからつぎへと手を替え品を替え同じ類のものは出てくる。外部より内部の人間は危機感を感じていないようであった。そこには厳然たる根拠があるような顔していた。旧態依然とどこか人任せというか、建設的ではないように感じた。
「クリエイターは職人で、販路を持つ私たちが、彼らを導いていく」
今、その導き方の是非を含めて議論しているのではないのか。
「導く」という彼らの言葉に違和感を持ったのは、私だけではないだろう。
クリエイターは自らでビジネスモデルを築いてゆく他あるまい。
無能な大家の所で、店子はじっと商機を待つわけにはいかないのだから。
なんて批評ぶったことを連れに言ったら、鼻で笑われた。
「もう気づいている作家は、とおの昔に自分からお金を稼げる形にシフトしているよ」、と。
え? 具体的に教えて! といったら、また鼻で笑われた。
どうやら、私も旧態依然のようである。