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第437話「魔法の防具・試行③」

 魔法の防具を着込んだ俺は、ユナと一緒に一階の広間に降りた。


「凄い恰好だけど似合ってるわね……それ寒くないの?」


 下で待っていた三人の感想だが、まずはティナから大真面目なツッコミが飛ぶ。


「肝心の胴体がガラ空きだの?」


 誰しもが疑問に思う防御範囲について、サキさんがダメ出しをした。

 というか、先程からヨシアキは無言のまま、俺と目を合わせようともしない。

 こいつが着て欲しいと言うから着てやったのに、何か一言あってもいいんじゃないのか?


「まさか本当に着てくれるとは思わんかった。その……、目のやり場に困るというかですね……」


 恥ずかしいのはこっちの方なのに、おまえがモジモジしてどうするんだ。


「あのーミナトさん、とりあえず写真撮ってもいいですか? 子々孫々に至るまで家宝にしますんで……」

「別にいいけど……」


 なぜに敬語?

 魔法の防具について調べるはずなのに、いきなりスマホで写真撮影を始めるヨシアキ。

 ティナの魔力が戻らなかったら、今後はスマホの充電も難しくなるのに。

 こんなところで無駄なバッテリーを消費して、ここ一番で後悔しても知らんぞ。


 まあいいや。

 せっかくだから、男の子が喜びそうなセクシーポーズでヨシアキを困らせてやろう。

 スカートから丸見えのインナーはパンツじゃないからな。

 これ自体が防具なんだから。わりとモロに見られても、気分的には恥ずかしくない。


「やべえっ! まじやべえよぅ! やっぱりミナトが一番いいッ!!」

「はいはいありがと。ちゃんと綺麗に撮れよー」

「………………」


 俺とヨシアキが写真撮影をする隣で、謎の対抗意識を燃やしたサキさんは上半身裸になった。





 気分を取り直して、俺は魔法の防具を身に着けている間にわかった事を簡単に説明する。


「最初ティナに聞かれたけど、この恰好でも寒さを感じない。冷たい手で触れば冷たさを感じるけど、寒さで体が冷えることは無さそうだ」

「面白いわね。もしかしたらだけど、気温が高くても暑さを感じない可能性まであるわね」


 夏になるまで確かめられないが、可能性としては有りうる。


「雪の中でも冷えずに動けるんでしょうか?」


 ユナの疑問に応えるべく、俺は外の雪に突撃してみたが、雪の冷たさで酷い目に遭った。

 ちなみにインナーの防水性能は無さそうだった。


「この調子だと、火や溶岩みたいに直接的な物には耐えられないパターンですかね?」

「気温に限定なのかな? 暑さ寒さにも限度はあると思うが……」

「どれ、インナーの防御力をわしが試してやるわい」


 サキさんは俺の腕を取って、思いっきりこぶしを振り下ろした挙句、広間の床にもんどりを打って転げまわった。

 こちらと言えば、思いっきり殴られたとわかる衝撃を感じたが、中までダメージが通ることは無い。


「インナーだけでもこの堅さか……」


 ヨシアキは顎に指を当てて感心する素振りを見せるが、視線はちゃっかり俺の胸と太ももの辺りを行ったり来たり。

 俺の視線に気が付くと、途端に目を逸らす。

 サキさんがてんでダメな生き物なので、こういう反応をされるのは返って新鮮だ。


「刃物に対する性能も知りたいですけど、回復の魔法が使えない今は無理ですね」

「ああ、それならこっちでも色々と試したさ。リリィが協力してくれないんで、インナーは手付かずだけど」


 鎧のパーツに関しては、斬れない、へこまない、傷付かないで、魔法の防具としては一級品らしい。


「問題は防具でカバーしきれていない部分ね……」

「胸のパーツですらビキニサイズですしね。下に至っては小さ過ぎて、おなかが出てるじゃないですか。足りない部位を付け足すことが出来ればいいんですけど」


 そうだなあ……。

 腐っても古代の超魔法で作ってあるから、守れている部分だけは完璧なんだけど、見た目からもわかるように、実戦での使用は難しいか?


「とりあえず、今日はこのくらいかな。いかがわしい装備かと思ったけど、こうして調べてみると製作者のこだわりが垣間見えて面白かった」

「俺も楽しかったよ。この鎧はミナトが持っていてくれ。ある程度調べたら売り飛ばすつもりでいたけど……長い時を経て、ようやく持つべき者の手に納まった。そんな気がする──」


 待て待て、実用的ではない防具だが、こういうのは変態の貴ぞ……好事家こうずかに売りつけるのが一番良さそうだが。


「そういうルート持ってないし、冒険者向けの魔道具屋だと、冗談グッズ一歩手前の物は安く買い叩かれるに決まってる。ウチのパーティーなら誰も文句言わないと思うから貰ってくれよ」

「うーん。じゃあ、貰っとく……」


 せめて買い取らせてくれれば、こっちも気を使わなくて済むんだがなあ。

 そんなやり取りをしていると、俺たちの目の前にエミリアがテレポートして現れた。


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[一言] エミリアは何か吉報を持ってきてくれるのか
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