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第374話「作戦会議②~出発」

 その後シャリィたちの作戦も聞いてみたが、おおむね俺たちと同じような意見だった。

 なので作戦の流れとしては、俺が提案したものに沿う形となる。

 唯一の変更点と言えば、サキさんとスキニーを集落の中心にテレポートさせる前に、コロッペが洞窟入り口の死角へテレポートするという部分だ。

 どうやら洞窟内から増援が現れるのを防ぎたいらしい。

 そんな感じで細かい部分の認識を共有しながら、特に揉めることもなく作戦会議を終えた。



 明日は夜明けと同時に出発する予定だから、俺たちは早めに寝ることにした。


「本格的な戦闘の前だからな。夜の番はグレンにやって貰おう」

「任セテオケ!」


 今晩は交代の見張りを立てず、グレンが一人で夜中の警戒に当たる。

 悪魔は暗闇の中でも物が見えるので、今日みたいに灯りを使いたくない場合でも問題にならない。

 先日王都で買った暗視のイヤリングを使えば誰でも暗闇を見通せるが、明日の事を考えると少しでも休んだ方が良いだろう。


 今日は歩き疲れたせいか、はたまた、テントに吹き付ける温かい風のせいか、毛布にくるまった瞬間に眠りに落ちてしまった。





 翌朝……といっても空はまだ暗いけど、俺たちは予定よりも早くに目が覚めた。

 大事を取って早く寝すぎたのが原因だな。

 これから化物と戦うというのに、それほど緊張も無しによく眠れた。

 随分きもわってきたなあと思う……。


 今日の朝食は、昨晩作り置きしておいたハム巻きのおにぎりだが、軽く火であぶってやると、表面のハムがいい感じに焼けて香ばしくなる。

 昨晩は控えていた食べ方だが、これからすぐに襲撃をかけるのだから、仮に運悪く匂いで勘付かれたとしても、もう遅いと言うやつだ。


 全員で朝の支度をして、足湯に浸かりながら朝食を取り、十分に温まってからテントを畳んで出発する──。


「昨日と同じように、馬はユナとスキニーに任せたい」

「いいだろう。俺たちの方が遅いだろうから、先行させてもらう」

「木陰の下はまだ暗い。グレンはスキニーの目になってくれ」

「ウム!」

「ではミナトさん、行ってきますね」


 まだ薄暗い時間から、ユナとスキニーは次の合流地点に向けて出発した。

 ユナが身に付けている暗視のイヤリング、こんな場面でも役に立つようだな。

 一品物だったが、俺もちょっと欲しくなった。



 残された俺たちだが、コロッペがサキさんを運んで、先行偵察を行うことになった。

 ギリギリ周囲が見渡せるような、薄暗い魔法の灯りを展開して、超低空を飛ぶという事らしい。

 木々の合間を抜けるためにアクロバティックな飛行をするので、コロッペ自身とサキさんをロープでくくりつけて飛ぶという、何とも危険な飛行になってしまうが。


「ま、これなら大丈夫かな……」

「サキさん、目がニヤついてるのやめろ。怖いから」

「フフン」


 コロッペは器用に木々の間をすり抜けて、低空飛行のまま合流地点に向かった。

 結構激しい挙動で障害物をかわしているが、サキさんも遠慮なく抱きついているから、途中で振り落とされる心配はないだろう。


「俺たちも出発しようか」

「そうね」

「また『アレ』に乗って飛ぶのかい?」

「馬に載せきれない荷物が多いからな。仕方ない」


 俺とシャリィは、ティナが水平に展開した魔法の障壁にテントのシートを広げて、魔法の絨毯ならぬ魔法のシートを完成させた。

 この輸送方法、絵面えづらはバカみたいだが、実は大量の荷物を運べる可能性がある。

 なんせ魔法の障壁に載せたものは、障壁の強度を越えない限り、その重量を「無」にできるという法則が存在したのだ。

 これは後日、真面目に検証したいと思う案件だ。


 本来は敵の攻撃を無効にするのが障壁の魔法だが、その障壁が耐えられる強度であれば、それが重量でも耐えられるらしい。


 これは体重計で考えると分かりやすい。

 簡単に説明すると、本来の使い方で体重計に乗ろうが、体重計を壁に押し当てて全身で押し込もうが、表示される数値はどちらも「重量」になるのと同じ理屈だ。


 魔法の障壁は、衝撃による負荷と、重量による負荷を区別していないのだ。


 ただ、障壁の強度を越えてしまうと、展開している障壁はあっさりと壊れてしまう。

 術者ごとに限界強度が違うから、実用化の前にその辺を調べないといけない訳だな。

 ちなみに現在のティナなら、200キロ程度の重量は全く問題にならないようだ。


「準備はいい? 飛ぶわよ」

「大丈夫だ。やってくれ」


 俺とシャリィと荷物を乗せて、空飛ぶシートは軽々と飛行を始めた。


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