表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
403/572

第402話「壊滅」

 戦闘開始の合図とともに、まずはサキさんが突撃を仕掛けた。


「せいッ!」


 大きく踏み込んでの一突き。

 魔槍グレアフォルツは、一度にゴブリン二体を串刺しにする。


「うりゃあぁーッ!!」


 ゴブリンを串刺しにした状態から、サキさんは槍を大きく振りかぶった。

 槍を振り回す遠心力で、串刺しのゴブリンが宙に投げ捨てられる。

 後ろがつかえて逃げ場を失ったゴブリンが、破れかぶれで剣を振り回すも、腰の引けた攻撃はかいさず。

 仕舞いには懐に飛び込んできたゴブリンを殴り飛ばして、地面に転がったゴブリンの頭を靴底で粉砕した。


 もう、どっちが化け物なのか良くわからない構図だ。





 集団の中央にいたゴブリンの群れは、グレンが放った一撃でほぼ壊滅している。

 火の玉で炭化したゴブリンは、少なくともニ十体に迫るだろう。

 できればもう一発撃ち込んでおきたい所だが、既にゴブリンの集団は四散を始めていた。


「正面はサキさんに任せる! グレンは左翼を塞げ! 俺は右に流れた奴を叩く!」


 俺が命令すると、グレンも剣を抜いてゴブリンの前に立ちはだかった。

 グレンの身長ではゴブリンの体格に負けてしまうが、ゴブリンの筋力と装備では、悪魔の体に致命傷を与えることはできない。

 集団で羽交い絞めにされない限りは大丈夫だ。

 グレンはつばめのようにゴブリンたちの間隙かんげきいながら、ゴブリンの足や首元を切り裂いて回る。

 一撃で首を跳ねる事はできなくとも、淡々と致命傷を与える姿はさすが悪魔と感心するところだ。



 俺とサキさんとグレン、前衛の三人が正面と左右を塞ぎ、後衛のユナは森の奥へ逃げようとするゴブリンを弓で狙う。

 この三人でゴブリンの集団に対峙すれば、必然的に狙われるのは俺になる……。

 ミスリル銀の大剣を構えた俺の前には、既に四体のゴブリンが機をうかがっていた。

 もしも四体が同時に走り抜ければ、そのうちの三体は確実に逃げ切れると思うのだが、不思議と逃げる素振りをみせない。

 四対一なら自分たちが有利という思考が先走り、この場から逃げるという当初の目的を忘れているんだ……。


「はあっ!」


 俺はサキさんの戦い方をイメージしながら、大きく踏み込んでゴブリンの一団をいだ。

 肉を切り裂く不快な抵抗に打ち勝つと、目の前にいるゴブリン二体が地面に崩れる。


「たあーっ!」


 振り抜いた大剣を上段に構えて、狼狽ろうばいするゴブリンの頭部に叩きつける。

 サキさんみたいに一刀両断とはいかないが、それでもゴブリンの頭は真っ二つに引き裂かれた。

 ようやく我に返り、きびすを返して逃げだす一体。

 俺は冷静にいかづちの精霊石を取り出して、逃げるゴブリンの背中を魔法の電撃で貫いた。





 戦闘を開始してから、十分と経たずにゴブリンの集団は壊滅した。

 想像していたよりも相手の数が多かったので、やむを得ず数体は逃がしてしまったが、それでも四十体は討伐している。


「最初にボス格のゴブリンを一掃したのが効いたな」

「うむ」

「すみません。今ので矢を使い切りました」


 逃したゴブリンの大半は、ユナの弾切れが原因で後方の森に逃げた。

 しかし、手持ちの矢は11本しかなかったから、こればかりは仕方がない話だ。

 逃げたゴブリンが復讐に来るとも限らんが、あれだけ圧倒しておけばその気も起きんだろう……。


「サキさんは怪我してない?」

「鎧で止まったわい」


 じゃあ、先を急ごう。

 いまさらゴブリン相手に足止めを食らうわけにはいかんからな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] いつもは魔法でガッ!と一気に終わらせる印象だけど普通の戦闘もできてミナトさん達すごいよね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ