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第166話「コロコロがんばる②」

 上半身のコロコロが終わったので、俺はティナがはいているロングスカートを脱がした。好きな女の子のスカートを脱がして、気の済むまで下半身を見たり触ったり出来るというのは、ある意味幸せなことかもしれないが。


 ──まあそれも、俺が男だったらの話。正直、女同士だと致し方がわからん。今度エミリアに聞いてみよう。男同士の致し方には詳しいようだから、何か知っているだろう。


「やっぱりティナの脚が一番きれいだと思う」

「ありがとう。でも、あまり見つめられると恥ずかしいわ……」


 頬を染めるティナを座らせて、俺は念入りにコロコロを掛ける。足の指先からふくらはぎへ……膝へ、太ももへと、手を這わせながらその感触を確かめていく。

 いつしかコロコロ職人の精神が宿った俺には、一切の妥協が無くなっていた。



「……ティナ、ちょっとここに寝そべって」

「え? こんな感じかしら?」


 俺はティナをベッドに寝かせてから、お腹に手を回して上に引き寄せた。いわゆる四つん這いの体勢にして、やたら面積の少ないパンツをずり降ろした。


「きゃあ、ちょっとミナト? 流石にそれは……」

「腰からお尻を通って脚の付根とか、太ももの裏側とか、一人だと目が届かないから大変だと思うし、折角だから全部きれいになって貰いたいし」

「うーん……それじゃあお願いするわね。恥ずかしいけど努力は惜しみたくないわ」


 四つん這いの体勢からパンツを降ろされて恥ずかしがっていたティナだが、美容の誘惑にはあっさりと負けた。

 俺の方はと言えば、どこまできれいな肌になるのかに興味が移ってしまって、両脚に一時間以上の時間を掛けてもなお、やり飽きる事は無かった。



「いつも思うんだけど、ティナのパンツは浅いというか、やたら面積が小さいのが多いよな。何か訳があるのか?」

「こんなに小さな下着は女の子じゃないと着けられないから、ちょっと嬉しくて。毛もないから何もハミ出さないし……そういえばミナトも一緒に買ったわよね?」

「……買ったな。あの時はフワフワの店の雰囲気に毒されて、頭がどうにかなってたと思うわ」


 確かに俺も超細いやつとか、やたら小さいパンツをいくつか買った。着ける勇気がなくて一度も使わずに衣装ケースの奥に追いやられているけど。

 せっかくチンチンも無いことだし、俺も一度は使ってみようかな?






 お尻が終わる頃には、すっかり恥ずかしさにも慣れてしまって、俺は内股やおへその下の方も丁寧にコロコロをしながら、ティナと雑談をしていた。


「ミゼルさんの話だと、今頃フワフワの店には冬服が並んでいるだろうな。王都一周の時に行ければ良かったんだが、最後の方は俺が動けなかったからなあ」

「明日暇なら行ってみる?」

「うん。切り替わった直後だから、もしかしたら買いそびれた秋服も残ってるかも」


 最後の方はティナをかかえた体勢で前の方もコロコロしていたのだが、他愛のない話をしながらやっていると、いつの間にか全身のコロコロ掛けも終わっていた。



「終わったなあ。もうちょっとこうしていたかったけど……えい、えい」


 俺は抱き抱えたままのティナに、ぎゅーっと抱き付いてみた。


「ありがとうミナト。わあ……凄いことになったわね。本当に全身ぴかぴかだわ」


 暫くティナは俺に抱かれたままの状態で自分の体をチェックしていたが、やがて納得したのか、俺から離れてパンツとスカートをはき直した。


「そろそろ晩御飯の支度を始めるわね!」


 余程満足したのだろう、上機嫌のティナは腕をまくって部屋を出た。もうそんな時間になるのか。俺はティナに付いて調理場まで行き、風呂の湯沸かし器を動かしてから洗濯物を取り込んだ。






 俺が洗濯物を畳んで、それぞれを指定の場所に置いて回っているとサキさんが帰ってきた。濡れた頭にタオルを巻いているから、銭湯を済ませてきたのだろう。


「どうだった?」

「うむ。話し自体はすぐに終わったのであるが……」


 そう言ってサキさんは、手にした羊皮紙の束を俺に差し出して、髪を乾かしに行く。



 これは何かと思ったが、この羊皮紙の束は騎馬試合の作法やらルールやらをまとめた書類らしい。戦闘に関するルールはそれほど多くはないのだが、試合の前後に随分と面倒くさい取り決めがあるようだ。

 確かモロハ村でも貴族のクソガキどもが伝統形式にのっとった意味不明な事をやっていたようだし、それと同じ類のものだろうな。


 ──そのほかには堅苦しい誓約書のような物も混ざっている。



「大変だな。俺なら面倒になって話半分で投げ出すところだ」


 髪を乾かして戻ってきたサキさんに、俺は羊皮紙の束を返しながら呟く。


「勝てば王様から褒美と勲章が貰えるらしいわい。覚える価値はあるの」


 まあ本人がやる気ならそれでいいか。ちょっと見に行きたい気もするけど、確か収穫祭の間、回復魔法の使える俺とティナは魔術学院の手伝いをさせられるんだっけ?



「忘れるところだった。俺たちの部屋に投げてあった武器はそこに置いてあるんだが、邪魔なんで自分の部屋かガレージの棚に持って行ってくれ」

「うむ。わしのはこれだけであるが……」


 サキさんは四つの木箱から一番大きな箱の蓋を開けて、そこから大きな剣を取り出した。

 ──剣というよりは刀に近いかな? 大きく湾曲した鞘はまるで弓のような曲線を描いている。剣の長さは、サキさんが持っているロングソードよりも長いと思った。


「刀にしては随分雰囲気が違うな。これだけ大きいのに片手剣みたいだし」

「シャムシールと言うらしいの。馬上でも振れるのをうたから、一番デカいのになったわい」


 サキさんがシャムシールを鞘から引き抜くと、刀身だけでも1メートルになる。1メートルと言うイメージは大したことが無いように感じるが、実際に手に持つ姿はかなりの迫力があった。


「なんだか重そうだな。片手で振れるのか?」

「と、思うであろう? これが見た目よりも軽い」



 シャムシールの刀身を確認したサキさんは、鞘に収めたそれを俺に差し出す。持って確かめろということか? 実は重いと警戒した俺は両手でシャムシールを持ち上げたが、想像していた鉄の塊よりかはずっと軽かった。


「普通の鉄じゃないのかな?」

「うむ。異国の鋼で出来ておるらしいわい」

「そういや、例のゴーレムも鋼だったよなあ……」


 サキさんが自分の部屋にシャムシールを片付けに行ったところで、ユナも帰ってきた。






 木窓の外から手を振るユナを見ていると、ハヤウマテイオウの後ろには色々な荷物を載せているようだ。

 荷降ろしも大変だろうと、俺は勝手口の方へ向かうが、サキさんは手伝う気が無いのか一人で酒を飲み始めている。


「結構買い込んだなー」

「収納スペースに不自由しなくなったので、切れた時の精神的ダメージが大きい物は多めに買い置きするようにしました」


 俺はユナに言われるまま、日用品のストックをガレージの棚にしまった。


「そっちの荷物はいいのか?」

「はい。こっちは後でテストしないといけない物なので大丈夫です」


 ユナは色々荷物の入った麻袋を抱えて、ガレージから広間に入って行く。俺は調理場からサンダルで来ていたので、勝手口から回って広間に戻った。



「あれ? サキさんはいないんですか?」

「勝手口の方から回ってくるとき、馬の世話してたのが見えたぞ」

「そうですか。あ、武器は下ろしてくれていたんですね」

「全部サキさんのだと思ってたんだが、何を買ったんだ?」


 俺が聞くと、ユナは護身用のダガーを木箱の隙間に差し込んで蓋をこじ開けた。



「片手剣のサーベルと……リピーターボウに専用の矢のセットです。このサーベルはミナトさんが使ってください。今のハンドアックスよりはさまになりますよ」


 ユナが渡してくれたサーベルは、護拳ごけんの付いた曲刀きょくとう片刃かたばの片手剣で、いわゆる軍刀のような見た目だ。先程サキさんに見せてもらったシャムシールと比べると随分短く見えるが、その分軽いので片手でも振り回せそうだ。


「これも異国の鋼で出来ているのか?」

「どうなんでしょう?」

「見た目よりも軽いから、普通の鉄じゃないような気もするんだけどなあ」



 せっかくなので、俺はサーベルに付属している皮のベルトを腰に巻いて帯剣してみた。


「どう?」

「似合ってますよ。戦闘で使わなくてもハンドアックスより見た目がいいので、今度からはサーベルを持ち歩いてください」


 なるほど、少し前に話し合った「見た目」に関する装備か。持ち歩くならキャンプ道具としても使えるハンドアックスは便利なんだが、確かに見てくれはサーベルの方がいい。






「そっちのリピーターボウは、確かマラデクの町で見た連射できるクロスボウだよな」

「そうです。前に見たのは随分古くて大きい物でしたけど、これは改良が進んだのか小型になってるんです」


 クロスボウを連射する構造が全くイメージ出来なかった俺は、ユナに実射までの説明をして貰うことにした。


 まずリピーターボウの外見だが、通常のクロスボウの上に矢を収める筆箱のような形のマガジンがくっついている。あとはリピーターボウの中心部分に鉄の棒が二本繋がっているくらいで、ぱっと見は普通のクロスボウをカスタムした感じだ。



「このマガジンに専用の矢を入れます。最大で12本入るみたいですね……」

「筆箱みたいなマガジンだと思ったけど、矢も鉛筆みたいだな。細さは5ミリ程度か?」

「矢を入れたら押さえの蓋をして……ここをロックします。あとは真ん中からくの字に折り曲げて……」


 ユナはリピーターボウの真ん中を、文字通り「く」の字に折り曲げた。イメージとしては中折式(なかおれしきの散弾銃と全く同じだ。散弾銃を「く」の字に折り曲げて弾を込めるシーンはお馴染みだが、リピーターボウは折り曲げることで弦が引っ張られる。

 最後まで折り曲げると、引っ張られた弦が固定されて、マガジンから専用の矢がレールに落ちてくる仕組みだ。これで発射体勢が整う。



「連射と言うから、あらかじめ連射分の仕込みをしておいて、仕込んだ数だけトリガーを連続で引ける物だと思い込んでいたが……一射づつコッキングと発射を繰り返すだけなら、子供の頃に買ったエアソフトガンと何も変わらないな」

「そうなんですか? 私はそういうのを持ってなかったので知らないですけど」


 元の世界では普通の女子中学生だったユナが玩具の銃に詳しくないのは仕方がない。

 連射と言えばガスガンや電動ガンのような連射をイメージするから腑に落ちない部分もあるが、クロスボウに限定した話なら、連射と言えるだけの速度は出せていると思う。


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