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第529話「謎のコンテナ③」

 謎のコンテナの一つを開封した俺は、まず精霊感知でコンテナの内部を調べた。


「とりあえず生き物はいないな」

「魔力感知にも引っ掛からないね」

「今明かりを灯すわ」


 真っ暗闇のコンテナ内部が淡い昼白色ちゅうはくしょくの光で満たされる。


「箱だらけですね」


 コンテナの中にはいくつもの箱が積まれてあった。

 箱のサイズは全て同じで、触った感じはコンテナと同じ素材に思える。

 どれも硬質樹脂のような質感だ。

 まあ、俺が知っているプラスチックとは少し違うようだが。


「開くのかい?」

「やってみる」


 俺は箱にペイントされている“いかにもな箇所”に触れてみる。


「さて、何が出てくるかな?」


 ……しかし箱は開かなかった。


「直感的に誘導するような目印を付けておいて開かないんですね」


 横で見ていたユナがくの字になって笑う。

 どうやらツボに入ったらしい。


「一旦家に運んでから、ゆっくり調べるというのはどうだろう? 落ち着いた場所て調べるのは研究の基本だよ」

「ダメよ。家の中が汚れるようなものが出て来たらどうするのよ」


 レレの提案はティナに拒否された。


「仕方がない。もう一度サーベルを魔法で強化だ。適当に一個開けてみよう」


 俺は青白く輝く刀身で箱のふたに切れ目を入れる。

 幸い爆発することもなく、無事に箱を開けることに成功した。


「なんだこれ? 皿か?」

「結構ぎっしり詰まっていますね」

「皿かい? こんな平面な皿じゃ、汁がこぼれてしまうじゃないか」


 箱から出てきたのは陶磁器とうじきのような白い皿だった。

 ちょうどティーカップの受け皿くらいのサイズだ。

 しかし全く凹凸の無い平らな皿では、レレの感想ではないが料理の受け皿にはならない。


「中央に穴でも開いていたら未知の記録ディスクだったかもしれないのに」


 確かにティナの言う通り、これが記録メディアだったら面白いのだが、特に何かそれらしい目印になるような文字列もなく、ただただ平らな皿をしている。


「魔力とかで調べられんかな?」


 俺は適当に取り出した皿をティナとレレに渡してみるが、特に魔力の痕跡は感じ取れなかった。


「お皿にしては軽いですよね」


 魔力が込められているわけでもなく、特に危険は無さそうなのでユナとサーラにも渡してみたが、二人は同じ感想を言う。


「確かに軽いよな……」


 この場でこれ以上の調査はできない。


「何にしても回収はしたいですがコンテナ三つは骨が折れますね」


 どうやらユナは中身だけでなく、コンテナそのものを持ち帰りたいようだった。


「コンテナの表面を見てください。周りがこれだけ凍っているのにコンテナの表面は凍り付いていません。壁は薄いのに叩いても響きませんし、どうしてこんな材質が存在するのか意味がわかりません。これで魔法は込められていないんですよね?」

「魔法は込められてないね。運ぶの手伝うから私も一つ欲しいところだよ」


 何とかしてコンテナをコイス村まで運んでも、このサイズでは峠を移動できそうにない。

 魔法で浮かせて王都まで運ぶのは無理だし、魔術師三人の儀式テレポートではちょっと難しいだろう。

 ちなみに魔術学院の儀式テレポートでも大型の荷馬車を二回に分けて転送したんだから、その倍以上のサイズと質量があるコンテナをテレポートさせるのは無理だと思う。


「どうするの?」

「謎の白い皿と、箱のふた部分はサンプルとして持ち帰ろう。今日の所は陽が沈むから、コンテナの穴は魔法で塞いでとりあえずコイス村に戻るぞ。あとここはカルカスのおっさんの領土だからな。遊びの誘いに乗っかって見つけたものだ。ちゃんと報告はしないと」

「それがいい。もしかしたら持ち出し手伝ってくれるかもよ?」


 そんなわけで、謎のコンテナ調査団の一日はここで終わり。


 帰りの方法は、ティナが家に置いてあるテレポーターをコイス村まで移動させて、ティナ以外の四人はテレポーターを使ってコイス村に直帰。

 現地に残ったティナはもう片方のテレポーターを持って家にテレポートし、そのテレポーターを家の中に置いてコイス村まで戻ってくるという非常にややこしい手順でコイス村に戻った。

 この辺もう少し何とかしたいところだが、対になるテレポーターが二つ一組しかないのでどうにもならん。

 まあ、こんなヤバい魔道具が他にぽんぽん出土するわけないもんな……。


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― 新着の感想 ―
[一言] 運送会社のコンテナか何かだったのかな
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