表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
402/572

第401話「先制攻撃」

 俺とサキさんが馬を降りたので、空いた白髪天狗はティナが引き継いだ。


「もしもの時のために、サーベルはティナが持っておいてくれ」

「ミナトはいいの?」

「今回はミスリル銀の大剣があるから大丈夫」


 満足に魔法が使えない状況では、武器の一つも持たせておきたい。

 ここでティナのカスタムロングボウを取り寄せる手もあるが、戦闘が終わると邪魔になるから、現状のまま凌ぎたいところだ。

 それに、今は貴重な魔霊石を温存しないといけない……。


「ティナとユナは、小川を渡ってから進攻してくれ」

「わかったわ」

「魔法の矢にはいかづちの精霊力を込めておくから、俺とサキさんを無視するゴブリンがいたら、小川に入ったところで仕留めてくれ」

「わかりました。それ以外では普通の矢で援護しますね」

「頼む」


 ティナとユナは、小川の浅い所を探しながら、向こう岸まで渡る。

 サキさんは魔槍グレアフォルツとカイトシールドを構え、俺はミスリル銀の大剣を取り出した。

 自分の背丈よりも大きな剣を構えることに違和感を覚えるが、重量変化の護符の力で重さは全く感じない。

 大剣を振り回している限り、ゴブリンが扱う小型の武器では攻撃が届かないだろう。

 隣にはサキさん、上空にはグレンもいる。

 正直、負ける要素が全くない。

 問題が起こるとすれば、相手の数がこちらの想像を上回ったときだ。


「やれ、もう少し近付いてみるかの?」


 ゴブリンの集団の中には、早い段階から俺たちの存在に気付いた者もいるようだが、特に騒ぎ立てる気配はない。

 こちらは数も少ないから、完全にナメられている気がするなあ……。





 ゴブリンの集団は、森と森の境目、少し開けた場所に集まっている。

 彼らは独自の言語を持ち、集団の中央付近からは不快な怒声が聞こえてくる。

 俺とサキさんが距離を詰めているにも関わらず、怒声はさらに激しさを増して、遂にはゴブリン同士が争いを始めてしまった。


「グレン! 奴らが一番密集している所に、空からリピーターボウを一発お見舞いしてやれ!」

「マカセロ!」


 ゴブリンの生態には詳しくないが、喧嘩の雰囲気からすると、個々が集まってある程度の集団になったので、リーダーを決めようとして争いになったと見える。

 今は争っている場合ではないと思うのだが、ゴブリンの知能ではこれが限界だ。



 取っ組み合いを始めた集団の真上に到達したグレンは、何のためらいもなくリピーターボウの引き金を引く。

 無作為むさくいに狙われたゴブリンの頭上に落ちる魔法の弾、ボンと空気の弾ける音がして、直径3メートル程度の火の玉が現れた。


りになるぞ! 各個撃破しろ!!」


 ゴブリンたちの阿鼻叫喚あびきょうかんに掻き消されるよりも早く、俺は戦闘開始の合図を送った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ